令和4年6月定例会

意見書・決議


地方財政の充実・強化を求める意見書

 地方自治体は、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、地方創生・人口減少対策や地域経済活性化・雇用対策、人づくり、大規模災害に対応するための防災・減災対策、デジタル化の推進など、様々な政策課題に直面している。
 政府においては、「経済財政運営と改革の基本方針2021」において、2022年度からの3年間、地方の一般財源総額を2021年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとしているところであるが、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に加え、原油価格・物価高騰等により社会経済活動へ大きな影響が生じるなど、地方財政は極めて厳しい状況下にあり、2年以上に及ぶコロナ禍で疲弊した地域経済を回復させるためには、更なる地方財源の確保が必要不可欠である。
 よって、国におかれては、2023年度の地方財政予算全体の安定確保に向けて、次のとおり適切な措置を講じるよう強く求める。

  1. 地方財政計画、地方税のあり方、地方交付税総額など地方に関わる重要政策については、国と地方の協議の場において、地方と十分に協議を行い、その意見を反映すること。

  2. 地方創生・人口減少対策をはじめ、社会保障関係費の増嵩への対応、地域経済活性化・雇用対策、人づくり、防災・減災対策、デジタル化の推進など、地方の実情に沿ったきめ細かな行政サービスを十分担えるよう、今後も安定的な財政運営に必要な一般財源総額の確保・充実を図ること。

  3. 地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が適切に発揮されるよう総額を確保するとともに、財源不足への補填については、臨時財政対策債の発行等によることなく、法定率の引上げを含めた抜本的な改革等による対応を検討すること。

  4. 新型コロナウイルス感染症対策に関する地方創生臨時交付金や緊急包括支援交付金などについては、今後の感染状況や地方における財政需要を把握しつつ、物価高騰等の影響にも留意しながら、引き続き、国の責任において十分な財源を確保すること。また、リーマン・ショック時と同様に、地方財政計画における歳出特別枠の計上や地方向け交付金の創設などの新たな財政措置を講じること。

  5. 地方創生を確実に推進するため、地方財政計画における「まち・ひと・しごと創生事業費(1.0兆円)」、「地域社会再生事業費(0.4兆円)」及び「地域デジタル社会推進費(0.2兆円)」を維持・確保するとともに、その算定については条件不利地域を有する団体や財政力の弱い団体に配慮すること。

  6. 特に、令和3、4年度のみの措置とされている「地域デジタル社会推進費」については、県民サービスの向上につながる行政のDX・デジタル化やシステム環境整備の推進に必要な経費も含め、増額を行うなどの拡充を図ること。

  7. 地方創生推進交付金をはじめとする地方創生関連予算については、地域の活力再生や移住定住促進などの取組を推進するため、継続的かつ安定的な財源を確保すること。

  8. 会計年度任用職員制度に伴う財政需要については、引き続き、地方財政計画に確実に計上すること。

  9. 地方自治体は、国を上回る行財政改革や歳出抑制の努力を行う中で基金の確保など財政運営の年度間調整に取り組んでいることから、地方の基金残高の増加を理由に地方財政計画の圧縮や、地方交付税の削減を行わないこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



  令和4年7月1日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長        細田 博之 様
参議院議長        山東 昭子 様
内閣総理大臣       岸田 文雄 様
総務大臣         金子 恭之 様
財務大臣         鈴木 俊一 様
内閣官房長官       松野 博一 様



国土強靱化のさらなる推進に向けた意見書

 本県は、土砂災害警戒区域が全国2位の32,379箇所と急峻な山地や崖地が多いことに加え、大雨特別警報も4年連続で発令されるなど、前線に伴う集中豪雨や台風の常襲地帯に位置し、頻繁に洪水・浸水被害や土砂災害が生じるなど、近年の激甚化・頻発化する自然災害によって、県民生活は多大な影響を受けている。
 現在、国においては、地震・津波対策をはじめ「流域治水」の考え方に基づき、流域全体で水災害を軽減させる取組や土砂災害対策、社会インフラの老朽化対策などの取組を令和7年度までの「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」として進めているところであり、着々とその整備効果が現れている。
 しかしながら、その取組は未だ道半ばである。地球温暖化の悪影響が顕在化し、巨大地震の切迫性も指摘されているなか、次代に向けて強靱な国土を形成していくことに継続的かつ迅速に取り組んでいくことは、今を生きる我々の責務であり、令和4年6月7日に閣議決定された骨太の方針においても、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」後も中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的に国土強靱化の取組を進めていくことが明記されたところである。
 また、進展する少子高齢化・人口減少の潮流を踏まえ、国と地方が総力を挙げて地方創生への取組を進めるなか、2年以上に及ぶコロナ禍は、「大都市への集中」から「地方への分散」へとパラダイムシフトをも導いている。ポストコロナを見据えた、分散型の国づくりを推進するため、高規格道路のミッシングリンク解消や暫定2車線区間の4車線化など、国土強靱化に資する地方創生回廊の構築は必要不可欠である。
 よって、国におかれては、国土強靱化のさらなる推進に向けて、下記の事項を講じられることを強く要望する。


  1. 5か年加速化対策期間中の各年度予算を十分に確保するとともに、完了後においても、引き続き、国土強靱化に必要な予算・財源を別枠で確保すること。

  2. 点検・調査・設計など多額の地方単独費を要する業務について、補助及び交付金事業や地方債充当の対象とするなど地方財政措置の充実・強化を図ること。

  3. 補正予算については、円滑に事業執行するための弾力的な運用を講ずること。

  4. 計画的な事業執行に有効な当初予算で措置すること。

  5. 自然災害の脅威等に即応するための地方整備局等の体制の充実・強化を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和4年7月1日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長        細田 博之 様
参議院議長        山東 昭子 様
内閣総理大臣       岸田 文雄 様
総務大臣         金子 恭之 様
財務大臣         鈴木 俊一 様
国土交通大臣       斉藤 鉄夫 様
内閣官房長官       松野 博一 様
国土強靱化担当大臣    二之湯 智 様
内閣府特命大臣(防災)



骨髄移植ドナーに対する支援の充実に関する意見書

 骨髄移植及び末梢血幹細胞移植は、白血病等の難治性血液疾患に対する有効な治療法である。広く一般の方々に善意による骨髄等の提供を呼び掛ける骨髄バンク事業は、公益財団法人日本骨髄バンクが主体となり、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律に基づいて実施されている。
 骨髄バンク事業において、令和4年4月現在のドナー登録者数は53万8千人を超え、患者とのHLA適合率は9割を超えている一方で、そのうち移植に至るのは6割未満に留まっている。これは、ドナーの健康上の問題のほか、提供に伴う通院や入院等のための休暇を認めるか否かは、ドナーを雇用している事業主ごとに対応が異なることなど、様々な要因による。
 骨髄ドナー特別休暇制度は、ドナー登録時や骨髄提供時の心理的な負担を軽減することから、官公庁や大手企業等で既に導入されているが、令和4年5月現在の導入企業等は全国で724社しかなく、中小企業等への普及拡大が課題となっている。
 また、本県においては、検査や入院等により休業したドナーの経済的負担を軽減するため、令和3年4月に長崎県骨髄等移植ドナー支援市町補助事業補助金を創設し、県内市町のドナー支援制度に対して支援を開始したところであるが、地方自治体が安定的に施策を継続して実施していくためには財源の確保が重要である。
 よって、国におかれては、骨髄移植等の一層の推進を図るため、ドナーに対する支援の充実に関し、下記の事項を早期に実現するよう強く要請する。


  1. ドナー休暇制度の制度化に向けて、普及拡大を図るとともに、企業による同制度の導入支援を行うこと。

  2. ドナーが、骨髄等の提供に伴う入院、通院、打合せ等のために休業する場合の補償制度の創設について検討すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和4年7月1日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長        細田 博之 様
参議院議長        山東 昭子 様
内閣総理大臣       岸田 文雄 様
厚生労働大臣       後藤 茂之 様
内閣官房長官       松野 博一 様



少人数学級・教職員定数の改善に係る意見書

 2021年の法改正により、小学校の学級編制の標準は段階的に35人に引き下げられるものの、今後は、小学校に留まることなく、中学校での早期実施も必要である。
 学校現場では、貧困・いじめ・不登校など解決すべき課題が山積しており、子どもたちのゆたかな学びを保障するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっている。また、新型コロナウイルス感染症対策にともない新たな業務も発生している。ゆたかな学びや学校の働き方改革を実現するためには、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善が不可欠である。
 よって、国におかれては、地方教育行政の実情を十分に認識され、地方自治体が計画的に教育行政を進めることができるように、下記の措置を講じられるよう強く要請する。


  1. 中学校での35人以下学級について早期の拡充を検討すること。

  2. 学校の働き方改革・長時間労働是正を実現するため、加配の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善を推進すること。

  3. 自治体で国の標準を下回る「学級編制基準の弾力的運用」の実施ができるよう加配の削減は行わないこと。

  4. 教育の機会均等と水準の維持向上をはかるため、地方財政を確保した上で義務教育費国庫負担制度を維持すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和4年7月1日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長        細田 博之 様
参議院議長        山東 昭子 様
内閣総理大臣       岸田 文雄 様
総務大臣         金子 恭之 様
財務大臣         鈴木 俊一 様
文部科学大臣       末松 信介 様
内閣官房長官       松野 博一 様



2023年G7関係閣僚会合の長崎開催を求める決議

 自由、民主主義、人権などの基本的価値を共有する主要国首脳が一堂に会し、政治・経済をはじめ、地球環境問題や新型コロナウイルス感染症拡大等の諸課題について議論するG7サミットが、来年、我が国の広島市で開催される予定である。  本県は、このG7サミットに伴って開催される関係閣僚会合の長崎市開催を実現すべく、長崎市と連携して誘致に向けた取組を推進している。
 ロシアはウクライナ侵略の中で、核兵器の使用も辞さないと威嚇しており、今や国際社会は、広島・長崎以後使われてこなかった核兵器が再び使われるという、未曾有のリスクに直面している。
 折りしも、核兵器禁止条約の初めての締約国会議がオーストリア・ウィーンで開催され、広島・長崎の被爆者の方々も続々と現地入りして、核兵器の非人道性についてあらためて警鐘を鳴らしたところである。
 このような現下の核兵器を巡る厳しい国際情勢の中で、同じ被爆地として広島市と連携してG7関係閣僚会合を誘致することは、各国閣僚が直接被爆の実相に触れ、二度と惨禍を起こさないとの思いを共有していただき、世界の人々の平和を希求する機運醸成を後押しする絶好の機会ともなることから、核兵器のない世界の実現に取り組んできた本県にとって極めて大きな意義を有するものである。
 加えて、本県では、長年の悲願であった九州新幹線西九州ルートの本年9月の開業を控えて、長崎駅周辺における大型MICE施設をはじめとする様々なプロジェクトが進展するなど百年に一度の変革の時期を迎えており、G7関係閣僚会合の開催実現は、その多彩な長崎の魅力をあらためて世界に広く発信し、観光産業をはじめとする本県経済の活性化に大きく寄与することが期待される。
 よって、本県議会は2023年G7関係閣僚会合の長崎開催を強く求めるものである。



以上、決議する。


  令和4年7月1日


長 崎 県 議 会

(提出先)

内閣総理大臣       岸田 文雄 様
外務大臣         林  芳正 様