令和5年9月定例会

意見書・決議

議案及び採決結果  ●主な質問・質疑  ●会期日程  ●本会議一般質問  ●予算総括質疑  ●意見書・決議  ●議員提案条例

私学助成の充実強化等に関する意見書

 私立学校は、建学の精神に基づき、時代や社会の要請に応じた特色ある教育を展開し、公教育の発展に大きな役割を果たしている。
現在、我が国の少子高齢化は急速に進行しており、人口減少が社会経済に与える影響が深刻さを増す中で、日本社会は様々な課題解決を迫られている。こうした厳しい状況にあって、我が国が今後も世界に後れをとることなく、国力を維持し発展していくためには、将来を担う子供たちの育成が何よりも重要である。「経済財政運営と改革の基本方針2023」においても、「未来への投資」として「人への投資」を促進する政策が最優先され、質の高い公教育の再生に向けて、教育の質の向上に総合的に取り組むと明記されている。
 私立学校は学校運営の効率化、教員の資質向上・負担軽減、諸物価の高騰等様々な課題解決を迫られており、それらの課題解決のためには、経常費助成の拡充による学校経営の安定的な継続とともに、ICT環境をはじめとした教育環境の整備が喫緊の課題となっている。
 また、授業料支援においても、私立高等学校において年収の違いにより生じている支援金格差の是正とともに、私立中学校生徒に対する経済的支援の拡充が強く求められている。
 公教育の一翼を担う私立学校が、国の進める教育改革に的確に対応し、新しい教育、特色ある教育を提供するためには、多大な予算が必要となるが、学費負担における公私間格差や少子化による生徒数の大幅な減少等もあって、私立学校の経営は厳しい状況にある。
 とりわけ、長崎県の私立学校は小・中規模が多く財政基盤が脆弱であり、また、本県の人口減少は全国より進んでいることから、私立学校を取り巻く環境は一層厳しさを増すものと見込まれている。一方で、若者の県外流出など人口減少に歯止めをかけることは本県が抱える喫緊の課題であるが、県内就職割合が高い私立高等学校は、地域における若者の定着に大きな役割を果たしている。
 私立学校が、今後とも我が国の学校教育の先駆的実践と健全な発展に寄与し、将来を担う優れた人材を育成するためには、財政基盤の安定が必要不可欠である。
 よって、国におかれては、私立学校教育の重要性を認識し、教育基本法第8条の「私立学校教育の振興」を名実共に確立するため、現行の私学助成にかかる国庫補助制度を堅持し一層の充実を図るとともに、公教育の新たな基盤となるICT環境の整備充実や学校施設耐震化への補助拡充、私立学校の保護者の経済的負担の軽減のための就学支援制度の拡充強化を図るよう要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和5年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長  細田 博之  様
参議院議長  尾辻 秀久  様
内閣総理大臣  岸田 文雄  様
総務大臣  鈴木 淳司  様
財務大臣  鈴木 俊一  様
文部科学大臣  盛山 正仁  様
内閣官房長官  松野 博一  様



ブラッドパッチ療法(硬膜外自家血注入療法)に対する
適正な診療上の評価等を求める意見書

 交通事故、スポーツ、落下事故、暴力など全身への外傷等を原因として発症する脳脊髄液漏出症 (減少症) によって、日常生活を大きく阻害する様々な症状に苦しんでいる患者の声が、 全国各地から国へ数多く寄せられていた。その後、平成18年に山形大学を中心に関連8学会が参加し、厚生労働省研究班による病態の解明が進んだ結果、平成28年より同症の治療法であるブラッドパッチ療法(硬膜外自家血注入療法)が保険適用となった。
 その結果、それまで高額な自費診療での治療を必要としていた患者が、保険診療のもとにブラッドパッチ療法を受けることができるようになったが、脳脊髄液漏出症(減少症)の患者の中には、保険適用J007‐2の要件に掲げられている「起立性頭痛を有する患者に係る者」という条件を伴わない患者がいるため、医療の現場では混乱が生じている。
 また、その後の研究で、脳脊髄液の漏出部位は一か所とは限らず、頚椎や胸椎部でも頻繁に起こる事が報告された。ここで、この頚椎や胸椎部にブラッドパッチ療法を安全に行うためには、X線透視下で漏出部位を確認しながらの治療が必要であるが、診療上の評価がされていない現状がある。
 よって、国におかれては、上記の新たな現状を踏まえ、脳脊髄液漏出症 (減少症) の患者への、公平で安全なブラッドパッチ療法の適用に向け、以下の事項について適切な措置を講ずるよう強く要望する。



  1. 脳脊髄液漏出症 (減少症) の症状において、約10%は起立性頭痛を認めないと公的な研究でも報告があることを受け、算定の要件の注釈として「本疾患では起立性頭痛を認めない場合がある」と加えること。
  2. ブラッドパッチ療法(硬膜外自家血注入療法)の診療報酬において、X線透視を要件として、漏出部位を確認しながら治療行うことを可能にするよう、診療上の評価を改定すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する


  令和5年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長  細田 博之 様
参議院議長  尾辻 秀久 様
内閣総理大臣  岸田 文雄 様
文部科学大臣  盛山 正仁  様
厚生労働大臣  武見 敬三 様
国土交通大臣  斉藤 鉄夫  様
内閣官房長官  松野 博一  様



国土強靱化の計画的かつ着実な推進を求める意見書

 本県は、急峻な山地や崖地が多いことに加え、前線に伴う集中豪雨や台風の常襲地帯に位置していることから、頻繁に洪水・浸水被害や土砂災害が発生し、多くの生命や財産が奪われてきた。さらに、近年の自然災害は、激甚化・頻発化しており、県民の安全と安心の確保が急務となっている。
 また、半島・離島地域が多くを占める本県では、高規格道路のミッシングリンクが存在し、道路ネットワークが脆弱であること、さらには、これまで整備してきた社会インフラの老朽化も急速に進んでいることから早急な対策が必要である。
 そのような中、令和3年度からの「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の新設など、防災・減災、国土強靱化に向け一定の配慮がなされたところであるが、その対策は、まだまだ道半ばである。
 これらの対策を強力かつ計画的に推進するため、5か年加速化対策期間中の各年度予算を十分に確保し、完了後においても、中長期的かつ明確な見通しのもと、引き続き、必要な予算・財源を安定的・継続的に確保するとともに、国土強靱化基本法の改正により位置付けられた国土強靱化実施中期計画を早期に策定し、計画的な事業執行を図るため弾力的な措置を講ずることは、大変重要だと考える。
 よって、国におかれては、国土強靱化の計画的かつ着実な推進に向けて、下記の事項を講じられることを強く要望する。



  1. 未だ道半ばである強靱な県土づくりを着実かつ強力に推進するため、今年度の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の補正予算については例年以上の規模を確保すること。
  2. 資材価格が高騰する中でも国土強靱化対策を着実に実施することができるよう、必要となる予算を当初予算において安定的かつ持続的に確保すること。
  3. 国土強靱化の取組を中長期的かつ継続的に進めていくため、5か年加速化対策後も、必要かつ十分な予算を別枠で切れ目なく確保すること。
  4. 令和6年度末に期限を迎える「緊急浚渫推進事業」及び令和7年度末に期限を迎える「緊急自然災害防止対策事業」について、期間を延長すること。
  5. 災害発生時の迅速かつ円滑な自治体支援のため、地方整備局等・研究機関において必要な人員や体制の充実・強化を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和5年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長  細田 博之  様
参議院議長  尾辻 秀久  様
内閣総理大臣  岸田 文雄  様
総務大臣  鈴木 淳司  様
財務大臣  鈴木 俊一  様
国土交通大臣  斉藤 鉄夫  様
内閣官房長官  松野 博一  様
国土強靭化担当大臣  松村 祥史  様
内閣府特命担当大臣(防災) 



第74号議案「長崎県子育て条例行動計画の変更について」に関する附帯決議

 知事その他の執行機関は、「長崎県子育て条例行動計画の変更について」に基づく事業のうち、医療費助成については、市町とも一体となってより良い制度を目指していく観点から、事業の執行にあたっては、次の点に十分留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。

  • 一 高校生世代までの医療費助成のあり方について、市町とも十分に協議しながら、検討を行うこと。
  • 一 本来、医療費助成制度は、国の責任において整備すべきものであり、本県の取組状況なども示しながら、引き続き、国に対して強く要望していくこと。

以上、決議する。


  令和5年10月6日


長 崎 県 議 会

(提出先)

長崎県知事  大石 賢吾  様