令和4年9月定例会

意見書・決議

定例会を終わって  ●主な質問・質疑  ●会期日程  ●本会議一般質問  ●予算総括質疑  ●意見書・決議  ●議員提案条例

私学助成の充実強化等に関する意見書

 私立学校は、建学の精神に基づき、時代や社会の要請に応じた特色ある教育を展開し、公教育の発展に大きな役割を果たしている。
 現在、国際情勢が緊迫化し急激な円安をはじめとして経済情勢が混乱する中で、我が国では少子高齢化が更に進行していくことが予想されている。このような状況にあっても、今後も我が国が国力を維持し発展していくためには、社会的資本ともいえる子供たちを時代の状況変化に対応できる真のグローバル人材として育成することが重要となっている。
 先の見えない状況の中で、私立中学高等学校が新しい教育への移行、教職員の資質向上、学校運営の効率化を進めていくには、経常費助成の拡充による学校経営の安定的継続を図ることが必要である。
 また、これからの公教育の共通基盤となるICT環境をはじめ、学校施設の耐震化及びコロナ禍における空調・換気設備等の教育環境の整備が喫緊の課題となっている。  授業料支援においても、私立高校において年収の違いにより生じている支援金格差の是正とともに、私立中学校生徒に対する経済的支援の拡充が強く求められている。  公教育の一翼を担う私立学校が、国の進める教育改革に的確に対応し、新しい教育、特色ある教育を提供するためには、多大な予算が必要となるが、学費負担における公私間格差や少子化による生徒数の大幅な減少等もあって、私立学校の経営は厳しい状況にある。
 とりわけ、長崎県の私立学校は小・中規模が多く財政基盤が脆弱であり、また、本県の人口減少は全国より進んでいることから、私立学校を取り巻く環境は一層厳しさを増すものと見込まれている。一方で、若者の県外流出など人口減少に歯止めをかけることは本県が抱える喫緊の課題であるが、県内就職割合が高い私立高校は、地域における若者の定着に大きな役割を果たしている。
 私立学校が、今後とも我が国の学校教育の先駆的実践と健全な発展に寄与し、将来を担う優れた人材を育成するためには、財政基盤の安定が必要不可欠である。
 よって、国におかれては、私立学校教育の重要性を認識し、教育基本法第8条の「私立学校教育の振興」を名実共に確立するため、現行の私学助成にかかる国庫補助制度を堅持し一層の充実を図るとともに、公教育の新たな基盤となるICT環境の整備充実や学校施設耐震化への補助拡充、私立学校の保護者の経済的負担の軽減のための就学支援制度の拡充強化を図るよう要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和4年10月7日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長        細田 博之 様
参議院議長        尾辻 秀久 様
内閣総理大臣       岸田 文雄 様
総務大臣         寺田  稔 様
財務大臣         鈴木 俊一 様
文部科学大臣       永岡 桂子 様
内閣官房長官       松野 博一 様



駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期限延長に関する意見書

 議員立法により昭和33年に成立し同年5月17日に公布された「駐留軍関係離職者等臨時措置法」は、昭和38年に1回目の延長を果たして以降12回の延長を経て65年間にわたり駐留軍離職対策に大きな役割を果たしているが、令和5年5月16日にその期限を迎える。
 ご承知の通り、駐留軍雇用は米国の軍事政策や国際情勢等に影響を受ける特殊な職場環境下にあり、本質的には不安定な状況に置かれている。特に、在日米軍再編に伴う雇用問題が懸念される中にあって、駐留軍等労働者の離職者対策は、これまで以上に「駐留軍関係離職者等臨時措置法」に基づく対策が不可欠である。
 日米両政府は「在沖海兵隊のグアム移転及び嘉手納以南の基地返還と北部基地への統合」、「普天間基地の辺野古移設計画」など米軍再編は着実に進行しており、極東米軍物資の補給拠点である米海軍佐世保基地、またそこに勤務する駐留軍等労働者への影響は避けられない状況にあり、雇用継続が困難となる事態も想定される。
 昨今の全国的な雇用情勢は、完全失業率2%後半台で推移しているが、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延に加えて、ロシアのウクライナ侵攻が経済にもたらす影響が雇用にも波及することが懸念される。とりわけ米軍基地が集中している沖縄をはじめ、米軍基地が所在する市町村の雇用情勢は厳しく、また、駐留軍等労働者の大多数は中途採用者で平均年齢も47.7歳と高く、職種は細分化されていることから離職を余儀なくされた場合には融通性に乏しく再就職は非常に厳しい状況にある。こうした状況の中、万が一、大規模な人員整理等が発生すれば、駐留軍等関係離職者の再就職・自活の道は容易ではなく、地域的な雇用情勢はパニック状態に陥る事は必定であり、離職者対策を迫られる自治体にとっても切実な問題である。
 よって、国におかれては、「駐留軍関係離職者等臨時措置法」の再延長が実現されるよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和4年10月7日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長        細田 博之 様
参議院議長        尾辻 秀久 様
内閣総理大臣       岸田 文雄 様
厚生労働大臣       加藤 勝信 様
防衛大臣         浜田 靖一 様
内閣官房長官       松野 博一 様



石木ダム建設推進に関する決議

 近年、全国各地では、地球温暖化の影響により、大規模な自然災害が激甚化・頻発化しており、防災・減災対策の推進は、喫緊の課題である。
 川棚町においては、戦後だけでも既に4回の洪水被害が発生しており、河川改修と石木ダムの整備による川棚川の抜本的な治水対策を講ずることにより、川棚川における洪水被害を軽減する必要がある。
 また、佐世保市においては、平成6年から7年にかけての264日間にも及んだ大渇水だけではなく、これまで、ほぼ2年に一度は渇水の危機に見舞われており、こうした慢性的な水不足は、市民生活はもとより、県北地域全体の経済活動や観光振興などにも、重大な影響を及ぼすことは避けられないため、安定した水資源の確保は必要不可欠である。
 こうしたことから、流域住民の安全・安心を確保するとともに、県北地域の更なる発展のためにも、石木ダムの早期完成が必要不可欠である。
 石木ダムは、これまで約8割の地権者の方々が苦渋の決断をされ、ご協力をいただいているが、残る約2割の石木ダムに反対する住民の方々については、土地収用法に基づく裁決による権利取得を経て、令和元年11月18日に全ての収用地の明渡期限を迎えたにもかかわらず、未だに明渡しをされていないのが現状である。
 こうしたなか、大石知事におかれては、就任以来、石木ダムに反対する住民の方々と面会し、事業への理解と協力を得るための努力を続けられており、今後の解決につながることが期待されるところである。
 一方、石木ダムに反対する住民の方々が事業認定の取消しを求めた訴訟は、令和2年の最高裁判所の決定により、石木ダムの公益上の必要性が司法の場においても認められ、また、工事の差止めを求めた訴訟は、去る9月16日付け最高裁判所の決定により、工事の差止めを認めない司法判断が確定したところである。
 石木ダムの早期完成は、県北地域全体の振興、佐世保市民、川棚町民の安全で安定した生活を確保するために、一刻の猶予も許されるものではないことから、下記の方針に基づき進められることを強く要望する。


  1. 石木ダムに反対する住民の方々との話合いの機会を持ちながら、事業への理解を得られるよう努めること。

  2. 前項の話合いに配慮しつつ、土地収用法第106条第1項に規定する買受権が主張されることも想定し、適切に対応すること。

以上、決議する。


  令和4年10月7日


長 崎 県 議 会

(提出先)

長崎県知事        大石 賢吾 様