令和2年11月定例会
意見書・決議
新型コロナウイルス感染症対策として、「新しい生活様式」を学校現場においても導入することが求められているが、現在の学級編制基準では、感染症拡大防止のために児童・生徒間の十分な距離を確保することが困難であることから、その対応が学校現場において大きな課題となっており、感染拡大終息後も次なる感染症等の緊急時にあっても、子どもたちの豊かな学びを持続的に保障するための教育環境をつくることが急務となっている。
令和2年9月8日に開催された政府の教育再生実行会議の初等中等教育ワーキング・グループにおいては、ポストコロナ期も見据え、令和時代のスタンダードとしての「新しい時代の学びの環境の姿」を描き、特に、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備や関連する施設整備等の環境整備を進める方向で議論するとともに、今後、予算編成の過程において、関係者間で丁寧に検討することを期待するとの成果文書がとりまとめられたところである。
さまざまな課題を抱えた子どもたちが増える中、一人ひとりに行き届いた教育を保障するため、全国の多くの自治体が独自に少人数学級を実施しているが、教育の機会均等を保障するためには、国が責任を持って少人数学級の推進とそのための教職員定数改善を行うことが重要である。
よって、国におかれては、「新しい生活様式」に沿った安心安全な教育環境をつくり、新型コロナウイルス終息後も感染症対策と子どもたちの成長・発達及び学びの保障を両立していくために、義務標準法を改正し、早急に義務教育における30人以下の学級編制が可能となるよう教職員定数の充実と教室確保を国の責任で行うよう強く要望する。
令和2年12月18日
長 崎 県 議 会
(提出先)
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 山東 昭子 様
内閣総理大臣 菅 義偉 様
財務大臣 麻生 太郎 様
総務大臣 武田 良太 様
文部科学大臣 萩生田 光一様
内閣官房長官 加藤 勝信 様
人口が減少し、超高齢化社会に突入した我が国は、新型コロナウイルス感染症の発生により、これまでの生活様式に大きな変化を強いられることとなった。ウィズコロナ時代と言われる中においても、地域社会を守り、豊かなものにしていくためには、持続可能な社会保障制度の確立が必要不可欠である。
しかし、社会保障費の伸びが続く中において、政府が設置した財政制度等審議会においては、介護サービス施設・事業所の経営状態からは、プラス改定をすべき事情は見いだせないとの見解などを示した。このことは、コロナ禍における感染拡大防止対策に懸命に取り組み続ける施設・事業所の負担や職員のストレスを酌量せず、現場の経営実態とは乖離したものであり看過できない。
介護の現場においては、コロナ禍以前から経営難となっている施設・事業所が多く、また職員の賃金が全産業平均と乖離があることなどにより深刻な人材確保難の状況にある。
よって、国におかれては、すべての国民がコロナ禍においても、安心して良質な介護・障害福祉サービスを受けられるよう、下記の事項について強く要望する。
記
- 経営基盤の強化と感染症対策を継続するための報酬単価の引き上げ
- 介護・福祉人材の確保に資する処遇改善施策の拡充と弾力化
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年12月18日
長 崎 県 議 会
(提出先)
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 山東 昭子 様
内閣総理大臣 菅 義偉 様
財務大臣 麻生 太郎 様
総務大臣 武田 良太 様
厚生労働大臣 田村 憲久 様
内閣官房長官 加藤 勝信 様
日本産科婦人科学会のまとめによると、2018年に不妊治療の一つである体外受精で生まれた子どもは5万6979人となり、前年に続いて過去最高を更新したことが分かった。これは実に16人に1人が体外受精で生まれたことになる。また晩婚化などで妊娠を考える年齢が上がり、不妊に悩む人々が増えていることから、治療件数も45万4893件と過去最高となった。
国においては2004年度から、年1回10万円を限度に助成を行う「特定不妊治療費助成事業」が創設され、その後も助成額や所得制限などを段階的に拡充してきている。また、不妊治療への保険適用もなされてきたが、その範囲は不妊の原因調査など一部に限られている。保険適用外の体外受精や顕微授精は、1回当たり数十万円の費用がかかり何度も繰り返すことが多いため、不妊治療を行う人々にとっては過重な経済負担になっている場合が多い。
厚生労働省は、不妊治療の実施件数や費用などの実態調査を10月から始めているが、保険適用の拡大および所得制限の撤廃も含めた助成制度の拡充は、早急に解決しなければならない喫緊の課題である。
よって、国におかれては、不妊治療を行う人々が、今後も安心して治療に取り組むことが出来るよう、下記の事項について早急に取り組むことを強く求める。
記
- 不妊治療は一人一人に最適な形で実施することが重要であるため、不妊治療の保険適用の拡大に当たっては、治療を受ける人の選択肢を狭めることがないよう十分配慮すること。具体的には、現在、助成対象となっていない「人工授精」をはじめ、特定不妊治療である「体外受精」や「顕微授精」さらには「男性に対する治療」についてもその対象として検討すること。
- 不妊治療の保険適用の拡大が実施されるまでの間については、その整合性も考慮しながら、所得制限の撤廃や回数制限の緩和など既存の助成制度の拡充を行うことにより、幅広い世帯を対象とした経済的負担の軽減を図ること。
- 不妊治療と仕事の両立できる環境をさらに整備するとともに、相談やカウンセリングなど不妊治療に関する相談体制の拡充を図ること。
- 不育症及び不妊治療への保険適用、または助成についても検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年12月18日
長 崎 県 議 会
(提出先)
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 山東 昭子 様
内閣総理大臣 菅 義偉 様
厚生労働大臣 田村 憲久 様
内閣官房長官 加藤 勝信 様
令和2年5月8日、日本固有の領土である尖閣諸島周辺の領海内に侵入した中国海警局の公船2隻が、日本領海内で操業中の我が国漁船に接近し追尾する事態が発生した。さらに、10月11日、中国の公船2隻が、尖閣諸島海域の日本領海内で操業中の我が国漁船に再度接近する事態が発生した。我が国の海保の巡視船が間に入り中国公船に対して退去するよう警告を続けたが、中国公船は日本領海内に52時間以上居座り続けた。
中国公船は、日本領海内への侵入や長時間の居座り、日本漁船への接近の繰り返しなどの活動を明らかに強めている。さらには現在、中国は、全国人民代表大会で領海警備に関する武器使用を拡大する法律の改正案を上程し、中国が一方的に主張する「領海」からの退去勧告に従わない船に対する武器使用を即時可能にしようとしている。このままでは、日本漁船の安全はますます脅かされることが危惧される。
我が国の漁業活動を脅かす事態は、日本の排他的経済水域にある日本海・大和堆でも発生している。同海域では中国漁船の違法操業が繰り返されている。水産庁が退去勧告を行っている数は、本年1月~9月に2,586回にのぼる。これは、前年同期の726回から約
3.6倍に激増している。この状況に、9月30日、水産庁は、日本の漁業船に対し中国漁船が特に多い大和堆西側に入域しないように要請するという異常な事態となった。
このままいけば、各地の水域で中国に限らず外国船の違法操業が広がり、多くの日本の漁業者が甚大な被害を受け、生活にも支障が生じる事態となる恐れが強い。
本県は、全国でも最も多くの国境離島・離島を有し、周辺海域で漁業に従事する県民も多い。その安全な漁業活動を守ることは、極めて重要な課題である。本県五島海域の領海内では、近年中国漁船の立ち入りが続き、更には違法操業を行った中国漁船が摘発される事件が発生してきたことも記憶に新しい。
よって、本県議会は、本県漁業者をはじめとする県民の生命・安全並びに日本の領土・領海・排他的経済水域を守る立場から、国におかれては、中国公船の我が国領海内への侵入や中国漁船の違法操業が繰り返されないよう中国政府に対し強く働きかけるとともに、我が国の漁業者が安全に操業できるよう法整備・海上警備の一層の強化を行い、我が国の領海・排他的経済水域における漁業活動の安全確保について適切な措置を速やかに講じることを強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年12月18日
長 崎 県 議 会
(提出先)
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 山東 昭子 様
内閣総理大臣 菅 義偉 様
外務大臣 茂木 敏充 様
国土交通大臣 赤羽 一嘉 様
防衛大臣 岸 信夫 様
内閣官房長官 加藤 勝信 様
内閣府特命担当大臣 河野 太郎 様
(沖縄及び北方対策)
長崎県議会においては、平成24年10月に統合型リゾート導入にかかる法整備の早期実現にかかる意見書の決議・提出を全国に先んじて行うなど、これまでその導入に関し、真剣な議論を重ねてきた。
県においても、平成26年3月に誘致推進の方針を示し、国会や政府に対して、法制度の早期整備を求めるとともに、九州各県や経済界に対して、理解と協力を求めてきた。
こうした取組は、九州各県議会議長会や九州地方知事会等における長崎県へのIR導入についての決議などの理解と協力を獲得することにつながり、長崎県だけでなく九州一丸となった取組へ広がりつつある。
政府においても、これまで法制度整備等の諸準備が進められ、令和2年10月には、IR導入にかかる基本方針(案)の修正並びに区域認定申請期間(案)にかかるパブリックコメントを行うなど、具体的なIR導入に向けた考え方が示されたところである。
その中では、IR整備に対する国民の信頼と理解を確保する観点から、設置運営事業者となるIR事業者における反社会的勢力の徹底排除などの廉潔性の確保や、国や都道府県等に対して、収賄等の不正防止に向けて、公平、公正かつ透明性をもって、IR事業者の選定を行うための接触ルールの制定などが求められている。
一方、県議会については、県が区域整備計画の認定申請を行う際には県議会の議決が必要とされるなど、非常に重要な役割を課されている。
よって、長崎県議会としても、長崎県議会議員の政治倫理に関する条例に基づき、議員一人ひとりが、より一層のコンプライアンス意識の徹底を図り、本県のみならず九州の発展に資するIRの導入に関し、県に対して、今後の事業者公募にあたり、下記の事項について、真摯に取り組むよう強く要請する。
記
- IR事業者等との接触にあたっては、厳格なルールを策定するとともに、その遵守を徹底すること
- IR事業者の公募・選定の手続きについては、公平性・公正性、透明性を十分確保すること
- IR事業者に対し、反社会的勢力の排除やコンプライアンス確保の徹底を義務づけるとともに、高い廉潔性を有するIR事業者を選定すること
以上、意見書を提出する。
令和2年12月18日
長 崎 県 議 会
(提出先)
長崎県知事 中村 法道 様