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県央地区リスコミ(食肉製品)実施結果

県央地区「食品の安全・安心リスクコミュニケーション」を開催しました。

   

 今回、県央地区では、『食肉製品の安全・安心確保』をテーマに、ウインナーの手作り体験と意見交換会を開催しました。
1.日 時
平成20年11月17日(月)

2.場 所
 
長崎浪漫工房(東彼杵郡川棚町百津郷39)
3.テーマ  『食肉製品の安全・安心確保』
4.出席者 30名


5.内 容 (1)ウインナー手作り体験見学         
  ・作業手順等の事前説明.
・ウインナーの手作り作業(肉とスパイスの混合、羊腸への充填)を体験。
(2)意見交換会
  ・長崎日本ハム(株)、川棚食肉衛生検査所から、食肉製品の安全・安心確保への取り組みについて説明。
・消費者からは、食肉製品に関して、食肉の検査、輸入原材料の安全対策、加工品の表示などを中心に様々な意見や質問があった。

 

【ウインナー手作り体験の様子】

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   【意見交換会の様子】

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【意見交換会での質問や意見など】  
○ 消費者★ 行政機関●生産者

○   HACCPを更新したとの説明があった。ISOも更新があるのか? また、SQFは?(生協ララコープ)

●   ISOに関しては更新審査と維持審査がある。加えて内部監査制度がある。日本ハムの場合、SQFは基本的にはファームとか食肉工場で取得している認証で、加工品の場合とは違います。(長崎日本ハム(株))

○   九州産のブタがココ(浪漫工房)に来ると聞いているが、自社の農園から来るのか? また、何カ所くらいから来るのか。(生協ララコープ)

●   自社の農場は鹿児島県にあり、そこから来るものもあれば、近くは大村市など県内の養豚場から入って来ているものもある。(長崎日本ハム(株))

○   工場でハムやウインナーを作る上でリスクが一番高いものは何か。また、2番目に高いものは?(生協ララコープ)

●    原料由来の異物混入が1番高い。2番目は、ライン由来、作業者由来になる。厳重な管理をしているが、それでも毛髪が混入していたという苦情もある。(長崎日本ハム(株))

○    ウシはBSEという病気がある。食肉の検査で、病気のブタはラインに乗らないのか、生産者にだけその病気の情報が行くのか、加工するとまずい病気があるのか?(生協ララコープ)

★   食用に適さないものは全部廃棄となる。全部廃棄される主な疾病は、豚丹毒、膿毒症、敗血症がある。まったく病変がないものは4割で、6割が病変部分だけを取り除く部分廃棄がされる。全部廃棄の割合は、コンマゼロ%くらい。(川棚食検)

○   環境に由来するものは?(生協ララコープ)

★   豚舎の敷料汚染が関与する非定型抗酸菌症などがある。(川棚食検)

○   新型インフルエンザが、いざ発生したらその対処法は。(食品ウォッチャー)

★   新 型の発生は今ない。高病原性鳥インフルエンザウイルスが突然変異して新型になることが懸念される。鳥について、渡り鳥の検査は環境省が定期的にモニタリン グやっている。行政では、担当者での演習、ワクチンの備蓄、保健所担当者等への人インフルエンザワクチン接種などを行っている。国が言っているのは、発生 した場合にはまず人混みに行かないこと。マスクや食料の備蓄など、地震災害などを想像してもらえばよいが、個人レベルでも対策を考えた方がいいと思う。 (県央保健所)

○   体験教室でのマスクの着用は衛生上義務づけていないのですか。(食品ウォッチャー)

★   今回はあくまで体験教室でのハムやソーセージの作り方を学習していただくという事だと思う。工場では、求められる衛生管理が違う。専用の設備の中で、専用の服、指輪時計をはずし手洗い、マスクをしてネットと帽子をかぶり、ころころローラをかけ、エアシャワーを浴び、靴の消毒をして工場内に入る。プロの世界では当然そのような管理が行われている。(県央保健所)

○    マスクの話が出たが、鹿児島の放牧(黒豚)を見学したことがある。放牧での見学でさえもマスクをして頭巾をかぶって手を洗って靴を洗って牧場に入った。(食品ウォッチャー)

○    体験教室の中は土足で入るし、肉は素手で混ぜたりと、三角巾のかぶり方、指輪のことなど、やはり衛生面には工場との落差を感じた。体験教室でも工場と同じレベルの衛生管理や教育を行った方がよいのではないか。(食品ウォッチャー)

●   貴重なご意見ありがとうございます。教室では楽しんでいただくのが第一の目的ということでご理解いただきたい。人それぞれの感じ方もあるので、手袋の準備など、選択肢を増やすという方法なども検討していけたらと思う。(長崎日本ハム(株))

○   事故米の問題があった。こちらでも国外から仕入れを行い、検査もしているということだが、こちらの原材料はどうなのでしょうか。(食品ウォッチャー)

●   直 轄で運営している国外の農場や処理工場には、グループ社員がいて現地の管理基準プラス国内要求レベルと同等の管理を行っている。自社グループだけで手当し きれない場合、契約の中でグループの基準にあったものを購入するようにしている。定期的に残留化学物質の検査を実施したり、相手方のパッカーでも検査し て、規格書として提出していただく。国も抜き取り検査をし、工場でもまた検査する。ここまでやっているが、ゼロリスクとはならない。原料に異物が多い場合 には、海外に行って指導することもある。原料のふたを開けたら、ブタの脂肪にイタズラでメッセージが入っていたりということもある、このように悪意を持っ てやられると難しいが、通常であれば、安全安心な状態を確保していると思う。100%は難しいが、100%を目指してやっている。(長崎日本ハム(株))

○   原料の内訳として、国外産、国内産、九州産、地元産のうち、割合はどのようになるのか?(食品ウォッチャー)

●   全 体でどのくらいかは、この場で即答は難しい。種類別でいえば、生協の商品は、国産原料だけを使っているものが多いし、スーパーに並ぶような一般的な商品は 国外原料が主体である。一部、国産原料のみ使用のこだわり商品なども製造しているが。基本的には、食料自給率4割の国なので、一般的な加工品の原材料は海 外に頼らなければならない現状がある。(長崎日本ハム(株))

○    正しい検査が行われているのか。(食品ウォッチャー)

★   ゼ ロリスクはない。安全性を確保するために、メーカー自身で努力を、国は検疫所でサンプリング検査を、保健所でも検査をしているが、流通しているすべての商 品をすべて検査することはできていない。中国産の食べ物が100個あってすべてが危険かというとそうではないと思う。グリコ森永事件や和歌山のヒ素入りカ レー事件など、事件があったからグリコの商品がすべて危ない、和歌山で作ったカレーがすべて危ないといった論調にはならなかった。最近取りざたされている 農薬が高濃度で検出された事件、メーカーが注意して取り除ける問題ではなく、悪意があっての犯罪行為だと思う。中国で言うと、ほうれん草の問題、残留基準 の見直しやロットごとの検査の命令できるように法が改正されたり、食品安全基本法など、しばりは厳しくなってきている。しかし、そういったイメージがある から(中国産は危ないと思う)のかなと。自給率40%切れている、朝昼晩のうち1回分しか国産では食べられない。何がなんでも危ないという事はないと思 う。それでも国産をということであれば、お金は高くても買いますといったこともある。消費者の方にも情報を見て選択していただけるようなところと、私たち から少しでもこういった機会を捉えて話をさせていただくことで、少しでも不安感を取り除くことができればと考えている。(県央保健所)

○   農薬の基準は国によって違うのか。(食品ウォッチャー)

★   そ れぞれの国内でできる野菜も違うし、使う農薬も違うので、国によって少しずつ基準は違う。例えば、アメリカで認められている農薬や動物用医薬品が残留して いて、日本では適用がないから食品として扱うことはできない、それが輸入障壁になってというのがあって、どんどんその辺はすりあわせが進んでいると思う。 (県央保健所)

○   動物用の医薬品、スクリーニングで確認をされているということだが。基準は?(生協ララコープ)

★    定期的に豚生産農家ごとの抽出検査を実施している。違反事例はほとんどないが、残留が確認された場合は、家畜保健衛生所、申請者に連絡して生産者における動物用医薬品の使用状況等を調査して指導することになる。(川棚食検)

○   肉屋で肉を買うときは産地がわかるが、加工品になると産地がわからない。加工品にも書いてあると選びやすいと思う。(食品ウォッチャー)

★   加 工食品の原料原産地の表示については、消費者からの求めもあって準じ拡大はしてきているが、昨今の状況を考えた時に、消費者の心配にはまだ応えていないと いったところだと思う、所管がJASということで、表示拡大の方向で検討されているが、すべてにそれをするということは実際的でないという問題もあるよう に聞いている。(食育・食品安全推進室)

●   日 ハムの実情から説明すると、個々の商品には書ききれていないが、ホームページでの主要商品の開示や、フリーダイヤルでお客様相談室に相談いただくとお答え できる体制をとっている。加工度の高い食品になると、たとえばスパイスなどの副原料にしても、豚などの原料も、部位によって輸入されている国が違う場合も あり、すべてを小さなステッカーに書ききれない。他の大事な情報が載せられなくなる。また、食品産業は零細事業者も多く、そこまでついていけない状態があ る、そういった場合、一律同じ表示にしなさいとなった場合、食品産業としてかえって消費者に迷惑をかけることになるかもしれないというのが個人的な意見で ある。規模の違う業者で、その管理コストを考えると中小企業では事業が成り立たなくなるかもしれない。そこら辺は慎重に進めていかなければ、事業者だけで はなく国民全体の重要な問題となると思う。(長崎日本ハム(株))

○   国産の材料を使った場合、それをどこかに表示すれば販売促進に繋がるのではないか。(食品ウォッチャー)

●   日ハムグループとして、表示に関しては、非常に厳密な解釈をしており、優良誤認になること、不公正な競争につながることは避けている。(長崎日ハム)

○   原料の肉について、たとえば鹿児島産の肉は、生体で長崎まで連れてきてと殺するのではなく、鹿児島でと殺された肉を持ってくると解釈してよいか。(食品ウォッチャー)

●   鹿児島産とは、鹿児島で育てた豚のことで、浪漫工房で使う肉に限って言えば、生体のまま川棚工場まで持ってきてと畜したものである。また、本社工場で使う国産原料は、国内のどこかでと畜された肉ということになります。(長崎日本ハム(株))

○   各 県によって、食肉の検査基準は違うのか?畜産に力を入れている県とそうでない県での違いは。ハムソーセージの中に光った肉が入っている、これはオーストラ リアのカンガルーの肉だと聞いたことがある。また、熊本では馬肉、宮崎ではしし肉を使ったもの、牛、豚以外の動物の肉で、どの程度のものまでがハムソーセージに使われているのかどうか、その辺の現況は?(食品ウォッチャー)

★    検査の基準は全国変わりません。県内に5つのと畜場があり、産地別の処理状況は県内産の豚は6割、4割は県外産となっている。川棚と畜場では県外が多くて、6割が県外産となっているが、すべてが県内で流通するわけではない。(川棚食検)

★   と 畜場で処理をしなければならない動物、牛、豚、馬、ヤギ、羊は、獣医師が生きたうちから検査をしており安心できる。それ以外のイノシシや鹿などは、必ずし も獣医師が検査をしなければ処理をできないということではないので、比べると若干心配だと思う。特産品ということでは、南島原市で鹿肉の食肉製品があった り、イノシシが増えて処理場ができたり、江迎にある処理場では、持ち込むイノシシに時間制限があったり、と畜場で訓練を受けたような作業員が解体を行って いるなど、また、熊本ではダチョウを専用にしているところもあると聞いている。(県央保健所)

●   肉が光る現象については、原料肉が悪いとかいうことではなくて、燐光現象というのがあって、肉の組織に光が当たったときの光の屈折や反射、干渉の加減でキラキラ光ったように見えることがある。(長崎日本ハム(株))

○   最近のハム、ちょっと前のハムはもっと塩っけが多かったような気がするが、最近のは塩分が少ないと感じるが、保存上はそんなに変わらないのか。(食品ウォッチャー)

●   保 存性試験など行ったり、さらに安全率も加味し賞味期限を設定しているので、期限で表示されている範囲では大丈夫である。余談ではあるが、従来ハムは保存食 であった。欧米のハムは、2%を越えるものが主体で、パンにはさんで食べるのにちょうどいいように味が濃いめになっている。日本では、そのままサラダに乗 せたり、そのまま食されたりする人が多いので、食塩濃度はだんだん低く設定されていっているような傾向がある。(長崎日ハム)

○   パンチェッタみたいなものはあるのですか。(食品ウォッチャー)

●   生 ハム系のパンチェッタはグループでは扱っているが、長崎日ハムでは扱っていない。塩の話、生ハム、実は塩分値では数%入っているが、しょっぱく感じないと いうのは、非常に長期熟成することで塩熟れしており、たんぱく質がアミノ酸に分解されるくらいまで長い間熟成させるため、うま味で塩角を感じない。(長崎 日本ハム(株))

○   食 品安全基本法ができて5年くらい経つわけだが、いろんな問題が出てきた時に、県レベルでやっていて、横の連携や現場の体制などは、実際のところどうです か。もう一つは、食育ということで、消費者を育てていくためには、小中高の段階を踏んで、生産者の実情を理解し、生産者と消費者との相互理解を促進するた めの食育を、教育としてどのように考えていますか。(生協ララコープ)

★   平 成15年4月に、県の横の連携をするための組織として、食品安全推進室ができた。全体としては、総合的な食の安全安心を進めていくため指針や実施スケ ジュールを作り、その進捗管理を行っている。偽装表示の関係で言えば、表示を所管する法律は、JAS法、食品衛生法、景品表示法、健康増進法など、いろん な部局に分かれているが、これを室で一体的に県民からの苦情や相談を受け付けて、権限のある所管課に渡していくが、その処理や対処には室も関わっていくと いうことをやっており、そういう意味では、食品表示への取組としては、国より横の連携は取れていると自負している。食育でも、とりまとめ役としての室があ る。小中学校の体験学習等については、国の計画の中で、教育ファームの取組があげられており、所管の農政事務所と協力して、推進して行こうと努力はしてい るが、まだまだという状況。しかし、学校単位での体験教室は相当程度やられていると聞いている。(食育・食品安全推進室)

 

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