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平成22年3月2日 知事就任記者会見

 ●会見内容●

1.就任にあたって
2.諫早湾干拓の開門調査について
3.石木ダム建設事業について
4.ハウステンボスの経営支援について
5.県庁舎整備について
6.九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)について
7.政権与党や県議会との関係について

1.就任にあたって

○広報広聴課長 それでは、時間になりましたので、ただいまより知事の就任会見を開催いたします。

○知事 今日から仕事を始めることになりました。これから大変お世話になると思いますが、よろしくお願いします。
私の方からは、以上であります。頑張ります。

○記者(NCC) およそ2カ月ぶりに県庁に戻ってこられて、先ほど就任式も終えました。改めて今のお気持ちを聞かせてください。

○知事 そうですね、もう選挙から相当日数が経過しておりますけれども、やはり責任が重大だなと、しみじみ実感しておりまして、先ほども職員の皆様方の前でお話をさせていただきましたけれども、やはりこれからは総力戦で県の発展のために力を尽くしていかなければいけないと決意を新たにしております。

○記者(NCC) まず、知事として真っ先に取り組みたいこと、最重要課題についてお聞かせください。

○知事 やはり、これまで県民の皆様方と言葉を交わす機会がありましたけれども、これまでも申し上げたことがあったかと思いますけれども、経済・雇用対策、これが一番やはり緊急の課題になっているのではないかと思います。そういった意味では、さきの臨時県議会でも緊急経済雇用対策関連予算をお認めいただきましたけれども、そうした対策に切れ目なく全力で取り組んでいく必要があると思っております。
 それから、若干時間はかかるのかもしれませんけれども、やはり雇用の受け皿となりますのは産業でありますので、それぞれの地域の特色に基づいた産業の活性化にどう取り組んでいくのかというのが非常に大切になってくると思っておりますので、1次産業であります農林水産業、そして地場産業、観光産業含めて、活性化策をしっかり取り組んでいく必要があるものと思っております。

○記者(NCC) 経済雇用対策や農林水産業、観光などに力を入れるということでしたけれども、それに向けての仕組みづくり、体制づくりというのは、具体的に何かお考えはありますか。

○知事 そうですね、幾つかこれまでも申し上げてきていましたけれども、一つは百年に一度とも言われる非常に厳しい経済情勢の中で、例えば農林水産物の価格が低迷をしている。そして、価格面で、生産者のこだわり、意欲、工夫、そういったものが必ずしも反映できていないという現状にあるわけでしょうから、まずはその経済対策をしっかり取り組んだ上で、少しでも上向きに転ずるように、消費者の方々に立派な県産品を愛用していただけるような、そういう経済環境にまず持っていく必要があるんだろうと思っております。
そうした上で、先ほど申し上げたように、それぞれの産業がいろいろな課題を抱えておりますので、そういった部分をいわゆる民間の経営者の方々を含めて、いろんな意見をお伺いしながら、もっと工夫すべき点があるのではないかという思いもありますので、そういった部分をしっかりと県の政策の中で対応していくという必要があるのではないかと思っています。

○記者(NCC) 就任式の中で、専門的な職員の力を、総合力をいかんなく発揮してほしいということをおっしゃっていましたけれども、それについての体制とか組織づくりというのは、もうある程度お考えなんでしょうか。

○知事 組織というのは、どちらかというと専門家集団単位で編成されているというのが役所の基本的な体制だろうと思っています。
例えば、農林業の専門家は農林部におりますけれども、そういったものをこれまでも組織横断的に情報交換を密にしながら、横軸の連携を大切にしながら取り組んでいきましょうというお話でありましたけれども、まさにその考え方はこれからも非常に大切だと思っています。
仕事が大きく、多分変わっていくんだろうと思うんですね。民主党政権に変わって、いろんな制度が見直しをされつつありますので。そういった中で、地方の課題、新たな問題点というのはどういったものが想定されるのか。これはもう専門家集団でありますので、そこら辺は予測がつくわけでありますので、そういったものを持ち寄りながら、じゃあどういう対応を今から準備しないといけないのか、そういうところを組織を挙げて知恵を出して、県の政策に結びつけていくということが非常に大切になってくるんだろうと思うんですね。
それと、例えば先ほどの産業の活性化の面でも、第1次産業、農林部、水産部というのがありますけれども、これにやはり先ほど申し上げたように価格面での、さらに価格形成力を上げるためにはブランド化が必要であるとか、あるいは輸出戦略も考えていかないといけないといったことも思っておりますので、そういった意味からすると、いわゆる流通対策、こういった部門の連携、これはこれまでもそういった問題意識を持ちながら取り組んできたところですけれども、これからより一層、「総合力」という言い方をしておりますけれども、垣根を低くしながら、課題を共有化していく必要があるんだろうと思っています。
だから、そのためには組織だてを変えるということも一つの方法なのかもしれませんけど、その前にとりあえずできるのは、ソフトのいろんな情報交換の場、そういう戦略を練る会議、そういったものも早急に立ち上げていきたいと思っています。

○記者(NCC) 各社さん、どうぞ。

○記者(西日本新聞社) 体制のお話ですけれども、就任のあいさつの際にも、県、行政が幅広い意見を取り入れて、県民の総合力で県勢浮揚を目指すというふうにおっしゃいましたけれども、例えば外部の諮問機関みたいなものをつくるとか、今もちょっとお話がありましたけれども、内部の組織替えだとか、そういった構想というのは、今、頭の中にどれぐらい具体的にでき上がっているものがあるんでしょうか。

○知事 組織を変えてそういう体制づくりをというのは、今の段階ではまだ具体化しておりません。ただ、特に、まちづくりなどについては、私自らやっぱり地域の皆さん方と直接お話をさせていただく機会として「青空知事室」みたいな場も設けたいというのを整理させていただいておりますし、それから、やはり基礎的な自治体である市町とのフランクな会議、そういったものも立ち上げていかないといけないのではないかと思っています。おそらく市町の方でもそういったご期待はあるのではないかと思いますけれども。これまでも確かに首長さん方にお集まりいただくような会議というのは設けておりましたけれども、そういったトップの会議、あるいは各部門ごとの会議みたいなものを、もっと連携体制を強化しながら取り組んでいく必要があるんじゃないかと思っていますけれども。

○記者(西日本新聞社) それは、知事と23市町の首長による組織みたいなものを新たに立ち上げるというイメージなんですか。

○知事 市町村長会議みたいなものがありましたよね。不定期だったかもしれませんけれども、何回か金子知事の時にも開催されました。そういう会議だけで十分なのかどうか。例えば福祉分野であるとか、あるいは産業振興分野であるとか、地域独自の課題もまたあるでしょうから、常にその垣根を低くしながら、県・市、力を合わせて取り組んでいけるような場を多くつくっていく必要があるんじゃないかと思いますけれども。

○記者(日本経済新聞社) 政策面で言うと、かなり金子前知事と重なっている部分が多いと思うんですけれども、今後、中村知事がスタートすることにおいて、どう中村知事色というのを今後出されていくのかお伺いできますか。

○知事 いろんな政策課題があって、その政策課題にどうアプローチしていくかというのは、おそらく非常に似てくるんじゃないかなという思いもあります。
 ただ、私がこの間、選挙戦を通して申し上げてきたことは、まずはやっぱり地域が活力を取り戻していかないと、県の元気も出てこないだろうという前提で、まずそれぞれの地域が特色を生かしながら元気になっていただくような支援体制を強化しようと、こう思っておりまして、そういう情報交換の場も、先ほど申し上げたように新たにつくっていかないといけない。課題を共有しながら、力を合わせて取り組むような体制づくりを進めたい。そういった意味で「こぎ出せ!長崎」と、こう言いましたけれども、それはまさに県の内部も同じだろうと思います。餅屋は餅屋の専門性、経験等を活かして、自分たちがまずは抱えている課題にどう取り組んでいくのか、そういう企画立案から実践、そして事後評価まで含めて、やってみてチャレンジするというような体制づくりを進めたい。そういった意味では、もうまさに、職員の意欲を引き出しながら、それを県勢の推進の原動力にしていく必要があると考えております。
そういった手法は、おそらくこれからいろんな制度や仕組みが変わろうとしていますので、求められているんじゃないかなとは思っていますけれども。

○記者(読売新聞社) 今までの知事さんと違って、中村知事の一番の強みというか、武器はどういうところにあると、ご自分でお考えでしょうか。

○知事 そうですね、やっぱり行政経験が長かったから、そういった意味ではいろいろな仕組みであるとか、そういった面にはある程度自分なりに理解できているところがありますので、いろんな判断が求められるような場合にも、ある程度可能であるのか、難しいのかというのはわかっている面があるかなと思いますけどね。
それと、それぞれの地域の事情でありますとか、もちろん詳細には私も勤務したことがない地域もありますので把握しておりませんけど、大ざっぱには大体わかっているつもりではありますけれども。

○記者(長崎新聞社) まず確認なんですけれども、先ほどのお話の中で、今の体制でというお話があったんでけれど、4月1日以降で機構改革的なものはまず考えられていないということでよろしいんでしょうか。

○知事 大きな機構改革は、今のところ考えておりません。ただ、宿題の部分は幾つかありますので。

○記者(長崎新聞社) もう一つ、副知事の人事のことについて、今月中旬からもう議会も始まるんですが、その辺についてどういうふうにお考えですか。

○知事 もうしばらく考えさせていただきたいと思います。

○記者(長崎新聞社) 3月議会で何か出すということではないということですか。

○知事 まあ、それも含めてどうするか、もう少し時間をいただいて考えたいと思います。

○記者(NBC) それは、2人制にするか、2人制をやめるかとか、そういうことも含めてということですか。

○知事 はい。

○記者(NBC) しばらくは藤井副知事が続投ということになるんでしょうか。

○知事 まあ、そこも含めて、もう少し待ってください。

○記者(NBC) どのくらいまで。

○知事 ・・・。

2.諫早湾干拓の開門調査について

○記者(読売新聞社) 諫干の問題で、この間、金子さん(前知事)が上京して申し入れしようとした時に、結局中止になったんですけれども、それもまた近々、同様の要請行動をやる予定とかはおありなんでしょうか。

○知事 まだ今のところ、これからの私のスケジュールの中には入っていないと思いますが、これからやはり、関係地元の皆様方含めて、十分そこら辺は情報交換をしながら検討をしていかないといけないと思います。
議会の日程等々の兼ね合いもありますので、いつごろ動き出すべきかということはまだはっきりしておりませんけれども、十分、地元の皆様方等含めて協議の上検討したいと思っています。

○記者(西日本新聞社) 中村知事が諫干の開門に反対という立場は全く変わらないという前提のお話ですか。

○知事 ええ。それは考え方は今も変わっておりません。

○記者(NHK) 知事としては、どなたに一番要望したいんですか。

○知事 それはやはり政権与党で、今回お話をちょうだいしておりますのは農水大臣のご発言でありましょうから、やはり農水大臣を含めて主要な方々には理解を、ぜひ地元の事情を知っていただきたいと思いますけれどもね。

3.石木ダム建設事業について

○記者(NBC) 選挙戦の時から、石木ダム事業について、反対地権者の方と、機会があったら話をしたいということをおっしゃっていましたけれども、前の金子知事も、就任なさってすぐに地元を訪問されているんですが、中村知事は、そのようなお考えはおありになりますでしょうか。

○知事 ええ。機会があれば、つくれるように努力したいと思います。

○記者(NBC) 時期的なことは。

○知事 まだそこまでは、いついつというところまではまだ調整しておりません。
すみません、今日来たばかりでありまして、十分話を聞いた上で調整したいと思います。

○記者(NBC) 今日来たばかりで悪いんですけれども、知事は今後、何期ぐらいやろうというふうに今のところお考えでしょうか。

○知事 1期、1期でしょうね。まずは1期、与えられた期間、全力で取り組んでいくと。

○記者(NHK) 先ほどの石木ダムの関連ですけれども、住民の反対がすごく根強くて、金子前知事も、自分の中でやり遂げたかったけれども、できなかったことだと昨日の会見の中でもおっしゃっていました。
選挙期間中に、住民合意を得て建設を進めたいというお話をなさっていたと思うんですけれども、難しい状況の中で、かつ、今、事業認定の申請をしていて、国の方にパイを投げられている中で、県としてはどういうふうに今後取り組んで、どういうふうに住民合意を得ていきたいとお考えでしょうか。

○知事 「住民合意を得て建設を進めたい」と、この間もインタビューでそう聞かれたんですが、そう言ってますか。
私は、建設は今の佐世保の水事情を考えた場合に必要だろうと。ただ、まだ同意をいただいていない地権者の方々もいらっしゃいますので、そこは同意がいただけるようにさらに努力をしたいというお話はさせていただいてきていますが、同意を得て建設を進めるということは、同意が得られなかったら建設はしませんよというふうに聞こえるんですよね。

○記者(NHK) 今、事業認定の申請はしていますよね。

○知事 はい。

○記者(NHK) で、公聴会で意見を聞く場というのが、今後設けられる見込みなんですけれども、知事としては、その公聴会というのが住民の意見を聞く場として位置づけていらっしゃるんでしょうか。

○知事 第三者機関が設けられて、そこで公聴会等の開催が予定されているということは、すなわちやっぱりその機会がしっかりと住民の方々のご発言いただける場になるのではないかと思っております。
しかも、その当事者としてではなくて、第三者のお立場でそういった機会が設けられますので、より、何というんでしょう、客観性の高い状況の中で意見をお聞かせいただけるような場が設けられるのではないかと思いますけれどもね。

○記者(NHK) となると、県としては、事業認定の取り下げということは、今のところ考えてはいない・・・。

○知事 そうですね。そこまでは、考えておりません。

○記者(西日本新聞社) 今の話では、住民の合意が得られない場合でも、必要性が認められた場合には、建設に乗り出すこともあるというふうに考えていいんですか。

○知事 それはだから、申し上げてきたように、まずはやっぱり合意が得られるように最大限の努力をしたいということですよ。

○記者(西日本新聞社) 努力はするけれども、大局的見地に立った場合に、どうしても必要だと。で、同意が得られないといった場合には、そういう判断に至ることもある・・・。

○知事 それはまだこれからの判断になってくると思いますけど。

○記者(毎日新聞社) 選挙戦で、県政を変えてほしいという声が一方であったんですけれども、実際、そのいろいろ候補がたくさん出たので票は分散しましたけれども、全体ですると中村さんに入れた票というのは半分に満たなかったわけですが、そこら辺の県政を変えてほしいという意向、住民の一方である思いは、どのように受け止めて今後に取り組んでいくかというのを教えてください。

○知事 県政を変えてほしいというのは、私も、これから担う立場ですけれども、変えなきゃいけないところはしっかり変えていかないといけないと思っています。
例えば、よく議論される県民所得、これが相変わらず苦戦を強いられているという状況でありますけれども、これまでの知事さんも、私も含めて、県民所得を上げることについては全身全霊で取り組んでいかないといけない。ただ、実績がそれについてきていないというのが現状だろうと思うんですよ。だから、もっともっと県政を変えて、県民所得も上位に位置するように、それはすべての方々の思いだろうと思うんですよ。
だからそういった意味で、いやいや今のままでいいんだ、変えなくていいんだという思いは全然ありません、私も。もういろんな諸課題ありますので、山積しておりますので、その一つ一つについて、やっぱり県としてしっかり対応していかないといけない。その結果として、県民の皆様方が安心して、その生活が送っていただけるような、そういう県政を実現しなければいけない。今のままでいいとは、決して私も思っておりませんので、そういう意味では、変えるべきところはしっかり変えていかないといけないと思いますし。
課題として認識している部分というのは、さほど変わりはないのではないかとは思っていますけれども、私自身は。

4.ハウステンボスの経営支援について

○記者(NHK) 先ほど、観光の振興という話もあったんですけれども、ハウステンボスの問題に関しては、知事は今後どういうふうに取り組んでいきたいと思っていらっしゃいますか。

○知事 一応、支援企業が明確になって、これから具体的な計画も策定されるということであります。県においても、対応できる分野については粛々と対応していく。
いずれにしても、ハウステンボスは、本県だけではなくて、大きなもっと広域的な観点からも必要な施設であると思っておりますので、再建に向けてしっかり道筋が進んでいくように、必要な支援についてはやっぱり、粛々と取り組んでいきたいと思っております。

5.県庁舎整備について

○記者(長崎新聞社) 県庁舎の問題でお尋ねしたいんですけれども、選挙期間の前、選挙に入る前の取材では、基本構想案を一番早い時期の議会に報告したいというふうなことをおっしゃっていたと思うんですけれども、その考えについては今はどうでしょうか。

○知事 基本構想案は、議会の意見書で着工を判断するためにも早急に基本構想案を示しなさいという意見書が出されて、それに基づいて作業が進められてきておりますので、できるだけ早い議会にこれを報告するというのは、当然の話ではないかなと思っております。
したがって、方針は決めていますか。3月の議会にというのは。

○知事公室長 案は、この間公表させていただいております。

○知事 議会に報告をするんですね。はい。3月議会にきちんとその構想案を報告をさせていただいて、またご議論をいただくことになるのではないかと思います。

○記者(長崎新聞社) その上で、一方で、議会と別に県民の意見も聞いて、今後の進め方は判断するというようなことをおっしゃっていましたけれども、具体的に、どのような形で県民の意見を聞いていくという具体的な考えはありますか。

○知事 こんな仕組みをつくりたいというところまではまだ、具体策は検討しておりません。まずはしっかり、基本構想案について県民の皆様方に説明をし、ご理解いただく必要があるんだろうと思います。
そうした上で、どういった場を活用しながら県民の方々の意見を集約していくのか、それがこれから検討しないといけない課題になってくるんじゃないかと思っています。

○記者(長崎新聞社) その県民の意見を聞く場合に、仮にどういう意見になるのかわかりませんけれども、その意見が今後の知事の県庁舎整備を進めるに当たっての考えに、当然反映させていくという立場で意見を聞くんでしょうか。

○知事 それはそうですね。意見を聞く時に、決めた上で意見を聞く人はいないでしょう。

○記者(長崎新聞社) わかりました。

○記者(長崎新聞社) 県民に対する意見の聞き方という、形というか、考え、どういう形で県民の意見を聞いて、それを集約して、それを今回の基本構想案を踏まえた、変えたりするとかいうのかわかりませんけど、そういう部分は何か考えられているわけですか。

○知事 基本構想案に反映させないといけないような意見もあるでしょうし、要は、これからは議会の意見書では、結局、着工について判断する必要があるので、基本構想をまずつくりなさいよという話になってきて、その作業を今まで進めてきたわけですよね。もちろん、基本構想に反映すべきようなご意見等があれば、それはもう基本構想案の見直しも必要でしょうけれども、まずは着工について県民の皆さん方、あるいは県議会の皆様方がどうご判断なされ、どういうご意見があるのかというところがこれからの一番重要な課題になっていくのではないかと思っています。

○記者(長崎新聞社) では、基本構想案の是非についての意見を問うということになるんでしょうけれども、その意見の聞き方みたいなことは、どういうふうな形で県民からの意見を聞かせてもらうかというところまでは、まだ決まっていないということですか。

○知事 そうそう。一般的に言うと、いろんな県の政策について意見を聞く場としてパブリックコメントとかなんとかありますよね。それだけじゃ、おそらく不十分だよというお話があるのであれば、こちらの方から各団体、関係機関の皆さん方にご意見をお尋ねに行くとか、いろんな手法が考えられるのではないかと思いますけれどもですね。

○記者(毎日新聞社) 知事選の中では、県庁舎移転について、県内の経済が厳しさを増す中で、今やるべきことじゃないと。さっき、知事もおっしゃっていた経済雇用対策ですね、そちらを優先すべきだという意見もあったんですけれども、こういう経済状態が厳しい中で県庁舎移転ということについてどんなふうに考えていらっしゃいますか。

○知事 確かに、県庁舎の整備そのものが、単なる執務環境の整備、古くなったから、あるいは分散化しているから建て替えるんですよ。確かに、県民の皆さん、そのあたり、一部わかりにくいとか、不便をおかけしているというところがあって、それだけだったらですね、優先順位等、おのずとまたおっしゃるような議論となっていいんだろうと思うんですが、もう一度、県庁舎の議論を思い起こしていただきたいんですが、結局、日本各地で大規模震災が発生して、これまでは全く予想されなかったような地域で地震が発生して大きな被害をもたらしている。そういう場合にしっかりした災害拠点機能を発揮するためには、今の庁舎ではもたないという指摘があるわけなんですよね。
 正直申し上げて、執務環境、単なる職員の事務スペースの確保だということになれば、これはいくらでも我慢できるんですよ。もっともっと、先ほどご指摘のあったような経済雇用対策を優先させていくべきだろうと、それは私も全く同じ思いなんですが。
今、一番問題になっているのは、そういった非常事態に対して県庁が求められている役割が果たせるかというときに、それはやっぱりつぶれてしまう可能性の方が非常に大きいと言われているわけで、さあ、どうしたらいいんでしょうかという議論から始まっていますので、そこを県民の皆様方がどうご判断なさるのかというところなんだろうと思うんですね。
この庁舎の建設財源を別のところに流用して経済対策を優先しなさいよというご意見が多いのかもしれませんけど、今回の議論の本質は、まさにそこにあると思っております。

○記者(西日本新聞社) 経済雇用対策の話に戻りますけれども、中身として第一次産業の振興と、観光振興と、地場産業の振興ということを挙げられていますけれども、もう新年度予算の編成も近づいていますが、中身として具体的に考えていらっしゃること、振興策がもしあればお聞かせ願いたいと思います。

○知事 まだこれから肉づけの中で組み立てていく必要があるものと思っております。これまでも一般的にはずっとそういった思いでブランド力の強化であるとか取り組んできましたけれども、今回、特に申し上げてきたのは、水産分野で長崎俵物というのがありますけれども、やっぱり農産加工分野で他県と比べて非常に遅れをとっているのではないかとの思いもありますので、そういった意味では農産物の俵物みたいなものが創出できないのか。そのためにはまた手薄になっていますけれども、加工産業の誘致・育成というのがまた必要な取り組みになっていくのではないかと思っております。
それと、農林分野では、どちらかというと本県はミカンの主産地でありますので苦戦を強いられていますけれども、輸出戦略等について、もう少し具体的な戦略を練って努力していく必要があるのではないかと思っています。

6.九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)について

○記者(NHK) 九州新幹線の長崎ルートの件では、知事は推進の立場だと思うんですけれども、これについては、今後、県民の中にはいろいろ必要性を感じている方と、必要じゃないと言っている人もいるようなんですけど、どういうふうに知事としては今後訴えていくのかというところをお聞きしたいんですけど。

○知事 いつも悩みは、長年、時間をかけて進めてきた課題というのが、これ、非常に難しい状況にあるわけですね。諫早湾干拓にしろ、新幹線にしろ、あるいは県庁舎にしろ、一番最初のころは、皆様方、熱い思いでその議論に参加していただいて、これはぜひ必要だというような思いで取り組んでいただいているんですが、この間にはずっと、なかなか進まない空白期間がある。そのうちに、そんな思いも少し薄らいでくる。そういう中で、やっぱりそれぞれの地域に応じて目の前の課題が変わっていきますのでね。
そういう意味では、いずれも今、県民の方々の意見が必ずしも一本化されていないというのは、そういった長年の課題を抱えてきた部分が非常に多いのかなという感じがしておりますけど。
そういった意味では、やはりしっかりとこれまでの経過等も含めて県民の皆様方にもっともっと理解をしていただくような努力をする必要があるのかなと思っています。
基本的には、やはり本県の振興を考える場合には、やはり新幹線建設としては、これは何が何でも進めなければいけない課題ではないかと私自身は思っています。
それと、地域によって、やはり相当の思いの差、温度差というのがあるのではないかなとは思いますけれどもですね。

○記者(NHK) 知事が新幹線が一番必要だと考える理由というのは、一番のウエートはどこにありますか。

○知事 それは長崎県が人を呼んで栄えてきた、交流の中で生きてきた県ですので、いかに多くの方々をお迎えして地域の活性化に結びつけていくかというのが、まさに長崎のDNAみたいなところなんじゃないかと思いますね。そういった意味では、こういう圏域、集客圏域をうんと拡大するチャンスでありますので、これからもおそらく交流の中で生きていく県であるのは間違いないと思っています。

○広報広聴課長 時間がきましたので、あと1問にしていただきたいと思いますが。

7.政権与党や県議会との関係について

○記者(時事通信社) すみません、2問、聞きたいんですが。
まず一つは、金子前知事は民主党との関係の中で不出馬を決断されたという経緯があります。中村さんは民主党が推薦する候補を破って当選されましたけれども、政府との、あるいは与党との関係はどういうふうにとっていかれるつもりかということと、もう一つは、県議会との関係で、これまで中村知事は、「説明させていただきます」という立場で議会に対応されていらっしゃったと思うんですけれども、今後、行政のトップとして、議会とどういうような関係をつくっていかれるのか。この2点をお伺いします。

○知事 政権与党との関係についてご心配いただく向きがあると思いますけれども、そこはですね、何度も繰り返し申し上げていますけれども、中央政権と同じ政党でないと仕事ができないということは、私は、ないんじゃないかと思っております。お互いに国の政府関係機関、地方の機関でありますので、特定の政党色でなければ仕事ができないというのはあり得ない話であると思いますので、そこはやはり県民の皆様方から辞令をいただきましたので、県民の実情を、県内の実情をしっかりと説明をして理解をいただけるように努力していきたいと思いますし、理解していただけるものと思っております。
 いろんな課題があるんでしょうけれども、民主党の、例えば県選出国会議員の皆様方も、大きな政策の中で致命的に異なるというところは、私は、ないんではないかと思っておりますけれども。諫早湾干拓事業にしろ、新幹線にしろですね。それはやはり長崎県のために一緒に同じ方向で取り組んでいくのが役割ではないかと思っておりますので。そこは十分説明をしながら理解を得ていきたいと思っております。
 議会との関係どうするかというのは、これはもう理事者側と議会というのは、地方行政の車の両輪でありますので、それはさまざまな議論があるんだろうと思いますけれども、理事者側としてもしっかりした説明責任を果たしながら、県議会のご意見をお聞きしながらという舵取りになっていくんだろうと思います。

○広報広聴課長 どうもありがとうございました。

○知事 よろしくお願いします。

★発言内容については、わかりやすいように 一部変更している部分があります。
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