概要:
蓄光顔料・蛍光顔料の陶磁器加飾への利用化を図るため、前年度につづき、製品開発において蓄光顔料を絵具に用いる際のメクレやチヂレ等の欠点対策を重点的に行った。
蓄光顔料を絵具に配合して用いる場合、一定水準以上の輝度と残光時間を確保するためには、絵具にするときの蓄光顔料の含有量と絵具層の厚みを増す必要がある。また良好な焼成後の状態を得ようとして蓄光顔料粒子を微粒にすると、粉砕によって蓄光効果は大きく低下する。このように欠点を伴わずに蓄光顔料の機能を生かすことは容易ではなかった。欠点防止には絵具印刷時の空気の巻き込み、転写における水もしくは空気の排除が最も大きなポイントであった。結果として、印刷段階では中心粒形4μm前後に調整したフリットを用い、オイル比は42wt%前後、印刷は返し刷りの重ね刷りの条件で、素地と絵具の界面密着に注意をしながら転写をすることで、良好な焼成品を再現よく製作することが可能となった。以上の結果に基づき、暗闇でも残光性のある蓄光顔料の利用に重点を置き、蛍光顔料を用いた絵具も併せて、染付や上絵との組み合わせによる装飾陶板、階段や避難等のマーク、表札などのロゴ及び装身具への展開を図った。