令和8年6月定例会
意見書・決議
地方財政の充実・強化を求める意見書
地方自治体は、こども・子育て政策の強化を含む社会保障関係費が年々増加する中で、地方創生・地域未来戦略の推進、人口減少対策や地域経済活性化・雇用対策、人づくり、大規模災害に対応するための防災・減災対策、DX・GX化の推進など、様々な政策課題に直面している。
政府においては、「経済財政運営と改革の基本方針2024」において、地方の一般財源総額について、2025年度から2027年度までの3年間、2024年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとしたところであるが、不安定な海外情勢を背景に長期化する原油価格・物価高騰や賃上げ、金利上昇に伴う財政需要のさらなる増加が見込まれるなど、地方財政を取り巻く環境はますます厳しくなっており、地方が安定的な住民サービスを維持しつつ、地域経済の回復・拡大に継続的に取り組んでいくためには、さらなる地方税財源の増額確保・充実が必要不可欠である。
よって、国におかれては、2027年度の地方財政予算全体の安定確保に向けて、次のとおり適切な措置を講じるよう強く求める。
1. 地方財政計画、地方税のあり方、地方交付税総額など地方に関わる重要政策については、国と地方の協議の場において、地方と十分に協議を行い、その意見を反映すること。
2. 物価高騰や賃上げ、金利上昇に伴う財政需要の増加が見込まれるなか、地方創生・人口減少対策をはじめ、こども・子育て政策の強化を含む社会保障関係費の増嵩への対応、地域経済活性化・雇用対策、人づくり、防災・減災対策、DX・GX化の推進、いわゆる教育無償化、持続的な地域医療体制の確保、地域公共交通の維持・活性化など、地方の実情に沿ったきめ細かな行政サービスを十分担えるよう、今後も安定的な財政運営に必要な一般財源総額の増額確保・充実を図ること。
3. 地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が適切に発揮されるよう総額を確保するとともに、財源不足への補填については、臨時財政対策債の発行等によることなく、法定率の引上げを含めた抜本的な改革等による対応を検討すること。
4. 東京一極集中が続き行政サービスの地域間格差が顕在化する中、拡大しつつある地方団体の税収の偏在や財政力格差の状況について原因・課題の分析を進め、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築を図るとともに、税制の見直しに当たっては、税制改正による地方の減収に対して代替となる恒久財源を確実に措置することを前提に、責任ある議論を丁寧に進めること。
5. 地方創生を確実に推進するため、地方財政計画における「地方創生推進費(1.0兆円)」、「地域デジタル社会推進費(0.15兆円)」及び「地域社会再生事業費(0.42兆円)」を維持・確保すること。また、本県は離島・半島など条件不利地域を多く有するとともに、人口減少や高齢化が全国よりも進展している状況であり、その算定については配慮すること。
6. 地域未来交付金をはじめとする地方創生関連予算については、人口減少に負けない強い地域経済の実現に向けて、移住促進や関係人口創出、高付加価値型の産業・事業づくりなどの取組を推進するため、継続的かつ安定的な財源を確保するとともに、地方の実情に応じた柔軟な活用ができる仕組みを構築すること。
7. 全国的な賃上げの動きを踏まえ、会計年度任用職員を含む職員の給与関係経費については、地方自治体の財政運営に支障を来すことのないよう、必要な財政需要を地方財政計画に適切に計上すること。
8. 地方自治体は、国を上回る行財政改革や歳出抑制の努力を行う中で基金の確保など財政運営の年度間調整に取り組んでいることから、地方の基金残高の増加を理由に地方財政計画の圧縮や、地方交付税の削減を行わないこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和8年7月9日
長 崎 県 議 会
(提出先)
衆議院議長 森 英介 様
参議院議長 関口 昌一 様
内閣総理大臣 高市 早苗 様
総務大臣 林 芳正 様
財務大臣 片山 さつき 様
内閣官房長官 木原 稔 様
国土強靱化の計画的かつ着実な推進を求める意見書
近年、気候変動の影響等により、全国各地で豪雨、台風、地震、土砂災害などの自然災害が激甚化・頻発化し、地域の暮らしや経済活動を脅かすリスクが一層高まっている。令和7年8月の低気圧と前線による大雨では、九州北部地方を中心に線状降水帯が繰り返し発生し、長崎県内でも総降水量が500ミリを超えた地点があるなど、土砂災害や道路被害を伴う記録的な大雨となり、近年の気象災害が地域社会に与える影響の大きさが改めて浮き彫りとなった。
このような災害リスクに備える国土強靱化は、国民の命と暮らしを守り、災害時における社会経済活動の停滞を最小限に抑えるための危機管理投資である。同時に、強靱な社会基盤を整えることは、物流の円滑化、産業活動の活性化、民間投資の誘発を通じて、地域の成長力を高める成長投資でもある。
特に本県は、急峻な地形に加え、多くの半島・離島を有し、土砂災害や交通寸断のリスクが高い地域特性を抱えている。このため、災害時に救助・救援、医療搬送、物資輸送を確保するために、防災インフラの整備、災害に強い交通ネットワークの構築が必要不可欠である。また、これらの社会基盤の整備は、観光業、製造業、農業・水産業といった本県の主要産業の発展と高い親和性を有している。こうした地域特性と成長可能性を併せ持つ本県こそ、「稼げる国土」として、国土強靱化を強力に推進すべき地域である。
こうした国土強靱化の効果を最大限に引き出すためには、中長期的な見通しの下、安定的・継続的に公共投資を行うことが必要である。将来の事業量に対する予見可能性が高まることで、地域建設業をはじめとする民間事業者による人材確保・育成や設備投資が促進され、地域における投資や産業活動の活性化につながる。
一方、中東情勢を背景とした原油の供給不安は、輸送コストの上昇に加え、原油由来の建設資材の価格高騰や供給ひっ迫にも波及することから、離島・半島地域を多く抱える本県においては、公共事業の進捗や地域建設業の経営に大きな影響を及ぼしかねない。加えて、近年の猛暑により施工環境は一層厳しさを増しており、工期や施工能力への影響も懸念される。
よって、国におかれては、下記の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
記
・第1次国土強靱化実施中期計画に基づく取組を計画的かつ着実に推進するため、通常の公共事業関係予算とは別枠で、必要かつ十分な予算を安定的・継続的に確保すること。
・資材価格や人件費の高騰等の影響について、予算編成過程で適切に反映させるとともに、今後の災害の発生状況や事業の進捗状況、経済情勢、財政事情等を総合的に勘案し、必要な事業をおこなうための予算を満額確保すること。
・地域建設業の経営安定と担い手確保につながる施工時期の平準化に資するよう補正予算を活用するとともに、当初予算により措置する場合においても、これまでの補正予算による措置分を含む総額として必要かつ十分な予算を措置すると共に、地方公共団体が円滑に事業を実施できるよう、地方債や交付税措置を含め十分な地方財政措置を講じること。
・石油由来の建設資材について、供給面での目詰まりを解消し、需給状況の改善を図ることで、公共事業の円滑な実施に支障が生じないよう必要な対策を講じること。
・災害が発生した自治体に対し迅速かつ円滑な支援を行うため、地方整備局や研究機関等において必要な人員と体制の充実・強化を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和8年7月9日
長 崎 県 議 会
(提出先)
衆議院議長 森 英介 様
参議院議長 関口 昌一 様
内閣総理大臣 高市 早苗 様
総務大臣 林 芳正 様
財務大臣 片山 さつき 様
国土交通大臣 金子 恭之 様
内閣官房長官 木原 稔 様
国土強靱化担当大臣 牧野 たかお 様
内閣府特命大臣(防災) あかま 二郎 様
非核三原則の堅持を求める意見書
1967年(昭和42年)の12月11日、「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則が当時の国会で表明され、これまでもこの原則を国是として国会決議を積み重ね、歴代内閣もこれをひたすら堅持してきた。また、我が国は被爆国として「核兵器のない世界」を希求し、平成6年以降、毎年国連に核兵器廃絶決議案を提出してきた。さらに、国連の場においても非核三原則を堅持する立場を公式に表明し、我が国及び地域の安定に一定の役割を果たしてきたものと考えられる。
しかしながら現在、国家安全保障戦略・国家防衛戦略・防衛力整備計画のいわゆる「安保三文書」の改定に向けた議論が与党内で開始されており、これに伴い非核三原則の見直しを懸念する声がある。核兵器を取り巻く国際情勢が一層厳しさを増す今日だからこそ、非核三原則は我が国と地域の安定を築く基盤として、今後も確実に守られるべきものである。
とりわけ広島と長崎にもたらされた悲劇を二度と繰り返さないためにも、憲法の平和理念とともに非核三原則を堅持し、我が国が核廃絶の主導者として、核兵器のない世界の実現のために一層の取り組みを行っていくことが重要不可欠である。
よって、国におかれては、地球上で唯一の戦争被爆国として、核兵器の脅威と被爆の実相を全世界へ伝え、恒久平和の実現に向けて世界の範となり、非核三原則を堅持されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
令和8年7月9日
長崎県議会
(提出先)
衆議院議長 森 英介 様
参議院議長 関口 昌一 様
内閣総理大臣 高市 早苗 様
外務大臣 茂木 敏充 様
内閣官房長官 木原 稔 様
皇室の伝統に基づく安定的皇位継承を確保するための法整備の早期実現を求める意見書
皇室は、わが国固有の歴史と伝統の象徴であり、国民統合の象徴として、国民の間に深く根差している。皇位が連綿として継承されてきたことは、わが国の国体の根幹であり、その安定的な継承を確保することは、国家の安寧と将来にとって極めて重要な課題である。
現在、皇位継承資格を有する皇族方は少数であり、次世代の皇位継承者は秋篠宮悠仁親王殿下のみという現状に鑑みれば、安定的皇位継承の確保は一刻の猶予も許されない喫緊の国家的事案である。
政府においては、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に基づき、有識者会議による報告書が取りまとめられ、現在、国会においても各会派間での協議が進められている。皇位継承の在り方は国家の基本に関わる極めて重要な問題であり、わが国が古来より守り伝えてきた「男系継承」の重みを尊重した上での、真摯な議論が求められる。
皇族数の確保のための具体的方策としては、有識者会議の報告書において、「内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること。ただし、その配偶者と子は皇族としない」こと、および「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする」ことの二案が示されており、これらはすでに多くの党・会派において共有可能な論点となっている。
よって、国におかれては、皇族数の減少という現実に真摯に向き合い、これらの方策を政争の具とすることなく、超党派による真摯かつ速やかな議論を促進し、今特別国会において皇室典範改正を実現することを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和8年7月9日
長 崎 県 議 会
(提出先)
衆議院議長 森 英介 様
参議院議長 関口 昌一 様
内閣総理大臣 高市 早苗 様
内閣官房長官 木原 稔 様
北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決を求める意見書
北朝鮮による日本人拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命・安全に関わる重大な問題であり、国の責任において解決されるべき最重要課題の一つである。
我が国政府は、北朝鮮による拉致被害者として17名を認定し、平成14年に5名が帰国したものの、いまだ多くの被害者の帰国は実現していない。また、警察庁の公表によれば、「拉致の可能性を排除できない」とされる行方不明者は、本県関係者3名を含め全国で約870人にも上る。
このような中、本年2月16日、高市総理は拉致被害者の御家族等と面会し、「拉致問題の解決は、私に課せられた使命だと思っている。やれる限りのあらゆる手段を尽くして、私の代で何としても突破口を開いて、具体的な成果に結び付けていきたい」との強い決意を表明された。さらに、同年3月19日の日米首脳会談においては、拉致問題の即時解決に向けて引き続きの理解と協力を求め、トランプ大統領から全面的な支持を得たとされる。
拉致問題の早期解決のためには、国による外交努力の一層の推進に加え、国民的な世論の喚起及び継続的な関心の保持が不可欠である。特に、若い世代に対して、拉致問題が過去の出来事ではなく現在も続く重大な人権侵害であることについて理解の促進を図ることが重要である。
よって、国におかれては、下記の事項について特段の措置を講ずるなど、あらゆる手段を尽くし、日本人拉致問題の全面的かつ早期の解決に全力で取り組むことを強く要望する。
記
1.北朝鮮に対する外交努力の強化に加え、国際社会との連携を一層推進し、親の世代の御家族が存命されているうちに全ての拉致被害者及びその可能性のある方々の一日も早い帰国を実現すること。
2.国民的な世論の一層の喚起を図るため、広報啓発活動を強力に推進すること。特に、学校教育の場において、これまで以上に拉致問題に関する映像資料や教材等の活用を通じ、若い世代の理解促進を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和8年7月9日
長 崎 県 議 会
(提出先)
衆議院議長 森 英介 様
参議院議長 関口 昌一 様
内閣総理大臣 高市 早苗 様
外務大臣 茂木 敏充 様
内閣官房長官 木原 稔 様
「長崎県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例」に係る決議
本県議会においては、過去、79市町村が市町村合併により大幅に再編され、選挙区の基盤となる市・郡の構成が従前と大きく変化したため、議員定数を抜本的に見直し、「長崎県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例」を一部改正し、平成19年の県議会議員一般選挙(以下単に「一般選挙」という。)より、議員定数を51人から46人へと5人削減した。
しかしながら、その後今日に至るまで、全国的な人口減少が進行し、本県においても約24万人、率にして約16%という大幅な人口減少が生じている。
議員定数のあり方については、このような人口減少の状況を十分に考慮する必要がある一方で、多くの離島・半島地域を有する本県の地理的特性に鑑み、県民の多様な声を議会に適切に反映させる観点から、慎重かつ十分な検討が求められる。
また、全国都道府県議会議長会に設置された「都道府県議会選挙区制度研究会」では、昨年11月以降、人口減少等を踏まえた地方議会の選挙区制度のあり方について検討が進められてきた。同研究会では、地方議会への多様な人材の参画促進及び議会の活性化の観点から、市と市との合区を柔軟に行える制度の検討、特例選挙区の適用拡大、公職選挙法第15条第8項ただし書きの再構成等について、幅広く議論が行われ、この検討結果を取りまとめた報告書が7月6日に同議長会会長へ提出された。
今後、公職選挙法の改正が検討される可能性に加え、本県では更なる人口減少に伴い、法的に現行選挙区の維持が困難となる地域が生じる恐れもある。これらの情勢を踏まえると、議員定数のあり方については、中長期的かつ総合的な視点に立った検討が不可欠である。
こうした状況下において、来年(令和9年)4月の一般選挙に向けた制度改正の周知期間等を考慮すると、本県議会として十分な検討を行うには時間的制約が大きい。
よって、令和13年の一般選挙に向け、あらためて議員定数を抜本的に見直すことを前提に、今回は現行定数である46人を維持することとする。
次に、各選挙区において選挙すべき議員の数(以下「議員数」という。)についてであるが、令和7年国勢調査速報値に基づく人口比例による配分では、諫早市選挙区は1人増の5人、大村市選挙区は1人増の4人、西彼杵郡選挙区は1人増の3人となる一方で、島原半島の3市(島原市・雲仙市・南島原市)の各選挙区は、それぞれ1人減の1人となる。
島原半島3市は、地理的・経済的に強い一体性を有し、これまでも半島特有の諸課題に対し、緊密な連携により対応してきた。しかしながら、現行の公職選挙法においては3市とも配当基数が1を上回るために「任意合区」の対象とはならず、島原半島全体を単一の選挙区として扱うことは認められない。このため、仮に人口比例の原則に基づき島原半島3市の議員数をいずれも1人とした場合、3市合計の議員数が6人から3人へと急激に半減する事態が生じ、半島振興に重大な影響を及ぼす恐れがある。
また、この場合の議員1人当たり人口は、島原市40,445人、雲仙市38,226人、南島原市37,344人となり、県内のトップ3を占めることになるが、この中で最大となる島原市選挙区と議員1人当たり人口が最小の選挙区との一票の較差は2.6053倍となり、前回国勢調査(令和2年)時の2.0219倍から大幅な拡大を招くことにもなる。
一方で、諫早市、大村市及び西彼杵郡の各選挙区については、前回の定数削減時における議員1人当たり人口(28,993人)に匹敵するような顕著な人口増加が生じているわけではなく、議員数の増加を行う状況にはない。
よって、令和9年の一般選挙においては、人口減少が進行する過渡期における急激な代表数の減少を避けるという特別の事情に鑑み、公職選挙法第15条第8項ただし書きの規定を適用し、議員数は現行のままとし、選挙区についても現行どおりとする。
以上のことから、今回、本条例は改正しないこととするが、本県議会として、選挙区及び議員数のあり方を含む議員定数の抜本的な見直しが令和13年の一般選挙に確実に反映されるよう、次回(令和12年)の国勢調査の結果を待つことなく、積極的に検討を進め、その実現に向けて取り組んでいくものである。
以上、決議する。
令和8年7月9日
長 崎 県 議 会
