令和4年9月定例会

意見書・決議


地方財政の充実・強化を求める意見書

 地方自治体は、社会保障関係費をはじめとする行政需要が年々増加し、物価高騰や新型コロナウイルス感染症への対応も継続して求められる中で、地方創生・人口減少対策や地域経済活性化・雇用対策、人づくり、大規模災害に対応するための防災・減災対策、デジタル化の推進など、様々な政策課題に直面している。
 政府においては、「経済財政運営と改革の基本方針2021」において、2022年度からの3年間、地方の一般財源総額を2021年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとしているところであるが、原油価格・物価高騰等により社会経済活動へ大きな影響が生じるなど、地方財政は極めて厳しい状況下にあり、地方が物価高騰等の環境変化に適切に対応しつつ、地域経済の回復・拡大に継続的に取り組んでいくためには、更なる地方財源の確保が必要不可欠である。
 よって、国におかれては、2024年度の地方財政予算全体の安定確保に向けて、次のとおり適切な措置を講じるよう強く求める。

  1.  地方財政計画、地方税のあり方、地方交付税総額など地方に関わる重要政策については、国と地方の協議の場において、地方と十分に協議を行い、その意見を反映すること。
  2.  地方創生・人口減少対策をはじめ、社会保障関係費の増嵩への対応、地域経済活性化・雇用対策、人づくり、防災・減災対策、デジタル化の推進、物価高騰対策など、地方の実情に沿ったきめ細かな行政サービスを十分担えるよう、今後も安定的な財政運営に必要な一般財源総額の確保・充実を図ること。
  3.  地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が適切に発揮されるよう総額を確保するとともに、財源不足への補填については、臨時財政対策債の発行等によることなく、法定率の引上げを含めた抜本的な改革等による対応を検討すること。
  4.  新型コロナウイルス感染症収束後、地方創生臨時交付金など特別な財源措置がなくなるなどの地方財政の平時化に伴い、地方財政計画を圧縮し地方交付税を削減することのないよう特段の配慮をすること。また、リーマン・ショック時と同様に、地方財政計画における歳出特別枠の計上や地方向け交付金の創設などの新たな財源措置を講じること。
  5.  地方創生を確実に推進するため、地方財政計画における「地方創生推進費(1.0兆円)」、「地域デジタル社会推進費(0.25兆円)」及び「地域社会再生事業費(0.42兆円)」を維持・確保すること。また、本県は離島・半島など条件不利地域を多く有するとともに、人口減少や高齢化が全国よりも進展している状況であり、その算定については配慮すること。
  6.  デジタル田園都市国家構想交付金をはじめとする地方創生関連予算については、地域の活力再生や移住定住促進などの取組を推進するため、継続的かつ安定的な財源を確保すること。
  7.  会計年度任用職員制度に伴う財政需要については、勤勉手当の支給も含め、引き続き、地方財政計画に確実に計上すること。
  8.  地方自治体は、国を上回る行財政改革や歳出抑制の努力を行う中で基金の確保など財政運営の年度間調整に取り組んでいることから、地方の基金残高の増加を理由に地方財政計画の圧縮や、地方交付税の削減を行わないこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和5年7月4日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長        細田 博之 様
参議院議長        尾辻 秀久 様
内閣総理大臣       岸田 文雄 様
総務大臣         松本 剛明 様
財務大臣         鈴木 俊一 様
内閣官房長官       松野 博一 様



生涯を通じた国民皆歯科健診の実現を求める意見書

 現在、我が国では法的根拠に基づく歯科健診として、1歳6か月、3歳児における乳幼児歯科保健制度に基づく健診、小学校、中学校、高等学校の児童・生徒に対する学校歯科保健制度に基づく健診が行われ、この年代の全ての国民が歯科健診を受診している。一方で、成人期においては、健康増進法に基づく40、50、60、70歳の歯周疾患検診、高齢者医療確保法に基づく後期高齢者歯科健診が行われているが、その受診率は極めて低いものとなっている。また、事業所における歯科健診は歯科特殊健康診断として有害業務に従事する労働者に限られている。
 現在では多くの研究により、歯の本数と全身の健康状態、歯周病と全身疾患との関係等についての科学的な根拠が明らかになっており、人生100年時代を迎える中で健康寿命を延ばすためには、「8020運動」の取組をさらに進めるなど、歯を含めた口腔内の健康維持が極めて重要である。そのためには、ライフステージに応じた切れ目のない歯科健診の受診機会を確保する必要がある。
 こうした中、国においては、令和4年6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」において、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討を行うことが初めて盛り込まれた。
 よって、国におかれては、国民皆歯科健診の実現に向けた具体的な検討を早急に進めるとともに、次の事項につき措置されるよう強く要望する。

  1.  国民皆歯科健診実現に向けて「歯科口腔保健推進法」の改正も含め、必要な法整備を行うこと。
  2.  国民皆歯科健診の制度設計等に関する具体的な検討を進めるに当たっては、地方自治体をはじめ関係者の意見を十分に反映させるための必要な措置を講じること。
  3.  国民皆歯科健診の実施に関しては、国において十分な財源措置を講じること。
  4.  国民皆歯科健診の実現と合わせて、国民に対して歯と口腔の健康づくり及び歯科健診の重要性についての啓発や健診受診後の定期的な歯科受診の勧奨を行うなど、歯科疾患の発症や再発、重症化予防のための総合的な取組を推進すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和5年7月4日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長        細田 博之 様
参議院議長        尾辻 秀久 様
内閣総理大臣       岸田 文雄 様
総務大臣         松本 剛明 様
財務大臣         鈴木 俊一 様
厚生労働大臣       加藤 勝信 様
経済産業大臣       西村 康稔 様
内閣官房長官       松野 博一 様
内閣府特命担当大臣    後藤 茂之 様
(経済財政政策)