新聞報道

    

「長崎ちゃん麦」に適した穂肥および実肥の使用量

2016年(平成28年)12月4日

「長崎ちゃん麦(長崎W2号)」は、「長崎ちゃんぽん麺用」として本県で育成した硬質小麦品種で、2016年産は、雲仙市を中心に39㌶作付けされている。

ちゃんぽん麺など中華用麺に使用する小麦は、子実タンパク含有率(粒に含まれるタンパク質の割合)が重要で、国が示す基準において11.5%以上が求められている。また、農家所得を向上するには収量を増やすことが必要である。そこでセンターは「長崎ちゃん麦(長崎W2号)」の子実タンパク含有率を向上させ、収量増につながる技術確率に取り組んだ。

小麦の子実タンパク含有率を向上させるには、実肥(みごえ)(穂が出そろう頃に使う肥料)の使用のほか、穂肥(ほごえ)(穂の発育に必要なチッ素等を補給するための肥料)を増やすことも効果的。子実タンパク含有率は、栽培条件などにより年次ごとに変わるが、穂肥と実肥に含まれるチッ素成分を、10㌃当たり12㌔以上使用することで、おおむね11.5%を確保することができる=図=。また、収量向上にも穂肥を増やすことが有効だが、チッ素成分で10㌃当たり6㌔程度が良く、それ以上だと逆に倒伏により減収する場合がある。

以上のことから、穂肥と実肥をそれぞれ10㌃当たり6㌔の計12㌔使用することで子実タンパク含有量と収量が向上することが分かった。ただし、ほ場ごとに残存しているチッ素量が異なるので加減が必要である。

県は商品のPR、ブランド化のため、「長崎ちゃん麦」という名称で商標権を取得し、10月に「長崎ちゃん麦」を使用したちゃんぽん麺を期間限定で販売した。この麺が県内消費者に定着することで、県内産小麦の需要が高まり、本県の麦作振興につながることが期待される。



    
       長崎ちゃん麦(左半分)と硬質小麦の既存品種ミナミノカオリ



    

       ■穂肥および実肥量と子実タンパク含有率(2012~2014)

(農産園芸研究部門 作物研究室室長 下山伸幸)