令和3年11月定例会

意見書・決議

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新型コロナウイルス感染症・経済対策に関する意見書

 新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」という。)の拡大防止を図るため、県民や事業者の方々に対しては、不要不急の外出自粛や飲食店等に対する営業時間の短縮等を幾度となく要請し、その協力を得てきたところであるが、一方で、新型コロナの拡大による影響を受け、本県の経済・雇用情勢は依然として厳しい状況が続いている。
 こうした中、県におかれては、本県経済の回復・拡大を図るとともに、新型コロナの収束後を見据えた経済構造の転換と地域経済の好循環を実現するため、各種施策を講じてきたところであるが、新型コロナの拡大を契機として、世界は大きく急激なスピードで変化していることから、その潮流に乗り遅れることがないよう、社会環境の変化や事業者等のニーズを的確に捉えた施策を適時適切に講じていくことが極めて重要である。
 また、県議会においては、「新型コロナウイルス感染症感染者等に対する人権配慮等に関する決議」を全会一致で可決し、新型コロナへの感染に係る誹謗中傷、差別及び偏見等の防止を県に対して求めており、これらの対策をはじめとして、事業継続や生活に支障をきたしている方々への支援など、県民生活の安全・安心を確保するための施策を講じていくことも当然に求められている。
 なお、これらの施策の立案等にあたっては、庁内における連携体制を構築し、部局間の情報共有を綿密に行うなど、全庁一丸となって取り組むことが肝要であることは言うまでもない。
 よって、県におかれては、下記の事項について、積極的かつ真摯に取り組まれるよう、強く要望する。

 
 記

  1. 経済活性化対策について
  2. (1)新型コロナの拡大に伴う影響は産業や事業形態等によって多種多様であることから、それぞれの影響度合いについて、適切な調査等により把握するとともに、当該情報をしっかりと勘案したうえで、県民の納得感と公平性が確保された適切できめ細かな支援がくまなく県下全域の事業者に行き届く支援策の立案に努めること。

    (2)新型コロナ関連の支援については、国、県、市町及び関係機関等において、様々な施策が講じられていることから、効率的かつ効果的で迅速な対応を行うため、綿密な連携及び調整を図るとともに、国等の支援策を待つことなく、本県の状況に応じた取組について積極的な推進を図ること。

    (3)新型コロナの影響による解雇が発生していることに鑑み、失業者対策については、既存の支援策のさらなる活用促進をはじめとして、そのフォローアップに注力すること。

    (4)観光庁の地域観光事業支援については、その有効活用を図るため、より柔軟な運用を国に強く申し入れること。

    (5)経済活性化を図るためのPCR検査をはじめとした各種検査及びワクチン接種証明の活用のあり方については、国の検討状況や費用対効果等を勘案したうえで検討すること。なお、検討にあたっては、差別等への助長につながることがないよう、特に配慮すること。

    (6)福祉施設における安定した運営並びに利用者の安全・安心を確保するため、施設職員等に対する検査については必要な支援を行い、引き続き万全を期すこと。

    (7)ポストコロナを見据えた事業展開を広く促進するため、特定の産業に限らず幅広い産業を対象とした事業の構築を図ること。なお、小規模事業者等については、経営基盤が脆弱であるため、新型コロナによる経済活動への影響を受けやすく、休業或いは廃業に至ることが懸念されることから、その状況を注視するとともに、特に必要な配慮を行うこと。

  3. 生活安全対策について
  4. (1)新型コロナ関連の誹謗中傷等対策については、以下の検討を行うこと。
       ・ネットパトロールで把握した情報に係る法務局や警察と連携した能動的対応
       ・受付時間の拡大など相談しやすい体制の構築

    (2)営業時間の短縮要請に際しては、要請範囲及び要請業種に留まらず広範囲で影響が生じている実情に鑑み、売上等への影響把握に努めるとともに、その影響を可能な限り軽減するため、支援制度の構築にあたっては、柔軟な制度設計を行うなど必要な工夫を図ること。

    (3)妊産婦の不安を取り除くための各種支援策については、妊産婦や事業者等に対して確実に周知を行うとともに、各市町における取組に一部差異が認められることから、地域格差の解消に向け、事業推進を図ること。

    (4)自殺対策の強化にあたっては、本県における新型コロナ関連の自殺者数の把握が重要な指標となる。ただし、自殺に至る動機や背景の分析には難しさがあることから、まずは状況の把握に向けた検討を行うこと。

  5. 感染防止対策及び医療体制維持対策について
  6. (1)新型コロナに係る感染予防・拡大防止対策及び医療提供体制については、これまでも、感染状況やワクチン開発等の環境変化に応じて、様々な対策を講じてきた結果、県民一人一人の協力等もあり、本県の感染者数は全国的にも低い水準で推移している。引き続き、適時適切な対策を講じること。

    (2)新型コロナに係る医療の安定的な提供を図るため、感染症専門医等の人材確保について必要な検討を行うこと。

    (3)高齢者の介護予防に資するサロン等については、感染防止対策を適切に示すなど現状に即した対応を行い、可能な限り開催できるよう必要な支援を行うこと。

    以上、意見書を提出する。


  令和3年11月26日


長 崎 県 議 会

(提出先)

長崎県知事        中 村 法 道  様



保育人材の確保及び処遇改善等を求める意見書

 近年、我が国は少子化の進行や共働き世帯の増加に加え、地域のつながりが希薄化する中で、子育てに不安や孤立感を感じる方々も増加するなど、子どもや子育て家庭を取り巻く環境が大きく変化している。
 そのような状況の下、子どもと子育て家庭を支援し、国の未来を担う子ども達を心身ともに健全に育んでいくためには、人格形成の基礎となる乳幼児期の教育・保育を担う人材の確保は喫緊の課題である。
 これまで「子ども・子育て支援新制度」に代表される国の子育て支援政策の下、地域の各施設や自治体は、保育人材の確保や処遇改善などに取り組んできたが、いまだ十分とはいい難い。
 現在も保育の現場では、国が定めた配置基準以上に保育士を配置せざるを得ない状況が解消されていないため、保育士一人当たりの支給額が低く抑えられており、保育士等の給与改善が進まない一因となっている。
 また、保育所においては、年度途中に入所する児童が多く、児童数に応じて支給される給付費に時期による増減が発生し、保育士の継続雇用が難しくなる実態もある。
 よって、国におかれては、保育人材の確保及び処遇改善のため、下記の項目を早急に実施するよう要望する。

  1. 保育所・幼稚園・認定こども園において、子どもの安全確保、職員の勤務実態・継続雇用の観点から、基準以上に職員を配置せざるを得ない保育現場の実情や、人口減少地域の小規模な施設の実情を踏まえ、職員配置基準や公定価格の見直しを行うこと。
  2. 保育士等を志す若者の希望を叶えるため、現在行われている修学資金の貸付事業等について、更なる貸付枠の拡大や事業期間を延長し、十分な予算の確保を行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和3年12月21日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長        細田 博之 様
参議院議長        山東 昭子 様
内閣総理大臣       岸田 文雄 様
財務大臣         鈴木 俊一 様
厚生労働大臣       後藤 茂之 様
文部科学大臣       末松 信介 様
内閣官房長官       松野 博一 様
内閣府特命担当大臣    野田 聖子 様
(少子化対策)



出産育児一時金の増額を求める意見書

 我が国の少子化の進行は深刻さを増している。厚生労働省が発表した2020年の出生数は84万835人となり、過去最少となった。
 厚生労働省によると2019年度の出産費用が正常分娩の場合、全国平均額は約46万円で、室料差額等を含む費用の全国平均額は約52万4千円となっている。出産にかかる費用は年々増加し、費用が高い都市部では現在の42万円の出産育児一時金の支給額では賄えない状況になっており、平均額が約62万円と最も高い東京都では、現状、分娩費用だけで約20万円を持ち出している計算となる。
 最近の動きでは、国は、2022年1月以降の分娩から産科医療補償制度掛金を1万2千円に引き下げ、本人の受取額を4千円増やすとともに、医療機関から費用の詳しいデータを収集し実態を把握した上で増額に向けて検討することとしている。
 少子化対策は国としての「未来への投資」と捉えるべきで、そうであるならば現在の分娩費用を基としての一時金を算定しての増額に留まらず、安心して子どもを産み育てられる環境を整えるために大幅な増額を行い、成育基本法の理念に基づき、子どもの成長に応じたきめ細かい支援こそが有効的な少子化対策と考えるところである。
 折しもコロナ禍のなか婚姻件数及び妊娠届け出数に減少傾向がみられ、本年の出生数は80万人を割り込む可能性も指摘されており、コロナ禍での情勢を国難と考えれば非常時の思い切った対応が望まれる。
 よって、国におかれては、出産育児一時金を引き上げることを強く求める。


以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和3年12月21日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長        細田 博之 様
参議院議長        山東 昭子 様
内閣総理大臣       岸田 文雄 様
総務大臣         金子 恭之 様
財務大臣         鈴木 俊一 様
厚生労働大臣       後藤 茂之 様
内閣官房長官       松野 博一 様
内閣府特命担当大臣    野田 聖子 様
(少子化対策)



国営諫早湾干拓事業潮受堤防排水門を開門しないとの方針を堅持
した上で真の有明海再生を目指すことを求める意見書

 国営諫早湾干拓事業は、諫早大水害をはじめ、多くの自然災害を経験した地元の方々にとって、その事業完成後は防災効果が十分に発揮され、昨年7月及び本年8月の豪雨時も大きな被害はなく、ようやく高潮や洪水の危険から解放されて、安全・安心な生活を手に入れることができたと、大変評価されている事業である。
 また、国営諫早湾干拓事業潮受堤防排水門の開門問題を巡る訴訟においては、平成22年12月の福岡高裁開門確定判決の後、開門しない方向での司法判断が重ねられており、令和元年6月には、最高裁から「開門を認めない」との方向性が示されたところである。
 国においても、平成29年4月に、農林水産大臣談話で「開門しないとの方針」を明確にして問題解決に臨むと表明され、今回の請求異議訴訟の差戻審においても、開門によらない基金による和解を目指すことが最良の方策であることに変わりはないとされている。
 長崎県議会においては、これまでも、国に対して、地元に重大な影響・被害が及ぶことの決してないよう、開門することなく開門問題を早期に解決し、真の有明海再生を目指すよう求めてきたところである。
 よって、国におかれては、これまでの経緯を踏まえて出された令和元年6月の最高裁決定を十分尊重するとともに、地元の意向を踏まえ、開門しないとの方針を堅持した上で、真の有明海再生を目指すことを強く要望する。


以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和3年12月21日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長        細田  博之 様
参議院議長        山東  昭子 様
内閣総理大臣       岸田  文雄 様
農林水産大臣       金子 原二郎 様
内閣官房長官       松野  博一 様