令和8年6月15日 令和8年6月定例県議会における知事説明
本日、ここに、令和8年6月定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、ご健勝にてご出席を賜り、厚く御礼を申し上げます。
説明に入ります前に、プロバスケットボール長崎ヴェルカのチャンピオンシップ優勝を県民の皆様とともに心からお祝い申し上げます。
長崎ヴェルカは、B1リーグにおいて、長丁場のレギュラーシーズンを西地区首位で通過され、チャンピオンシップの短期決戦も見事に勝ち抜き、これまで5クラブしか成し遂げていない年間優勝という素晴らしい偉業を達成されました。
この栄誉ある成績は、ひとえに監督、選手、関係者の方々のたゆまぬご努力と、経済界、関係団体をはじめ県民の皆様のご支援の賜物であり、深く敬意を表しますとともに、感謝申し上げる次第であります。
地域に根ざした長崎ヴェルカの存在は、県民に夢や感動を与え、地域の活性化にも大きく寄与するものであり、さらなるご活躍を期待しております。
それでは、開会に当たり、県政運営について所信を申し述べたいと存じます。
本県の経済は、雇用・所得環境の改善などにより、「緩やかに回復している」とされている一方で、現下の中東情勢に伴い、石油関連製品の価格高騰や供給不安が続いており、県民生活や経済活動に幅広い影響が生じているものと認識しております。
こうした状況に速やかに対応するため、県においては、事業者向けの相談窓口を設置するほか、「長崎県原油価格高騰対策本部幹事会」を毎週開催し、事業者や関係団体の実情を迅速かつ丁寧に把握するとともに、事業者の皆様の厳しい経営状況の声を踏まえ、県内中小企業の資金繰りに万全を期すため、県の制度融資である「緊急資金繰り支援資金」の取扱いを開始するなど、危機感をもって取り組んでいるところであります。
また、先日実施した国への要望においては、石油及び関連製品等の安定供給や原油価格・物価高騰の抑制のための必要な対策に万全を期すことをはじめ、地域公共交通の維持・確保や事業者への経営安定対策などについて、強く求めてまいりました。
このような中、国においては、去る6月5日に、中東情勢に伴うエネルギー価格の高騰などに対応する補正予算が成立し、地方向けの重点支援地方交付金の追加配分も決定されたところであります。
県としては、こうした国の動きを踏まえ、国の交付金等を活用した物価高対策を取りまとめ、本定例会に追加提案することとしており、必要な対応を速やかに講じてまいります。
今後とも、社会経済情勢を注視しつつ、スピード感を持ち、県民生活を下支えし、県内経済活動の活性化に資する施策の推進に力を尽くしてまいります。
長崎県を前に進めるためには、このような足元の課題に着実に対応していくと同時に、人口減少社会の進行を見据えた中長期的な視点に立った県政運営が極めて重要であると認識しております。
私は、人口の増減に左右されにくい安定した地域経済の基盤づくりと、誰もが安全・安心に暮らせる地域社会を守り、次の世代へ確実に引き継いでいくことが県の責務であると考えております。
そのため、「地域経済の基盤づくり」と「地域を残していく取組」を着実に進めるとともに、教育や子育て支援の充実、企業・団体との連携による人材育成を通して、「本県の未来を担う人材の育成」に取り組んでまいります。
こうした中、国においては、「強い経済」の実現に重点を置いた「地域未来戦略」を取りまとめ、地域ごとの産業クラスターの形成と地場産業の付加価値向上に向けた支援を進めていくこととされております。
本県においても、県主導で策定する「地域産業成長プラン」の計画案をとりまとめたところであり、県議会のご意見も踏まえたうえで、今後、国に提出することとしております。
本計画案においては、地域経済の持続的発展を支え、更なる成長が見込まれる造船・洋上風力などの海洋関連産業や、半導体、航空機などの成長産業に加え、輸出強化などに取り組む農林水産業のサプライチェーンの強化のほか、地場産業の高付加価値化や生産性向上を進めることとしております。
今後、計画を着実に実行することにより、県民の暮らしを支える産業の持続的な成長を図ってまいります。
また、公平・公正な県政運営のもと、県政の発展を図っていくためには、市町や関係団体、民間企業、そして県民の皆様の声をしっかり受けとめ、信頼関係を構築することが重要であると考えております。
そのため、本年3月2日の就任以来、機会を捉えて県内各地を積極的に訪問し、関係者との面談を重ねてまいりました。
このうち、県北地域については、私自身が県北振興における現状や地域の課題を日頃から把握し、スピード感を持って具体的な取組を進めていくため、去る4月27日に、県北振興局内に「県北知事室」を設置し、管内市町長等との意見交換を実施したところであり、その後も継続して事業の進捗状況等の把握を行っております。
また、県北地域に限らず、離島・半島地域などを含めた県内各地域の課題解決は、県政の重要な使命であることから、各地域に積極的に足を運び、地域の声を丁寧に聞いているところであります。
こうした取組を着実に重ねながら、官民連携による地域経済の活性化と各地域の振興を通じて、県勢全体の発展に力を注いでまいります。
現在、県政運営を取り巻く環境は、社会情勢の変化や価値観の多様化を背景として、行政に求められる役割は拡大している一方で、人的・財政的資源は依然として厳しい状況にあります。
こうした中、県政の諸課題に適切に対応し、本県の持続的な発展につなげていくためには、安定した行財政運営が必要であります。
そのため、今後3年間を目途に徹底した事業見直しに取り組み、限られた人員や財源の効果的かつ効率的な配分を進めるとともに、前向きで将来につながる施策への重点化を図ってまいります。
引き続き、短期・中期・長期の視点での県政運営の意識を持ちながら、一歩ずつ、着実に長崎県を前に進めてまいりたいと考えております。
このような基本的考えのもと、今回の補正予算を編成しておりますが、主要な施策について、「地域経済の基盤をつくる」、「地域を残していく」、「未来を担う人材を育てていく」の3つの柱に沿って、ご説明いたします。
力強い成長産業の育成
国においては、造船業を戦略分野と位置付け、積極的な投資を進める動きが加速しております。
私は、こうした状況を絶好の機会と捉え、国内で唯一、商船、防衛、浮体式洋上風力という造船関連三分野の取組が進んでいる本県が、日本の造船産業をけん引する拠点となるよう、県内企業のサプライチェーンの強靭化や受注拡大、人材確保・育成などへの支援に対して、スピード感をもって取り組んでまいりたいと考えております。
また、九州を代表する集積県へと成長し、世界的な需要も見込まれる航空機関連産業については、工業技術センター内に「NAIC試作支援センター」を設置し、県内中小企業の技術力向上を図るとともに、県内外の大手企業からの受注獲得に向けた取組を支援してまいります。
さらに、半導体関連産業など成長産業分野のアンカー企業を誘致するため、産業振興財団の体制を強化するとともに、集中的な企業誘致プロモーションを展開することとしております。
このほか、国の「地域未来戦略」を踏まえ措置された財源を基金に積み立て、「地域産業成長プラン」に基づく施策に活用を図るなど、成長産業の振興を力強く推進してまいります。
地域産業を支える中小・小規模事業者支援
全国と比べて小規模事業者の割合が高い本県においては、地域経済を支える中小・小規模事業者の生産性向上等により、稼ぐ力を向上させることが必要であると考えております。
そのため、まずは、経済対策補正予算も活用しながら、商工団体等と連携し、デジタル化の推進や生産性向上にかかる取組を強力に推進しているところであります。
また、人口減少による市場の縮小や人手不足の深刻化、経営者の高齢化が進展する中にあっても、事業承継は、廃業を防ぎ地域経済の活力を維持し、新たな成長機会を創出し事業拡大につなげる観点から重要な取組であると考えております。
そのため、商工団体に専任職員を配置することにより円滑な事業承継を支援するなど、伴走型支援を強化し地域経済の維持にしっかりと取り組んでまいります。
このほか、地場企業と県内スタートアップ企業の連携による新たな事業創出に取り組むとともに、地域の主要産品や酒蔵の付加価値向上に対する取組を引き続き支援してまいります。
地域を支える企業の人材育成・確保
全国的に人材不足の状況が続く中、地域を支える産業の人材確保が喫緊の課題となっております。
そのため、人手不足分野を対象に中途採用を目的とした、デジタル人材の育成やオンライン就職フェアの開催、企業における体験就労を通じた正規雇用への支援を実施することとしております。
併せて、産業人材育成奨学金返済アシスト事業の支援対象に、UIターンによる中途採用者を追加し、幅広く人材確保に努めてまいります。
このほか、本県からの進学者が多い福岡県を中心に対策を強化することにより、UIターン就職を促進するとともに、留学生を対象とした出張型合同企業説明会を開催するなど、留学生の県内就職対策を強化してまいります。
また、去る5月29日、スポットワークマッチング業界最大手の株式会社タイミーと長崎県商工会議所連合会、長崎県商工会連合会及び本県との4者で、中小・小規模事業者支援に関する連携協定を締結いたしました。
今後、本協定に基づき、スポットワークの普及を図りながら、中小・小規模事業者の人材確保や働き方の改善を支援し、人口減少に負けない持続可能な経営を目指してまいります。
持続的に成長する農林水産業の振興
本県の基幹産業である農林水産業においては、取り巻く環境の変化に対応しつつ、持続可能な生産体制の構築と生産者の所得の向上を目指すため、スマート技術の活用や新規就業者の確保・育成などにより、さらなる活性化を推進してまいりたいと考えております。
このうち農林業においては、新規就農者の確保に向け、農業の魅力や就農情報等を産地が主体となって積極的に発信する取組を支援してまいります。
また、就農研修後の円滑な就農が図られるよう、農地とハウス等施設を確保するため、市町と連携した農地の基盤整備を進めるとともに、意欲ある担い手の規模拡大に向け、生産施設や農業用機械等の導入を支援してまいります。
このほか、ドローンによる防除作業やセンシングによる生育予測技術の活用に加え、新たに自動化技術の確立・普及を図ることにより、農林業全体の生産性向上に結び付けてまいります。
さらに、水稲の高温耐性品種への転換や、市場競争性の高いいちごのオリジナル品種の育成、輸出拡大に向けたてん茶生産への転換など、環境や市場に対応した産地づくりを進めるとともに、県産農産物の高付加価値化による輸出促進にも取り組むなど、農林業の成長にかかる支援について、切れ目なく実施することとしております。
水産業については、経営の多角化や体質の強化など先駆的な取組を行うモデル経営体を育成するとともに、若手漁業者の経営力強化の取組として、漁法の拡大・スマート化などを支援してまいります。
また、国内外のマーケットニーズに対応した新たなバリューチェーンの構築に向け、産地の強みを生かした加工を通じ、本県水産物の高付加価値化を推進するとともに、アジアにおける販路開拓など、水産物の輸出強化に取り組むこととしております。
このほか、2年連続で記録的な不漁となった大村湾のナマコ資源の回復に取り組むとともに、急激な餌代高騰の影響を受けているクロマグロ養殖事業者に対し、餌となる魚種の転換を支援し、技術確立を進めてまいります。
さらに、就業者の確保に向け、基礎的な知識習得を目的とした「ながさき漁師スクール」を開設するほか、若手の離職防止を目的とした技術研修の実施や、新規就業や外国人向けの相談体制の充実を図るなど、本県水産業の持続的な発展を目指してまいります。
魅力あふれるまちづくりと戦略的なプロモーションによる誘客拡大
多様化する旅行ニーズや商品ニーズに対応し、国内外から選ばれる長崎県を目指すためには、魅力あるまちづくりや、受入態勢の整備、戦略的なプロモーションによる誘客拡大が重要であります。
そのため、各地域の観光コンテンツを「歴史・文化」や「食」などのテーマでつなぎ、市場ニーズに合わせた滞在型観光モデルを創出するとともに、訴求力の強いコンテンツを活用したアニメ・マンガツーリズムを推進するほか、県北地域においては、食の周遊拠点を構築することにより、官民連携による地域活性化を促進してまいります。
また、観光情報基盤の整備を通してマーケティング分析を強化し、市町や観光事業者によるデータ活用を促進するとともに、関西エリアを中心とした誘客可能性の高いエリアにおいて、ターゲットを意識した戦略的なプロモーションを展開することとしております。
このほか、宿泊施設における深刻な人手不足に対応するため、外国人材に関する雇用相談の実施や採用・育成に必要な経費を支援することにより、外国人材の受入・定着を推進してまいります。
インバウンド対策については、引き続き、国際航空路線の維持・拡大を図るプロモーションを展開するとともに、長崎空港などにおいて外国人観光客の動向調査を実施し、今後の施策への活用を図ってまいります。
現在、経済対策補正予算を活用し、「ニューヨーク・タイムズ」の「2026年に行くべき52か所」に長崎が選出されたことを契機としたプロモーションを進めております。
その一環として、去る5月9日、アメリカ・ニューヨークで開催された「第5回ジャパンパレード&ストリートフェア」及び、翌10日に開催された「ジャパン・ビレッジ・スプリング・フェスティバル」に本県として初めて参加し、長崎検番の皆様とともに、本県の魅力を直接お伝えしてまいりました。
今後とも、更なる誘客拡大に向け、観光地としての認知度向上を図ってまいります。
次に、県庁舎跡地の整備については、隣接する出島との一体感や重層的な歴史を有する場所にふさわしい上質なデザインが重要であると考えております。
そのため、より質の高いデザインを確保する観点から事業手法を見直し、設計を先行して実施することとし、引き続き、関係者の皆様と意見交換を重ねながら、具体的な取組を着実に進めてまいります。
文化・スポーツによる地域の賑わいづくり
昨年開催した「ながさきピース文化祭2025」を契機に県民の皆様の文化芸術への関心、また、V・ファーレン長崎のJ1リーグへの昇格、長崎ヴェルカのB1リーグでの活躍等により県民の皆様のスポーツへの関心が非常に高まっております。
こうした機会を捉え、本県の特色ある歴史や文化芸術、スポーツの振興による地域の活性化や交流人口の拡大を図ることが重要であると考えております。
そのため、県内文化芸術イベントを統一的に情報発信するとともに、ピース文化祭を通じて得られた成果や関係性を活かし、多様な文化芸術に触れる機会の創出や人材育成、地域の文化芸術活動への支援を行い、官民連携による地域文化芸術の振興に力を注いでまいります。
このほか、令和10年の世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の登録10周年に向けて、魅力的な情報発信素材の作成や構成資産等を巡るモデルコースの開発、巡礼ガイドの知見や語りを蓄積したAIガイドの導入による受入環境の整備などに取り組んでまいります。
一方、スポーツの振興については、県内広域に経済波及効果をもたらす大規模参加型スポーツイベントへの開催支援や、県外からの集客が見込まれる観戦型スポーツイベントの誘致に取り組むとともに、子どもたちが運動・スポーツと出会い、継続して取り組める環境整備を推進してまいります。
また、「ツール・ド・九州」については、2027年大会の開催に向け、佐世保市を中心とした県北地域において新たに「ロードレース」形式での実施を目指してまいります。
本大会は、国内外から多くの有力選手や観客、関係者等の来訪が期待されるものであり、地域の振興や交流人口の拡大に資するのみならず、全世界に向けて本県の魅力を発信する大変意義深い機会となるものと考えております。
今後とも、県民の皆様のご理解とご協力をいただきながら、関係市町や関係団体等の皆様と十分連携し、新たなレース形式による大会の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。
長崎県の魅力の発信及び価値の向上
本県が有する魅力や価値を持続的に高めていくためには、魅力の発信と価値向上に向けた取組を、県内外一体で推進していくことが重要であります。
そのためには、県民や県内事業者、行政職員一人ひとりが地域の価値を自分事として捉え、共感し、自ら発信していく基盤づくりが不可欠であることから、まずは、長崎の魅力に県民が触れる機会を増やす取組を進めてまいります。
なかでも、水産分野においては、西日本最大の水揚量を誇る県産魚の魅力や価値をわかりやすく伝え、県産魚を優先的に選択・消費していただくよう、さかなの日のイベントや県内小売店でのフェアなどを通じて、本県水産物のブランドイメージの確立を目指してまいります。
また、県産品については、関西地区をはじめとするターゲットエリアにおいて、戦略的かつ効果的なプロモーションを展開し、長崎県産品の認知度向上とファンの拡大につなげてまいります。
地域の医療・福祉・介護サービスの確保
全世代の県民の皆様が、住み慣れた地域で安全・安心に暮らしていくためには、医療・福祉・介護サービスなどにおける体制の整備や人材の確保など、適切な環境づくりが重要であると考えております。
そのため、まずは、国の経済対策で措置された業務効率化や職場環境改善を行う医療機関への支援、介護事業所がサービスを継続するための設備や備品の購入支援、福祉・介護事業所の賃上げ・職場環境改善への支援に取り組んでまいります。
また、医療分野においては、効率的かつ持続可能な在宅医療提供体制を確保するため、ICTツール等の活用による業務効率化や多職種連携強化を図る市町等の取組を支援してまいります。
併せて、複数の小規模訪問看護ステーションが連携・協働して行う人材育成や事務の共同処理など、機能強化に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。
また、離島・へき地における医療を確保するため、医療機関等に勤務する看護師が特定行為研修を受講できる環境の整備を進めるとともに、指定研修機関からの修了者の在籍出向を通じ、修了者の活動の普及促進を支援することとしております。
加えて、離島の診療所において、オンライン診療が可能な体制の構築を推進してまいります。
このほか、国民健康保険および後期高齢者医療のデータを活用し、地域課題の抽出や介入効果の分析等が可能なデータベースと分析体制を構築することで、地域の実情に応じた状況分析や評価に基づく、保健・医療・介護等の施策の取組を促進してまいります。
さらに、看護人材確保対策の強化や障害福祉事業所向けの外国人材受け入れセミナーを実施するとともに、災害時における歯科医療や口腔管理等の実施に必要な器材等の整備や、訪問歯科診療等に対応できる歯科衛生士を養成するための教育環境整備への支援に取り組んでまいりたいと考えております。
介護分野については、介護人材を確保するため、ケアマネジャーが本来業務に注力できる労働環境改善モデルを構築することを目的として、介護保険の対象外業務の実態調査及び切り分けを行い、民間事業者等による受け皿づくりに向けた実証を進めることとしております。
また、居住地にかかわらず必要な介護サービスを受けられる体制を構築するため、離島において島外事業者が介護サービスを提供する際に発生する渡航費用や、外国人介護人材を受け入れるために必要な宿舎の改修費等を支援してまいります。
活力あふれる地域の維持・発展
離島・半島・過疎地域の維持・発展のためには、それぞれの地域が有する多様な資源を活かし、産業振興や交流人口の拡大等による地域活性化や地域における多様な主体の連携によるコミュニティの維持・活性化が必要であります。
地域課題の解決には先端技術の活用が重要であり、AIやロボットなどの先端技術が日常生活に必要なサービスとして社会実装されるよう、産学官金が連携して実証等に取り組んでまいります。
このほか、地域運営組織の維持・活性化のため、有識者による支援体制を構築するとともに、離島における創業支援については、プラットフォームを構築することによる効果的な情報発信や雇用機会拡充事業の活用に向けた伴走型支援に取り組んでまいります。
また、地域を維持するためには、日常生活に必要な公共交通の維持・確保が極めて重要であります。
そのため、運転士確保対策会議を設置し、先進事例の共有や採用強化に向けた取組を行政と交通事業者が一体となって推進するとともに、移住施策と連携した人材確保などを強力に進めてまいります。
農山漁村の賑わいづくり
集落機能の低下が懸念される中、農山漁村地域においては、地域資源の価値や魅力を活用した取組を進め、活性化を図る必要があると考えております。
そのため、農山村においては、地産地消に関する情報発信を強化するとともに、農泊の受入れにかかるワンストップ窓口の整備により、受入規模の拡大を目指してまいります。
また、漁村については、各地域の特徴に応じた「海業」の取組を後押しすることで、漁業や水産物の魅力発信を通じた交流人口の拡大や地域消費の拡大を推進してまいります。
関係人口と地域の交流促進
地域の活力を将来にわたって維持していくためには、地域と多様な形で継続的に関わり、地域づくりや地域産業を支える関係人口の創出・拡大が重要であります。
そのため、まずは、先進事例の調査や市町との連携強化を図り、今後の施策の検討を深めてまいります。
また、引き続きデジタルノマドの受入を推進するため、専用ウェブサイトを整備するとともに、本県と深いつながりを持つ関係人口の創出・拡大に向けた情報発信に取り組んでまいります。
安心して暮らせる環境づくり
安心して生活できる環境づくりを進めるためには、県民一人ひとりの防犯意識や交通安全意識を高めることに加え、食品の安全・安心の確保、気候変動に対応した持続可能な社会づくり、生物多様性の保全、動物愛護管理の推進など、幅広い対応が必要であると考えております。
そのような中、県警察本部においては、近年県内で被害が急増しているニセ電話詐欺被害の抑制を図るとともに、県民を犯罪や事故から守るため、タイムリーな情報発信と各種広報媒体のワンストップ窓口となる防犯アプリを開発し、その広報・周知を徹底してダウンロードを促進することで、安全・安心を実感できる社会環境づくりを目指してまいります。
また、持続可能な地域循環型社会づくりについては、実践型4Rの取組を推進することにより、ごみの排出抑制やリサイクルの一層の促進を図ってまいります。
併せて、災害廃棄物処理に係る仮置場設置訓練を実施し、その成果を災害廃棄物処理計画の改定に反映させてまいります。
さらに、動物愛護については、ボランティア団体等との連携を強化するとともに、多頭飼育問題への対応に取り組むほか、現在、建設を進めている長崎県動物愛護管理センター(仮称)を中心として、さらなる施策の充実に努めてまいります。
誰もが学べる教育環境の充実
子どもたち一人ひとりの個性に応じた質の高い教育や、社会の変化に対応した学びを推進していくためには、多様な学びの場の提供や教育環境の充実に加え、教育を支える人材の確保が必要であると考えております。
そのため、家庭環境にかかわらず、自らの希望に応じた教育を受けられるよう、公教育の一翼を担う私立高校の生徒に対し、入学金への支援を行うとともに、生活保護世帯等については、自己負担が生じないよう授業料の支援を行ってまいります。
また、個性や状況の違いに応じて子どもたちが学ぶことができるよう、不登校児童生徒の自己肯定感を高める体験活動を推進するとともに、特別支援学校の生徒に対しては、引き続きキャリア検定等を実施してまいります。
このほか、教員の働き方改革については、「教職の魅力化作戦会議」の提言等を踏まえ、教職の魅力発信に取り組むとともに、県立学校入学者選抜におけるWEB出願システムの導入などによる業務効率化や寄宿舎への舎監配置、電話応答サービスの導入などにより教員の子どもたちと向き合う時間の確保を進めてまいります。
こども・若者の挑戦を後押し
現代は、変化が激しく将来の予測が極めて困難な時代であり、これからを生きるこどもたちには、自ら未来を切り拓く力が一層求められております。
そのため、長崎県の未来を担うこどもたちや若者の挑戦を、県として確かな形で、しっかりと応援していきたいとの強い思いのもと、「ながさき未来人材育成基金」を創設し、様々な支援策を講じてまいりたいと考えております。
本基金については、今議会に議案を提出させていただいており、運用益や民間企業からの寄附等を活用し、国際的な体験やスポーツ、科学の探究など、多様な分野で努力を続けるこどもたちの挑戦や、日々の活動から一歩踏み出すような挑戦的な取組などを幅広く後押ししてまいります。
このほか、高校においてICTや先端技術を学ぶ機会を提供することにより、社会課題の解決に貢献できる人材を育成するとともに、離島部の小学生を対象として、子どもの夢や志、挑戦意欲を醸成するため、離島の地域資源や本土の人材・企業等を活用した体験活動を実施し、離島部の体験活動の充実を図ってまいります。
結婚、妊娠・出産、子育ての一貫した支援の充実
私は、若い世代が自らの主体的な選択により、希望どおりに安心して結婚し、こどもを生み育てることができるよう、県として、希望がかなう「結婚、妊娠・出産、子育て」を切れ目なく支えていくことが重要であると考えております。
そのため、誰もが仕事と育児を両立できる職場環境の実現を目指し、「日本一共働き・共育てしやすい長崎県づくり」の一環として、企業への取組を推進してまいります。
具体的には、経済団体等との協定締結等により企業への働きかけを行うとともに、好事例の周知や専門家による支援等を通じて、男性の育児休業取得の一層の促進を図ってまいります。
また、県民運動として取り組んできた「ココロねっこ運動」については、「こどもまんなか社会」の理念を踏まえ、若者の意見を取り入れた運動へのアップデートとさらなる周知啓発を進めることにより、県民総ぐるみの子育て支援を推進することとしております。
このほか、若い世代の結婚・子育てを含むライフデザインにかかる意向を把握し、若者視点での支援策の構築を図るとともに、引き続き、高校生世代までの医療費助成や不妊治療費助成などに取り組んでまいります。
併せて、学校においては、産婦人科専門医等の派遣や、教職員研修の充実により、性に関する教育の一層の推進に努めてまいります。
また、分娩数が減少している分娩取扱施設や、地域の小児医療の拠点となる施設等への支援を行うとともに、経営の厳しい離島・へき地においてお産を支える産科医等に対する分娩手当の助成を拡充することにより、安心してこどもを生み育てることができる地域医療体制を確保してまいりたいと考えております。
さらに、長崎県周産期医療支援システム「すくすく」の機能改修により、妊婦健診情報やメンタルヘルスに関する情報を関係機関で共有し、出産後の切れ目のない産後ケアを進めるなど、きめ細かな支援を行ってまいります。
それでは次に、その他の主な施策や懸案事項などについてご報告を申し上げます。
九州新幹線西九州ルートの整備促進
九州新幹線西九州ルートについては、去る4月2日、自由民主党及び日本維新の会による連立政権樹立後初めてとなる、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム「九州新幹線(西九州ルート)検討委員会」が開催されました。
森山共同委員長からは、国土交通省の水嶋事務次官と佐賀県の山口知事との間で、フル規格を前提とした意見交換が重ねられており、議論が着実に進んでいるのではないかという認識が示されるとともに、佐賀駅を含む幅広いルートを念頭に置いた環境影響評価を来年度の概算要求に盛り込む必要性について言及されたところであります。
さらには、水嶋事務次官と山口知事との協議においても、詳細なルートを特定せず、幅を持たせた形での環境影響評価の実施に向けた議論が継続的に実施されております。
また、去る4月6日には、JR九州を訪問し古宮社長と面談いたしました。
面談の中で、私からは、全線フル規格での整備に向けては様々な論点があるものの、佐賀県の理解を得ることが最も重要であるとの考えを申し上げるとともに、三者での意見交換の開催も含め、同じ方向性のもとで協議を継続していくことについて、認識を共有したところであります。
県としては、引き続き、国土交通省と佐賀県など関係者間の議論を注視しつつ、関係者との実践的な協議を積み重ねるなど、西九州地域全体の発展に資する全線フル規格による整備の早期実現に向け、全力で取り組んでまいります。
国境離島地域の振興
今年度末に期限を迎える有人国境離島法については、本年2月に自由民主党より示された法改正案の大綱において、法期限の延長などに加え、本県から提案・要望した「滞在型観光の促進に係る規定の追加」が盛り込まれたところであります。
また、現在、国においては、国会への法案提出に向け議論が進められております。
こうした中、県においては、去る5月18日、関係都道県の知事等と連携し、あかま内閣府特命担当大臣をはじめ関係者に対し、令和9年度の有人国境離島法関係予算の確保等について要望を行ってまいりました。
さらに、6月13日には、金子国土交通大臣及び岸田元内閣総理大臣が小値賀町を訪問され、国境離島地域における定住促進等にかかる視察が行われました。
意見交換では、有人国境離島法の改正法案の早期提出と、原油価格の高騰などを踏まえた離島振興対策のさらなる充実に対し、支援をお願いしたところであります。
今後とも、改正法案の早期提出・成立が図られるとともに、支援策の充実・強化と必要な予算の確保が実現されるよう、関係市町とも連携して国等へ働きかけてまいります。
核兵器廃絶に向けた取組
去る4月27日から5月22日まで、アメリカ・ニューヨーク市において、核兵器不拡散条約再検討会議が4年ぶりに開催されました。
県においては、4月27日から5月1日までの期間、現地で活動を行い、本県として初めて、NGOセッションでのスピーチや、平和人材の育成及びJリーグピースマッチに関するパネル展示を実施し、「長崎を最後の被爆地に」という県民の皆様の強い思いを世界に発信いたしました。
また、広島県や各国政府、国際団体との共催により、国連関係者や研究者等が参加するシンポジウムを開催したほか、次代を担う若者で構成される「ナガサキ・ユース代表団」が主催するイベントに参加いたしました。
その一方で、本会議は最終文書を採択できないまま閉幕し、核兵器国と非核兵器国の間で、核軍縮と不拡散に向けた共通の方向性が示されなかったことは、極めて遺憾であり、誠に残念な結果だと受け止めております。
こうした国際協調の枠組みが大きな試練に直面している今だからこそ、核兵器廃絶の必要性を訴える被爆地の役割は、これまで以上に重要性を増していくものと考えており、今後とも、長崎市や関係団体等と連携し、被爆の実相の発信と次代を担う人材育成に積極的に取り組むなど、一日も早い核兵器廃絶を目指してまいります。
石木ダムの推進
石木ダムについては、現在、ダム本体の工事期間中に使用する付替道路約1.7キロメートルの区間について供用を開始し、住民の方に生活道路としても使用していただくなど、着実に進捗が図られているところであります。
一方で、私は、事業を進めていくうえで、当事者である地元住民の皆様との対話を丁寧に行っていくことが大切であると考えており、去る4月13日には、改めて川原地区にお住まいの皆様とお会いし、一緒に現地を歩いて確認しながら故郷を大切にする思いをお聞きいたしました。
また、有識者の意見を聞く場について、賛成反対のそれぞれの立場の方から、予断なく様々なご意見を伺いたいという私の考えを13世帯の皆様に説明したところであります。
なお、意見を聞く場を開催している間は、地元住民の皆様からの要望もあり、新たな工事には着手しないこととしております。
今後も、事業の当事者である地元住民の皆様との対話を重ねながら、令和14年度の完成工期を念頭に置いて、丁寧に事業を進めてまいります。
幹線道路の整備
県では、産業の振興や交流人口の拡大による地域活性化を図るとともに、強靱な県土づくりに向けて、西九州自動車道などの高規格道路の整備を重点的に進めております。
去る4月7日、本年度の国土交通省関係予算が公表され、西九州自動車道については、国道205号 大塔ロータリー周辺局所渋滞対策の新規事業化が公表されました。
長年の懸案でありました大塔ロータリー周辺の慢性的な渋滞が解消されることで交通の円滑化が図られるとともに、令和9年度には西九州自動車道の佐世保中央インターから佐世保大塔インター間の4車線化が完成される予定であることから、県北地域の経済・産業の更なる発展に大きな期待を寄せているところであります。
さらに、島原道路の小野町から長野町までの約3キロメートル区間においては、今年度から地域の意見聴取が始まるなど、事業化に向けた計画段階評価の手続きが着実に進展しております。
県としては、早期事業化に向けて、引き続き、関係市と連携して協力してまいりたいと考えております。
今後とも、産業の振興や地域の活性化に寄与する幹線道路ネットワークの整備を推進してまいります。
長崎県行政経営方針の策定
新たな行財政運営に関する方針については、有識者や県議会の皆様からのご意見を踏まえながら検討を重ね、このたび「長崎県行政経営方針」として取りまとめました。
本方針では、変化が激しく不確実性の高い時代においても、職員一人ひとりが同じ方向を目指して主体的に行動していくため、長崎県庁の使命を「県民や地域の課題に正面から向き合い、長崎県の価値を高め続ける」と定めるとともに、目指す組織像として「挑戦が生まれる風土に」「信頼がつづく仕組みに」「わたしらしさが輝く場に」の3つを掲げ、その実現に向けた取組を示しております。
具体的には、挑戦を後押しする環境づくり、職員のやりがいと成長を支える評価や働き方の仕組みづくり、戦略的な人材確保、業務の効率化と質の向上に向けたDXの推進、さらには
EBPMに基づく効果の高い事業の実施などに取り組むことで、施策の質を高め、県民サービスの充実を図っていくこととしております。
県民の暮らしと地域の未来を支え、長崎県の歩みを確かなものとしていくためには、挑戦と持続が両立する行政経営が不可欠であります。
そのため、本方針に基づき、県民の皆様から信頼され、期待される長崎県庁となるよう、全力で取り組んでまいります。
企業誘致の推進
去る5月13日、東京都に本社を置く株式会社サザビーリーグIRISが、長崎市への立地を決定されました。同社は、5年間で50名を雇用し、ITコンサルティング及び各種システムの設計・開発などを行うこととされております。
また、6月4日、広島県に本社を置く北川精機株式会社が、県内では長崎市の設計・開発拠点に次ぐ2箇所目の拠点として、雲仙市への工場の立地を決定されました。同社は、5年間で
10名を雇用し、半導体関連装置部品などの製造を行うこととされております。
引き続き、雇用の拡大と地域経済の活性化を目指して、地元自治体や関係機関と連携しながら、企業誘致の推進に力を注いでまいります。
スポーツの振興
サッカーJ1リーグの特別大会「百年構想リーグ」を戦ってこられたV・ファーレン長崎におかれましては、17位という成績をもって今大会を終えられました。
8年ぶりとなるJ1の舞台において、全国の強豪クラブを相手に最後まで粘り強く戦われた姿は、クラブの着実な成長を示すものであり、多くの県民に勇気と感動を与えるとともに、今後のさらなる発展に向けた大きな糧となるものであったと受け止めております。
また、8月からは2026/27シーズンが開幕し、J1の舞台で再び戦いが始まります。これまでに積み重ねてこられた経験と実績を礎として、さらなる飛躍を遂げられることを心より期待しております。
一方、個人競技では、3月に開催された第63回全日本ボウリング選手権において、西肥シルバーボウルの福満亮選手が個人総合優勝に輝きました。
また、4月にキルギス共和国で開催された2026年アジアレスリング選手権大会において、島原高校定時制教諭の吉武まひろ選手が、準優勝を果たしました。
選手並びに指導に当たられた関係者の皆様のご健闘をたたえるとともに、今後とも、本県スポーツの振興と競技力の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
議案関係
次に議案関係について、ご説明申し上げます。
まず、補正予算でありますが、本年度の当初予算は、政策的経費を除いた骨格予算としておりましたので、今回の補正予算において具体的な肉付けを行い、編成いたしております。
一般会計 698億 261万円2千円の増額
補正をしております。
この結果、現計予算と合算した本年度の一般会計の歳入歳出予算額は、
7,787億6,584万2千円
となり、前年度の当初予算 に比べ、
440億2,963万3千円 の増となっております。
次に、予算以外の議案のうち、主なものについてご説明いたします。
第74号議案「ながさき未来人材育成基金条例」は、こども及び若者の多様な挑戦を支援することにより、次代を担う人材の育成及び活躍の推進を図るため、新たに基金を設置しようとするものであります。
第78号議案「契約の締結について」は、長大橋維持管理事業の事業契約を締結しようとするものであります。
第82号議案は、長崎県教育委員会の委員の任命について議会の同意を得ようとするものであります。 委員といたしまして、
東 晋 氏
を任命しようとするものであります。
第83号議案は、長崎県人事委員会の委員の選任について議会の同意を得ようとするものであります。 委員といたしまして、
大 串 祐 子 氏
を選任しようとするものであります。
いずれも適任と存じますので、ご決定を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
なお、教育委員会委員を退任されます、嶋崎 真英委員、人事委員会委員を退任されます、辻 良子委員には、在任中、多大なご尽力をいただきました。この機会に厚くお礼申し上げます。
その他の案件については、説明を省略させていただきますので、ご了承を賜りたいと存じます。
以上をもちまして、本日提出いたしました議案の説明を終わります。
なにとぞ、慎重にご審議のうえ、適正なるご決定を賜りますようお願い申し上げます。