令和4年3月定例会

意見書・決議


離島・半島地域の振興対策に関する意見書

 離島・半島地域は、豊かな自然と独自の歴史・文化を有し、自然環境の保全や食料の安定的な供給など国家的・国民的役割を担っており、県民のみならず国民共通の財産である。
 本県の離島・半島地域では、これまで県、関係市町においても様々な振興施策を実施し、着実な振興が推進されてきた。
 しかし、離島・半島地域を取り巻く環境は依然として厳しく、人口減少・少子高齢化の進行、航路・航空路の維持、医療や福祉などの生活インフラ整備の遅れなどの課題を有している。
 そのような中、平成29年度には、有人国境離島地域の保全及び地域社会の維持を目的とする「有人国境離島法」が施行され、これまでの離島振興法に基づく施策に加え、新たな関連施策の積極的な推進により、一部の市町においては人口の社会増が実現するなど明るい兆しも見え始めているものの、人口減少や地域の衰退といった構造的な課題の解決には至っていないところである。
 また、半島地域においても住民が住み続け安定した暮らしを送るため、半島振興計画などに基づき、地域が有する豊かな地域資源を活かしつつ、地域の創意工夫を凝らした取組への支援の充実などが必要である。
 さらに、コロナ禍による他地域居住や他地域就業が進むなど、生活様式や働き方の変化がみられる中で、その受け皿となる環境整備、産業や地域社会、地域文化を担う多様な人材育成など、従来の枠にとらわれない大胆な考え方による振興施策の導入が求められることから、各地域の状況を十分に把握し、国・関係市町などと連携した対策が必要である。
 よって、県におかれては、下記の事項について、積極的かつ真摯に取り組まれるよう、強く要望する。

 
 記

  1. 離島・半島地域振興対策について
  2. (1)離島の海洋等の豊かな自然環境や課題先進地としての特性を活かし、先端技術を取り入れたしまの活性化を推進していくこと。

    (2)有明海の航路を活用した観光振興施策について、九州全域からの集客が図られるよう、市単位だけでなく、県においても積極的な取り組みを行うこと。

    (3)長崎市野母崎地区の振興施策において、長崎市恐竜博物館等を拠点とした地域の産業活性化や経済効果に繋がるよう長崎市と連携し対策に取り組むこと。

    (4)家畜排泄物については、堆肥化処理が行われているものの、発酵の為の好条件等が整いづらく、また堆肥の活用が伸びていないため、各市町と連携し新たな対策や支援に取り組むこと。

  3. 有人国境離島法対策について
  4. (1)社会減の改善に向けて、課題の分析や優良事例の他市町への横展開などに努めるとともに、各市町等と十分な意見交換を行い、制度改正に向けた国への働きかけを行うこと。

    (2)雇用機会拡充事業において、採択事業者のモニタリングを十分に行うとともに、事業の継続が図られるよう、関係市町と連携したフォローアップ等に引き続き努めること。

    (3)航路・航空路の運賃低廉化に関しては、準住民の適用範囲の拡大に加え、島民以外にも割引がなされるよう必要な支援制度の充実等を引き続き国へ要望すること。

    (4)漁業就業者の確保については、高校生の漁家派遣制度や就業前の技術研修制度を実施しているが、現場の魅力づくりや、安定した生活ができる漁業所得向上対策にも同時に努めること。

    (5)厳しい漁業環境の中、さらにコロナ禍という状況にあっても、漁業者が経営を継続できる環境を整えることが県の役割であることから、市町と連携し各種施策に取り組むこと。

  5. 離島地域航路・航空路対策について
  6. (1)離島地域航路・航空路は、新型コロナウイルス感染症の影響で輸送人員及び運送収入が減少しており、また、事業者は今後も厳しい経営状況が見込まれるため、これまで以上に事業者及び関係市町と積極的に連携し、離島地域航路・航空路の維持に向けた支援・取組を行うこと。

  7. 再生可能エネルギー振興対策について
  8. (1)再生可能エネルギーの本格的な活用には技術面、コスト面での課題が多いため、採算性確保に向けた取組に対する支援制度の充実等に向けた国への働きかけを行うこと。

    (2)今後、市場の拡大が見込まれる洋上風力発電については、新たな産業振興に向け、県内企業に対する受注獲得や技術開発への積極的な支援を行いながらも、促進区域の指定については、再エネ海域利用法に基づき、地元市町の意見を最大限尊重し、漁業者等の利害関係者の理解を得ながら進めること。

    (3)離島・半島への再生可能エネルギーの導入には課題があるものの、新たな産業振興や雇用の場となるほか、エネルギー地産地消へも寄与することから、各市町と協力しながら推進すること。

以上、意見書を提出する。


  令和4年3月14日


長 崎 県 議 会

(提出先)

長崎県知事        大 石  賢 吾  様



IR対策、新幹線対策、観光振興対策及び国際戦略に関する意見書

 九州・長崎特定複合観光施設(IR)については、経済界や行政、議会が一体となって誘致活動を展開してきたところである。
 このような中、本県では、本年4月が期限となっている区域認定申請に向け、設置運営事業予定者と共同で区域整備計画案を作成し、議会の議決を求めることとなっている。
 また、長年の悲願であった九州新幹線西九州ルートは、いよいよ本年9月23日に武雄温泉~長崎間が開業する。一方、新鳥栖~武雄温泉間は、関係者で協議が進められているものの、依然、整備方式が決まっていない。西九州地域の一体的発展のためには、全線フル規格により、新大阪まで直通運行し、全国の新幹線ネットワークに接続することが必要不可欠である。
 さらに、近年好調に推移してきた観光関連産業は、一昨年からの新型コロナウイルス感染症の拡大により甚大な影響を受けてきた。今後は、コロナ禍を経て変化した旅行者の価値観の変化への対応に取り組みながら、「観光立県長崎」の回復とさらなる発展のための対策を早急に進めなければならない。
 また、インバウンドの再開、外国人材の受入確保等に向けた国際戦略にも早急に取り組む必要がある。
 よって、県におかれては、下記の事項について、積極的かつ真摯に取り組まれるよう強く要望する。

  1. IR対策について
  2. (1)区域整備計画を確実に実施できるコンソーシアム等の体制構築と計画に基づく事業の円滑な推進に向け、設置運営事業予定者と十分な協議を行うこと。

    (2)区域認定を見据え、必要な公共交通や道路、港湾等の整備を促進するとともに、長崎空港の施設整備や機能拡充を図ること。

    (3)九州・長崎IRに対する幅広い県民の理解と協力が得られるように努めるとともに、国や関係団体等と連携を図りながら、ギャンブル依存症対策や治安維持など懸念事項の払拭に向けた十分な対策を講じること。

  3. 新幹線対策について
  4. (1)一刻も早く、武雄温泉駅での対面乗換方式を解消し、新鳥栖~武雄温泉間のフル規格による整備を実現すること。

    (2)北陸新幹線との一体的な財源確保や地方負担、並行在来線等の諸課題の解決に向けて、政府・与党、佐賀県、JR九州など関係先への働きかけを強化すること。

    (3)新幹線の開業による交流人口の拡大を見据え、その開業効果を最大限に高め、県内各地に波及拡大させる取組を市町等とともに積極的に押し進めること。

  5. 観光振興対策について
  6. (1)国の事業も有効に活用しながら、コロナ禍を経て変化する新たな旅行需要への対応など、本県の実情に合わせた対策に取り組むこと。

    (2)県内や近隣県からの誘客に引き続き取り組むとともに、本県観光の強みであり需要の高い教育旅行については、県内外の学校に対して誘致に取り組むこと。

    (3)国内外の観光客を惹きつける観光コンテンツの造成・充実のほか、ユニバーサルツーリズムの推進やおもてなし力向上など、市町や民間事業者と連携して受入態勢の強化を促進すること。

  7. 国際戦略について
  8. (1)国際友好交流、県産品輸出、外国人材受入等を促進するための方策について、戦略的かつ計画的に取り組むこと。

    (2)インバウンドの早期需要回復に向けて、本県の観光地としての認知度向上を図るとともに、多様な魅力や安全・安心への取組に関する情報の発信を充実強化すること。

    (3)新型コロナウイルスの感染状況を見極めながら、国際クルーズ及び国際定期航空路線の早期の運航再開及び需要回復に向けた取組を実施すること。


以上、意見書を提出する。


  令和4年3月14日


長 崎 県 議 会

(提出先)

長崎県知事        大 石  賢 吾  様



「長崎県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において
選挙すべき議員の数に関する条例」に係る決議

 本県議会においては、平成17年国勢調査の結果を受けて、平成18年7月に、「長崎県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例」の一部改正を行い、それまでの議員定数51人から5人削減し、議員定数を46人と定めたところである。
 本県の人口は、その後15年間で約16万人減少したが、現在、百年に一度の危機ともいわれる新型コロナウイルス感染症拡大の状況下にあって、県内においても、経済的な打撃を受けた事業者、生活困窮者をはじめ、多くの県民の皆様方が疲弊し、困難な状況に置かれている。こうした地域住民の声を幅広く聴き取り、県政に届け、解決策の立案につなげていく議員の役割は、特に離島・半島が多く存在する本県において、これまで以上に重大であることをより重視すべきである。よって、現況のコロナ禍において、議員定数については、現行定数46人を維持すべきである。
 次に、各選挙区において選挙すべき議員の数については、令和2年国勢調査による人口比例の原則により定数を配分した場合、諫早市選挙区が定数1人増の5人、雲仙市選挙区が定数1人減の1人となるが、この結果に基づき、各選挙区の議員定数を変更した場合、雲仙市選挙区は、隣接する島原市選挙区及び南島原市選挙区と比較すると、人口では僅かの差でありながら議員数が異なるという著しい不均衡が生じる。
 また、雲仙市選挙区の定数を1人とした場合、同選挙区の議員1人当たり人口は41,096人と県内で最大となり、議員1人当たり人口が最小の選挙区との一票の格差は2.3479倍で、現行の一票の格差2.0219倍から大きく拡大することとなる。
 一方、雲仙市選挙区より小数点以下の配当基数が大きい諫早市選挙区及び西彼杵郡選挙区については、令和2年国勢調査では、いずれも平成27年国勢調査時より人口が減少していることから、両選挙区の定数を増加させる状況ではない。
 よって、令和5年4月に予定されている県議会議員の一般選挙に向けては、議員の定数及び選挙区は現行どおりとし、また、各選挙区において選挙すべき議員の数も、地域間の均衡を図るため、公職選挙法第15条第8項ただし書きの規定を適用することで現行どおりとし、本条例については改正しないものとする。
 しかしながら、本県の厳しい財政状況の中、人口減少が続く状況においては、社会経済の状況等を踏まえ、引き続き適正な議員定数についての検討を行っていく。


以上、決議する。


  令和4年3月14日


長 崎 県 議 会




ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対し厳重に抗議する決議

 国際社会においては、昨年末以来、ウクライナとロシアの国境付近における緊張の緩和と事態の打開に向けて、懸命な外交努力を続けてきた。しかし、先月、ロシア大統領は、これらの努力に反する現状変更を行い、ウクライナへの侵攻を開始した。
 このようなロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、ウクライナの主権及び領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であり、且つ国連憲章の重大な違反である。
 今年1月、ロシアを含む核保有5か国は「核戦争に勝者はなく、決して核戦争をしてはならない」との共同声明を世界に向けて発信した。
 その矢先における核兵器の使用を示唆するロシア大統領の発言は、国際社会が目指してきた「対話による平和的解決」を蔑ろにするものであり、また、ロシア軍による核関連施設への攻撃は、人類を危険に晒す前代未聞の暴挙と言わざるを得ない。
 「長崎の惨禍を繰り返さない」という強い決意のもと、世界恒久平和と核兵器廃絶を訴え続けてきた長崎県民の思いを踏みにじるものであり、断じて看過できない。核兵器は決して使用されることがあってはならない。
 ここに長崎県議会は、ロシアに対し、一連のウクライナへの軍事侵攻に厳重に抗議するものである。
 政府においては、現地在留邦人の安全確保に努めるとともに、国際社会と緊密に連携しつつ、毅然たる態度で制裁措置を含む迅速かつ厳格な対応を図り、ウクライナの主権回復及び平和の実現に向けた外交努力を行うよう強く要請する。


以上、決議する。


  令和4年3月14日


長 崎 県 議 会

(提出先)

内閣総理大臣        岸田 文雄 様
外務大臣           林   芳正 様
防衛大臣           岸   信夫 様
内閣官房長官         松野 博一 様