令和6年9月定例会

意見書・決議

議案及び採決結果  ● 主な質問・質疑  ● 会期日程  ● 本会議一般質問  ● 予算総括質疑  ● 意見書・決議  ● 議員提案条例


被爆体験者の一刻も早い救済を求める意見書


 被爆体験者を被爆者として認め救済することは、数十年来の長崎県、長崎市、両議会の悲願でしたが、ようやく9月9日、長崎地裁において、被爆体験者の一部を被爆者として認め、県・市に対し「被爆者手帳交付せよ」という判決が下りました。
 2021年7月広島高裁判決では、黒い雨地域にいた人を「放射線の影響を受ける事情の下にあった」として被爆者として認め、その判決を受けた新たな認定基準において、広島では最大半径約30kmまでの地域にいた人たちにも手帳が交付されることになりました。しかしこの時、半径12km以内で被爆した長崎の被爆体験者は同様の状況にあったにもかかわらず除外され、その後も「黒い雨が降ったという客観的記録がない」などの理由で、被爆体験者、長崎県、長崎市、両議会の願いは却下されてきました。
 よって、国におかれては、被爆体験者は高齢化し、一刻も早い救済が求められていることから、下記について強く求めます。





  1. 長崎県市及び国は控訴せず、長崎地裁判決を受け入れること。
  2. 全ての被爆体験者の1日も早い救済が実現できるよう、国・県・長崎市における調整の加速化を図ること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


 令和6年9月18日


長 崎 県 議 会


衆議院議長  額賀 福志郎 様
参議院議長  尾辻 秀久 様
内閣総理大臣  岸田 文雄 様
厚生労働大臣  武見 敬三  様
内閣官房長官  林 芳正  様



米兵の性的暴行に厳重抗議し対策を強く求める意見書


 昨年12月、沖縄県嘉手納基地所属の米空軍兵が、16歳未満の少女を車で誘拐し、性的暴行を加えたとして那覇地検が、わいせつ目的及び不同意性交等犯罪で3月に起訴していたことが、6月25日の報道で明らかになった。
 また、5月にも不同意性交致傷の疑いで警察に逮捕され、その後起訴されていたことが6月28日、捜査関係者への取材で判明している。更に今年1月から5月にも3件の米兵による不同意性交容疑での逮捕があったことも判明。昨年の誘拐・暴行事件を速やかに県に報告・公表していれば、以後の事件は防ぐことができたと思われる。
 沖縄で繰り返される米兵・軍属らによる犯罪は、沖縄の日本復帰から 2022年までの50年間で6163件あり、うち、強制性交や殺人などの凶悪犯罪は584件に上る。特に繰り返される女性への性暴力は許し難いものである。
 1997年に日米合同委員会で、米軍に関わる事件については日米間で共有し、正確かつ直ちに地域社会に対し提供することが重要と、沖縄県及び市町村に通報することが合意された。にもかかわらず、平和外交で力をつくすべき外務省による情報隠しは、基地による被害に苦しみ続ける沖縄の人々の心を踏みにじるものである。
 日米両政府はこうした事件が戦後70年余も幾度となく繰り返されている事態を重く受け止め、これ以上の沖縄県民の犠牲を断ち切るべく、実効性ある抜本的な対策を講じるべきである。
 また、日本政府は7月5日に情報共有体制の見直しを発表したが、引き続き検証のうえ事件が発生した自治体に対する必要な措置を講じるべきである。
 長崎県内では佐世保市に米軍基地があることから、県民にとっても他人事ではない今回の事件に関し、当県議会は国民の人権、生命、財産を守る立場から、厳重に抗議するとともに、下記の事項を早急に実現されるよう強く要請する。





  1. 米軍人等が関わる重大事件について、引き続きプライバシー等への配慮も含め、情報提供のあり方を検証し、必要な措置を講じるとともに、関係自治体への通報を徹底すること。
  2. 外務省は、日米両政府が被害者に謝罪と充分な補償を遅滞なく行うように、責任をもってあたること。
  3. 日米両政府は、米軍人・軍属の綱紀粛正と人権教育を徹底的に図ると共に、実効性のある、抜本的な再発防止策を講じ公表すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和6年10月4日

長 崎 県 議 会


衆議院議長  額賀 福志郎 様
参議院議長  尾辻 秀久 様
内閣総理大臣  石破 茂 様
防衛大臣  中谷 元  様
国家公安委員会委員長 坂井 学 様
内閣官房長官  林 芳正  様



私学助成の充実強化等に関する意見書


 私立学校は、建学の精神に基づき、時代や社会の要請に応じた特色ある教育を展開し、公教育の発展に大きな役割を果たしてきた。
 その一方で、全国で深刻な少子化が進んでおり、本県及び我が国がこれからも発展していくためには、将来を担う子供たちの資質・能力の育成が今まで以上に重要である。学校教育が果たすべき役割はこれまで以上に増しており、私立中学高等学校を取り巻く状況をみると、様々な課題が山積している。
 私立学校では、教員の資質向上・負担軽減、諸物価の高騰等の課題の解決に向けて、一層の学校経営の効率化に努めているが、私立学校の特色ある教育を推進する観点からも、経常費助成のこれまで以上の大幅な拡充が急務となっている。また、ICT環境の整備や学校施設の耐震化及び空調換気設備の整備等についても、国による支援の充実が不可欠である。
 また、授業料支援においても、私立高等学校において年収の違いにより生じている支援金格差の是正とともに、私立中学校生徒に対する経済的支援の拡充が強く求められている。
 公教育の一翼を担う私立学校が、国の進める教育改革に的確に対応し、新しい教育、特色ある教育を提供するためには、多大な予算が必要となるが、学費負担における公私間格差や少子化による生徒数の大幅な減少等もあって、私立学校の経営は厳しい状況にある。
 とりわけ、長崎県の私立学校は小・中規模が多く財政基盤が脆弱であり、また、本県の人口減少は全国より進んでいることから、私立学校を取り巻く環境は一層厳しさを増すものと見込まれている。一方で、若者の県外流出など人口減少に歯止めをかけることは本県が抱える喫緊の課題であるが、県内就職割合が高い私立高等学校は、地域における若者の定着に大きな役割を果たしている。
 私立学校が、今後とも我が国の学校教育の先駆的実践と健全な発展に寄与し、将来を担う優れた人材を育成するためには、財政基盤の安定が必要不可欠である。
 よって、国におかれては、「経済財政運営と改革の基本方針 2024」において、「質の高い公教育の再生」が掲げられていること、さらに教育基本法第8条の「私立学校教育の振興」、私学振興助成法第1条の「私立学校の教育条件の維持及び向上」「修学上経済的負担の軽減」の趣旨を踏まえ、私学助成に係る国庫補助制度をはじめとする様々な支援が一層拡充されるよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和6年10月4日

長 崎 県 議 会


衆議院議長  額賀 福志郎 様
参議院議長  尾辻 秀久 様
内閣総理大臣  石破 茂 様
総務大臣  村上 誠一郎 様
財務大臣  加藤 勝信 様
文部科学大臣  阿部 俊子  様
内閣官房長官  林 芳正  様



社会福祉施設職員等退職手当共済制度における
 保育所等に対する公費助成の継続を求める意見書


 独立行政法人福祉医療機構が運営する社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、社会福祉法人が経営する社会福祉施設等の職員の処遇改善により、職員の身分の安定を図り、もって社会福祉事業の振興に寄与することを目的とした制度である。
 本制度における退職手当金支給財源の負担割合は、3分の2が公費助成、3分の1が社会福祉法人とされており、保育所等については、令和2年度の国の社会保障審議会福祉部会において、公費助成を一旦継続しつつ、公費助成の在り方について、他の経営主体とのイコールフッティングの観点等も踏まえ、さらに検討を加え、令和6年度までにあらためて結論を得ることとするとされたところである。
 現在、国において、「こども・子育て支援加速化プラン」の取組みとして、保育人材の確保及び資質の向上を図り、質の高い保育を安定的に提供できる体制の構築を進めているところである。このような中、これまで推進してきた保育士等処遇改善効果を損ねることなく、安心して働ける職場環境を確立し、求められる保育を提供するためには、保育所等の経営主体である社会福祉法人の安定経営がぜひとも必要であり、当該公費助成の打ち切りはその安定経営への支障となるものである。
 よって、国におかれては、社会福祉施設職員等退職手当共済制度における、保育所等に対する公費助成の継続を強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和6年10月4日

長 崎 県 議 会


内閣総理大臣  石破  茂 様
財務大臣  加藤 勝信  様
厚生労働大臣  武見 敬三  様
内閣府特命担当大臣  三原じゅん子 様
 (こども政策・少子化対策)
衆議院議長  額賀 福志郎 様
参議院議長  尾辻 秀久 様
内閣官房長官  林 芳正  様