大村湾の水質
大村湾は、長崎県のほぼ中央部に位置する閉鎖性の高い海域です。
湾内の海水は外海と入れ替わりにくいため、流域から流れ込む水の影響を受けやすい特徴があります。
そのため、大村湾の豊かな自然環境を守るためには、水質の状況を継続的に把握し、適切な保全対策を進めていくことが重要です。
長崎県では、大村湾の環境を守るため、長年にわたり水質調査を実施しています。
なぜ水質管理が必要なのか
大村湾は、針尾瀬戸と早岐瀬戸を通じて外海とつながっていますが、海水の交換が起こりにくい地形となっています。
また、流域には約27万人が暮らしており、雨水や河川水、処理された生活排水などが最終的に大村湾へ流れ込みます。
海水の入れ替わりが少ない大村湾では、流域から流入する物質の影響が湾内に残りやすいため、水質の保全が重要な課題となっています。
水質を評価する主な指標
大村湾では、水質の状況を把握するために主に次の3つの指標を用いています。
・COD
COD(化学的酸素要求量)は、水中の有機物による汚れの程度を表す指標です。
値が高いほど、水中の有機物が多いことを示します。
大村湾環境保全・活性化行動計画では、CODを主要な水質指標の一つとして継続的に監視しています。
・全窒素
全窒素(T-N)は、海水中に含まれる窒素の量を示す指標です。
窒素は生きものの成長に必要な栄養分ですが、多すぎると植物プランクトンの異常増殖や赤潮の発生につながる場合があります。
・全リン
全リン(T-P)は、海水中に含まれるリンの量を示す指標です。
リンも窒素と同様に生きものに必要な栄養分ですが、過剰になると水質へ影響を及ぼすことがあります。
大村湾の水質目標
長崎県では、「大村湾環境保全・活性化行動計画」において、水質目標を設定しています。
| 項目 | 水質目標値 |
| COD(75%平均値) |
2.0mg/L以下 |
| 全窒素(年間平均値) | 0.2mg/L以下 |
| 全リン(年間平均値) | 0.02mg/L以下 |
※COD(75%平均値)、全窒素、全リンとも17環境基準点の平均とします。
※CODは年間測定結果の75%平均値を用いて評価しています。
CODの推移

※出典:第5期大村湾環境保全・活性化行動計画をもとに作成
大村湾のCODは、平成15年度には3.2mg/Lでしたが、その後は2.0~2.5mg/L程度で推移しています。
しかし、水質目標である2.0mg/Lにはまだ達しておらず、引き続き改善に向けた取組が必要です。
全窒素の推移

※出典:第5期大村湾環境保全・活性化行動計画をもとに作成
全窒素は改善が進み、平成24年度以降は水質目標である0.20mg/L以下で推移しています。
近年は安定して目標を達成している状況です。
全リンの推移

※出典:第5期大村湾環境保全・活性化行動計画をもとに作成
平成15年度以降は水質目標である0.02mg/L付近で横ばいとなっており、平成29年度以降は継続して目標を達成しています。
水質改善に向けた取り組み
大村湾では、「大村湾環境保全・活性化行動計画」に基づき、長崎県や流域市町、関係機関が連携しながら水質改善や下水道の整備に取り組んでいます。
さらに、生きものの生息環境を再生するための浅場造成や親水意識醸成のための環境学習なども行われています。
これからの大村湾
大村湾の水質は長期的に改善傾向にあります。
全窒素および全リンについては、近年水質目標を達成した状態が続いており、CODについても目標達成した年度も見られますが、湾奥部などでは値が高く、引き続き環境改善に向けた取組が必要です。
長崎県では今後も関係機関と連携しながら調査や対策を進め、大村湾の豊かな自然環境を未来へ引き継ぐための取組を続けていきます。