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10月開花の黄色秋小ギク品種「長崎AYC1」 不要な枝発生少なく

2017年(平成29年)1月15日

小ギクは、家庭用仏花として私たちの身近でよく使われており、年間を通じ堅調な需要がある。また、小ギクは露地栽培が可能で、他の花き品目と比べ栽培しやすい上、比較的労働時間が少なくて済む利点があり、野菜や果樹経営の補完品目としての導入、遊休農地や離島および中山間地への作付けを推進している。これにより、全国の小ギク作付面積が年々微減するのに対し、本県の2015年産作付面積は35.8haで、10年産の約1.7倍に増加している。

当センターでは本県の気候で栽培しやすく、花色や草姿が良い本県オリジナル小ギク品種の育成に取り組んでいる。今回育成した黄色秋小ギク「長崎AYC1」は6月下旬に定植すると10月下旬ごろに開花する。開花時の花の大きさは4~4.5cmほどあり、花びらが2、3列に重なった半八重=写真=で、消費者から好まれる濃い黄の花色が特徴。切り花の姿(フラワーフォーメーション)図の3に当たり、花束として販売するのに適している。また、不要な枝の発生が少ないため、これを取り除く作業がいらず、栽培の省力化にもつながる。

「長崎AYC1」は16年6月に品種登録出願公表され、今年度は壱岐、長崎、佐世保、諫早各市で試作を行っている。新年度から本格栽培を開始し、5年後には県内1haの普及面積を見込む。

現在、特に需要の多い7~9月咲きの小ギクを育成中であり、今後も安定生産可能な優良品種を育成し生産者の所得向上につなげていく。



    
                  開花時の「長崎AYC1]



    

       フラワーフォーメーション

(農産園芸研究部門 花き・生物工学研究室 主任研究員 池森恵子)