令和8年3月定例会
意見書・決議
離島・半島地域の振興対策に関する意見書
離島・半島地域は、豊かな自然と独自の歴史・文化を有し、自然環境の保全や食料の安定的な供給など国家的・国民的役割を担っており、県民のみならず国民共通の財産である。
本県の離島・半島地域では、これまで県、関係市町においても様々な振興施策を実施し、着実な振興が推進されてきた。
しかし、離島・半島地域を取り巻く環境は依然として厳しく、人口減少・少子高齢化の進行、航路・航空路の維持、医療や福祉などの生活インフラ整備の遅れなどの課題を有している。
平成29年度に有人国境離島法が施行されて以降、特定有人国境離島地域では、法に係る各種施策の積極的な推進により、法施行前の水準と比べて人口の社会減が抑制され、一部市町では社会増を達成する年が出てきているものの、人口減少や地域の衰退といった構造的な課題の解決には至っていないところである。離島の振興なくして長崎県の発展はなく、県政の最重要課題のひとつである離島地域の振興に向け、これまで以上に市町や関係団体等との連携を図りながら、地域の振興施策に取り組む必要がある。
また、令和6年能登半島地震や同年9月の豪雨では、改めて半島地域の社会基盤の脆弱性が浮き彫りになったことを踏まえ、半島振興の前提となる「半島防災」のための十分な備えを行う必要がある。そのうえで、半島地域において住民が住み続け安定した暮らしを送れるよう、半島振興計画などに基づき、地域が有する豊かな地域資源を活かしつつ、地域の創意工夫を凝らした取組への支援の充実などが必要である。
よって、県におかれては、下記の事項について、積極的かつ真摯に取り組まれるよう、強く要望する。
記
1 離島・半島地域振興対策について
(1)ドクターヘリの運航について、離島・半島が多い長崎県の現状を踏まえ、近隣県と連携し、安定した運航体制の構築に係る検討を進めること。
(2)移住施策について、海士町などの先進事例を県内の自治体間で共有し、関係人口の拡大や国の予算などの外部財源を効果的に活用する取組を参考にしながら、移住者の更なる増加に向けて取り組むこと。
(3)観光振興について、引き続き、しま旅滞在促進事業を実施し、離島地域への誘客を図るとともに、地域全体で「もう一泊」を促す取組を進めること。
(4)二次離島において、海上タクシー等の船舶は観光客の送迎や急患搬送などを担い、住民生活を支えてきた。医療救急体制の維持のためにも地元市町等と連携し、奈留島の海上タクシーの事業再開及び運航体制の維持に取り組むこと。
(5)水産振興について、小型するめいか釣り漁業に対する採捕停止命令により影響を受ける漁業者の不安を払拭するため、水産関係者と連携のもと、県が先頭に立ち、国との協議を進めること。
2 有人国境離島法対策について
(1)有人国境離島法の改正・延長に当たり、実情に即した使いやすい支援制度への見直しや、国によるデジタル技術等を活用した実証調査の優先的な実施について、国等に要望すること。
(2)雇用機会拡充事業について、人材確保が大きな課題となっている中、外国人材の活用も含め、創出された雇用の場への人材確保に市町と連携して取り組むこと。
(3)航路・航空路運賃低廉化事業の準住民制度について、市町村が策定する特定居住促進計画に基づくワーケーション等のために特定有人国境離島地域に来訪する者が認定されることになったことを踏まえ、各市町へ計画策定の働きかけを行うこと。
3 離島地域航路・航空路対策について
(1)島原半島と近隣県を結ぶ半島航路は、半島地域の産業や観光の振興にとって非常に有力な手段であり、運休となっている島原~大牟田航路については、関係自治体と協力しながら情報提供に努め、再開に向けた取組を進めていくこと。
(2)離島航空路線は、住民の日常生活はもとより、交流人口の拡大にも、なくてはならない重要な交通手段であり、運航事業者と連携し、機材不具合による欠航を減らす体制を整備するとともに、離島航空路線の維持、安全かつ安定的な運航に努めること。
(3)ジェットフォイル更新支援事業について、地域住民の安全・安心や地域活性化に寄与するジェットフォイルの維持・確保のため、1日も早い建造、就航に向けて取り組むこと。
4 関係人口拡大対策について
(1)離島留学制度について、生徒がしまで安心して生活を送れるよう、引き続き生徒やしま親、教員に対するサポート体制の強化を図るとともに、離島留学支援員の増員や離島留学生を受け入れる「しま親」及び学生寮の補助制度の見直しなど支援のあり方について検討を進めること。
(2)世界遺産を活用した観光の取組について、各地域が個別に取り組むのではなく、県が先頭に立ち、離島全体が連携した広域的な観光戦略を推進すること。
(3)ワーケーション事業について、長崎県は多くの離島を抱えており、こうした地域をワーケーションの場としてより活用するため、アクセス面の課題を含め、必要な取組を推進すること。
以上、意見書を提出する。
令和8年3月11日
長 崎 県 議 会
(提出先)
長崎県知事 平田 研 様
観光振興対策、国際戦略対策、新幹線・二次交通対策及び空港活性化対策に関する意見書
人口減少や少子高齢化など、人口構造や社会経済情勢が大きく変化する中、本県においても、持続的な経済成長を実現し、力強い地域社会の構築に取り組んでいくことが求められる。
観光は、消費の拡大や雇用の創出など、地域を活性化させる重要な産業であり、引き続き、特徴ある地域資源に恵まれた本県ならではの観光資源を磨き上げ、魅力発信、インバウンドを含む誘客促進の取組を積極的に展開していく必要がある。
また、歴史的・文化的なつながりを活かした国際交流、外国人材の受入確保等に向けた取組についても戦略的に行う必要がある。
西九州新幹線(長崎~武雄温泉)は開業後3年が経過し一定の効果が見られる一方、九州新幹線西九州ルート(新鳥栖~武雄温泉)は依然として整備方式が決まっていない。新幹線ネットワークは交流促進、産業・観光振興、災害時の代替輸送など国土強靱化の観点からも重要であり、西九州地域の経済活性化のためにも、佐賀県を含む関係者との議論を更に深める必要がある。
長崎空港においては、国内外との交流の活性化のため、既存の航空路線の安定運航及び更なる国際航空路線の誘致に向け、運用時間延長の推進や施設の充実が必要である。
よって、県におかれては、下記の事項について、積極的かつ真摯に取り組まれるよう強く要望する。
記
1 観光振興対策について
(1)本県の歴史・文化・自然・食などの地域資源を活かし、国内外の観光客に向けた魅力的な観光コンテンツの造成・充実を図り、インバウンドを含む観光消費額の向上を促進すること。
(2)更なる観光需要の取り込みにつながる戦略的なプロモーションを推進し、県内周遊の促進を図るとともに、観光関連産業においては多言語に対応できる通訳ガイドなどの人材の確保・育成を推進すること。
(3)宿泊、食、体験などの観光情報発信を充実させるとともに、国際クルーズや国際航空路線の誘致拡大を図ること。
(4)富裕層が利用するスーパーヨットは、滞在中の消費額が大きく、高い経済効果が見込まれることから、関係部局が連携のうえ、施設整備を含む受入体制の構築に向けた検討を推進すること。
(5)新たな観光振興財源となる宿泊税について、適切な制度設計を推進すること。
2 国際戦略対策について
国際友好交流、県産品輸出、外国人材受入等を促進するための戦略的かつ計画的な取組を強化すること。
3 新幹線・二次交通対策について
(1)一刻も早く武雄温泉駅での対面乗換方式を解消し、全線フル規格による整備を早期かつ確実に実現すること。
(2)北陸新幹線との一体的な財源確保やフリーゲージトレイン導入断念の経緯を踏まえた地方負担の軽減や、並行在来線等の諸課題の解決に向けた佐賀県との協議など、政府・与党、JR九州や関係先への働きかけを更に強化すること。
(3)西九州新幹線の利用促進及びその開業効果を広域的に波及拡大させる取組を、JR九州や市町等と連携し、積極的に推進すること。
(4)フル規格による全線開通、整備実現後の県北地域からの新幹線網への直通運行(ミニ新幹線など)及び佐世保線の輸送改善について、政府・与党、JR九州や関係先への働きかけを強化すること。
4 空港活性化対策について
(1)海外各市場のニーズや動向、経済効果などを踏まえて関係機関と協議し、地域交通との連携の強化や、長崎空港における24時間化を見据えた運用時間延長に向けた取組を推進すること。
(2)国際航空路線の拡充やインバウンド誘致に向け、国際線施設の狭隘や設備不足などの課題について、関係機関と協議し、早期解決を図ること。
(3)国際航空路線誘致の進展により増加が見込まれる航空貨物輸送の機会を捉え、関係機関及び関係部局と連携し、航空貨物需要拡大に向けた取組を推進すること。
以上、意見書を提出する。
令和8年3月11日
長 崎 県 議 会
(提出先)
長崎県知事 平田 研 様
成長産業戦略、エネルギー対策、物流対策及び防災対策に関する意見書
人口減少・少子高齢化の進行等に伴う地域経済や公共交通、地域コミュニティの維持・確保、県民の安全・安心な暮らしの実現、目下の人手不足や物価高騰等の社会・経済状況を踏まえた対策については、スピード感を持って的確に取り組んでいかなければならない。
地域経済の持続的発展を支える力強い産業の確立のため、気候変動や新しい時代に対応した産業の振興を図るとともに、新たなサービスの創出や先端技術の社会実装を進め、県全体の産業振興につなげていくことが重要である。
また、2050年カーボンニュートラルの実現のため、地球温暖化対策に関する取組を進めるとともに、単なる環境対策とするだけではなく、経済成長としても位置づけ、企業の前向きな挑戦を後押しする必要がある。
さらに、物流は、県民生活や経済活動を支える不可欠な社会インフラであるが、労働時間規制等の見直しに伴う2024年問題にみられるように複合的で多様な問題が表面化しており、一過性の対策だけではなく、長期的に課題解決に取り組む必要がある。
加えて、激甚化・頻発化する自然災害から県民の生命・財産・暮らしを守り、地域社会の機能を維持するためには、災害に強い持続可能なインフラの整備・管理を進めるとともに、能登半島地震など、近年、全国各地で発生している大規模災害における課題や南海トラフ地震防災対策推進地域の指定等を踏まえて、防災対策を強化していく必要がある。
よって、県におかれては、下記の事項について、積極的かつ真摯に取り組まれるよう、強く要望する。
記
1 成長産業戦略について
(1)半導体関連産業について、域外の需要の獲得による県内企業の技術力を生かしたサプライチェーンの構築への支援を強化するとともに、アンカー企業誘致に向けた誘致体制を強化し、県内半導体関連産業の成長を加速させること。また、企業誘致においても、本県の強みとなり得る長崎空港を活用した貨物輸送の促進について、全庁的に検討を進めること。
(2)世界的な需要拡大が見込まれる航空機関連産業について、アンカー企業の規模拡大への支援及び県内企業の新規参入やサプライチェーンの構築への支援を強化し、県内航空機関連産業の成長を加速させること。
(3)造船業について、戦略的産業として国が支援を強化する中、国との連携を深めながら、本県の造船サプライチェーンが我が国を牽引するトップランナーになることを目指して、県内造船関連産業の振興に取り組むこと。
(4)洋上風力発電関連産業について、県内外の需要獲得に向けた県内企業の取組を支援すること。特に、県内企業が造船業で培った技術や人材を生かせる分野である浮体式洋上風力発電について、世界初の量産サプライチェーンが県内に構築されるよう、設備投資等に対する支援を行うなど、県内企業の参画を後押しすること。
(5)本県基幹産業を振興するためには、企業等に必要な人材の育成・確保が重要であることから、県内企業及び高校・大学・高専等との連携をさらに強化し、理系分野の人材育成や裾野の拡大、学生と企業との交流の場づくりなどの取組を一層充実させるとともに、企業における従業員のスキルアップへの支援等を行うこと。
(6)新技術実装連携“絆”特区の指定を踏まえた施策の展開を図るとともに、ドローン教育の充実などドローン活用に係る人材育成の取組等を推進し、ドローンを活用した地域課題の解決やイノベーションの創出に取り組むこと。
2 エネルギー対策について
(1)長崎県地球温暖化(気候変動)対策実行計画の目標達成に向けて、県民への普及啓発活動や市町との連携を強化することなどにより、地域の特性に応じた効果的な地球温暖化対策に取り組むこと。
(2)発電に際して温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーについて、地域の現状を踏まえつつ、自家消費型太陽光発電設備の設置や洋上風力発電など、導入拡大の取組を促進すること。
(3)2050年カーボンニュートラルの実現に向けた国の動きや先進的な地域の取組などを踏まえ、地球温暖化対策の柔軟な見直しを継続して行い、着実な推進を図ること。
3 物流対策について
(1)2024年問題を契機とした人手不足について、ドライバーの待遇改善につながる取組や大型等運転免許取得支援、外国人材などの多様な人材の活用など、人材確保等の取組を推進すること。
(2)2024年問題に係る課題について、貨物運送事業者や荷主事業者等の関係者から広く意見を聴取し、その意見への必要な対応策を総括して、取組の強化を図ること。
(3)労働時間規制等の見直しを契機とした物流コストの上昇による本県農林・水産業等への影響を把握し、把握した課題に対して、庁内部局間で横断的に取り組むこと。
4 防災対策について
(1)県土強靱化に向けて、インフラの整備や老朽化対策を着実に推進するため、資材価格や人件費の急激な高騰の影響を反映した継続的かつ安定的な予算の確保に努めること。
(2)県内市町が南海トラフ地震防災対策推進地域の指定を受けたことを踏まえた、津波からの円滑な避難対策を推進すること。
(3)現在実施中の地震アセスメント調査結果を踏まえた、県・市町における防災対策の充実強化を図ること。
(4)避難所環境の向上や孤立集落対策、自主防災組織の充実強化、防災教育などによる防災意識の向上、防災タイムラインの策定など、県が取り組んでいる「能登半島地震を踏まえた防災対策の見直し」について、市町や防災関係機関、民間事業者、ボランティア団体など、さまざまな担い手と連携しながら、着実に推進すること。
以上、意見書を提出する。
令和8年3月11日
長崎県議会
(提出先)
長崎県知事 平田 研 様
