概要:
大村湾など閉鎖性水環境の富栄養化が進行しており、陸域から海へ流入する栄養塩類を減少させるための対策技術として、牡蛎殻等リサイクル資源を活用したリン除去技術並びに多孔質セラミックスによる硝化・脱窒技術について検討した。なお、閉鎖性の池、養殖・蓄魚水槽など限定的な閉鎖性水環境も研究の対象とした。
リン除去材は牡蛎殻、廃シリカ及び粘土等の混合物スラリーに起泡剤を加えて発泡させた後、型枠に流し込み脱水・乾燥し、650℃~800℃の温度で熱処理を施した後、一部の試料は水熱処理を施して作製した。得られた試料のリン除去特性を、5mg/lのKH2PO4水溶液に対し1wt%のリン除去材を添加する方法で評価したところ、水熱処理を施した試料によるリン除去特性が持続性において優れており、実用上有効であった。
陶磁器屑等を配合した磁器素地系セラミックスの原料スラリーに起泡剤、バインダー、保形材等を配合し型枠内で固化させて作製した泡状セラミックス(気孔径50~500μm)を、カラムに充填し魚水槽の海水を通水し、海水中の硝酸イオン除去能を調べた。その結果、担体50g・1日当たり窒素換算で50mgの硝酸イオンを脱窒することができた。
以上の開発した試料は、衛生公害研究所の協力により実用化の実験を継続する。