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県南地区リスコミ(農産物)実施結果

県南地区「食品の安全・安心リスクコミュニケーション」を開催しました。

   

 今回、県南地区では、『農産物の安全・安心確保』をテーマに、圃場や直売所の施設見学と意見交換会を開催しました。
1.日 時
平成20年9月2日(火)

2.場 所


 
(1)見学施設
  圃 場:ながさき南部生産組合 圃場2箇所
直売所:大地のめぐみ(諫早市貝津町600?6)
(2)意見交換会場
  ながさき南部生産組合 会議室(南島原市北有馬町戊2465?1)
3.テーマ  『農産物の安全・安心確保』
4.出席者 37名
5.内 容 (1)圃場見学         
  ・ねぎ圃場と葉物のハウス栽培の2ヶ所を見学。
・代表から、圃場の特徴、設備の概要、作付けの状況などについて説明
(2)意見交換会
  ・ながさき南部生産組合から、組合の安全・安心対策を中心に説明。
・消費者からは、農産物の安全・安心に関して、外国産、農薬、地産地消などの観点から様々な意見や質問があった。
(3)直売所見学
  ・直売所内見学。

【圃場見学の様子】

20年度01 20年度02 20年度03 20年度04

   【意見交換会の様子】

20年度05 20年度06 20年度07
【意見交換会での意見など】  
○ 消費者★ 行政機関●生産者(ながさき南部生産組合)

○  生産者も一生懸命がんばっており、消費者もその点で消費者の好みというものを考えないといけないと思う。生産者が安心して生産できるような、県の予算と か国の予算などいろんなことがあると思うが、食を通してみんなが力を出せるような、そういうことが一番大事だと思います。(消費者)

★  農家の方が消費者のニーズに応えて生産するような生産体制はまだまだの状態。今の流通は、国や農家の方が基本的にJAさんに収めて、JAさんから物が企 業・市場へ流れていくというのが大きな流れ。この組合がやっているような取組も少しずつ認知はされてきている。食料自給率は、カロリーベースで40%。国 としては、せめて50%まで食料自給率をあげるため、個々の農家ではどうしても生産力が弱いから、農業生産法人を作るように生産誘導をやっている。ただ、 今の食生活では100%自給することはできない。日本ではえさが基本的に自給できていない。米と野菜以外はほとんど輸入している。油、油脂、大豆などはほ とんど自給できていない。できるものは日本で作るようにしたいと思っています。(長崎農政事務所)

○ 残留農薬の分析は生産者だけが行うものですか?(消費者)

★ 農薬取締法の中で、使用回数や濃度や作物によって使える農薬の種類を 決めており(農薬の使用基準)、これを守ってもらえれば健康被害が出ないような仕組みになっている。組合は、自らの遵守状況を確認するために、自主的に残 留農薬の検査をされていると理解している。行政では、保健所が収去して残留農薬検査をやっている。また、輸入品は、検疫所がモニタリングという形で検査を やっている。国内産、輸入品ともに同じような割合で基準値をオーバーすることはあるが、我が国で食べて即健康被害が出るような農薬が検出された例はありま せん。(長崎農政事務所)

○ 生産者がほんとうに夢をもてるような、生産者への協力や助成など、もっと手厚いいろんなことが必要ではないでしょうか。(消費者)

★ 直接的な助成というのはなかなかできない。大きな団体や組合には、低利の融資などを行っている。(長崎農政事務所)

● 農業改良普及センターのお世話になって、夏場の野菜を無農薬で作ると いうような取組を3年間くらい試験した。3年目には、夏場でもいいものができた。何か行政の手助けをとの話があったが、そういったお手伝いや教えをいただ きながらやっています。(ながさき南部生産組合)

○ 他の直売所と比べて、大地のめぐみは、雰囲気的に少し寂しいな、もう少しおもしろみがあることをされたらいいかなと思います。(消費者)

● 大地のめぐみは3年目を迎えているが、よそからの仕入れはなるべくし ない、品物も自分たちが自信を持って食べられるものを置くというスタンスでやってきた。組合員が、努力をして、品揃えをして、3年目で少しずつなんとか格 好のつく状況の中で店作りをやってこれたと思っている。例えばりんごなどは九州にないので、同じような考え方、作り方で一部外部から持ってきているものあ るが、基本的には、組合員が一生懸命育てたものを食べていただこうと気持ちがあるので、やっぱりある時期は品揃えが寂しくなる時期もある。お店の運営につ いても、私たちは素人集団なので、少しずつ勉強してやってきている。みなさんのお声をいただきながら、今後のあり方の参考にさせていただきたいと思いま す。(ながさき南部生産組合)

○  大地のめぐみに置いてある野菜は、輸入品ではないので安心できる。他店で見かけるブロッコリーなど、なぜ輸入しなければならないのか、消費者の要求があ るのだろうか。やはり、輸入品は使いたくないと思います。中国産は、店頭からほとんど名前が消えたけれど、本当に中国産じゃないのでしょうか。(消費者)

● アメリカの■■■という企業があり、果物など大半はアメリカから持っ てくるが、結局、あれくらい大きい企業でないと持ってこられない。ということは、食のグローバル化というのは、食を独占する企業が必ず生まれると言うこ と、彼らはそれで結構利益を上げている。価格はどうしてもそっちの方が安い。経済は国境を越えて来ているが、現実、そういう中で日本の農家はいなくなって きている。65歳以上の農家が7割で、間違いなく日本の農家はいなくなる。その時にどうするかを今考えなければならない。国も一生懸命に助成策とか講じて いるが、我々も先祖から受け継いだ田畑をかろうじて守っているという状況、すごくたいへんなことになる。作る人がいなくなると、消費者につけがまわってく ることになる。国の自給率は50%なんて絶対にあがらない。今年も、39.3%が40%になったので、1%上がったじゃなくて、0.7%しか上がっていま せん。(ながさき南部生産組合)

○ 無農薬と書いた表示を見ますけど、ほんとうに無農薬ですか?(消費者)

● 無農薬という表現は使っていないと思う。低農薬、減農薬、無農薬とい うのは、農薬を使わないで作っても使ってはいけないという国の制度になっている。使っていない場合は、農薬を使わないで栽培しましたという、不使用栽培と いう言い方でやっています。(ながさき南部生産組合)

○  お店に行くと、野菜などに、生産者の名前入り、写真入りのものがよくあるが、この組合の人と同じようにきちんと農薬の管理をして栽培されていますか。諫 早でも、生産者の名前が書いている店があり、これは、無農薬に近い形で作っておられるのかどうか、買う場合に迷うのですが。(消費者)

● 組合では、基本協定書で基本的な考え方を統一して生産者が理解して生 産していただいている。全部、無農薬じゃないとダメだということではなく、使わないというのが基本だが、使った場合には、報告を、決まりを守ってください ということ。1年に3回くらい生産者協議会を開いて、指導監督を行っており、その点は大丈夫だと思います。(ながさき南部生産組合)

○ 農協関係のJAさんですね、そういうところにも残留農薬の検査の関係で指導とかはやっているのですか。(消費者)

★ 指導は行っていると思う。JAは自分でやっている所もある。生産履歴ということで、農薬等の生産資材について、どういうふうな物を使ったかといった書きなさいといった運動を今やっています。(農政事務所)

★ 農協の中にはいろんな部会があり ます。いちご部会とかみかん部会など。この部会単位ごとに、この作物を作るためには、この病気の時には、こういった農薬を、何倍にうすめて、何回までしか 使えないといったことを部会ごとに決め、使った場合にきちんと記録をする。これを生産履歴といいます。これを出さないと農協は物を取り扱って、出荷ができ ないといったシステムにかわってきており、島原半島のJA島原雲仙という農協でも全農産物記帳して出荷されています。農改では、部会ごとに生産履歴記帳の 指導等を行っています。(農業改良普及センター)

★ 農家の栽培履歴の記帳について は、JAの方で相当推進して、90数%までは記帳しているとの話を聞いています。JA自体が出荷前に農薬の残留検査の分析を、一定やられているところもあ るし、こちらの生産組合のように組合で取り組んでやられているところもあります。すべては網羅されていないが、生産履歴の管理ということで一定チェックが 効くといった状況です。また、流通に入った時には、保健所の収去検査で、いろんな野菜、計画を立てて引き抜いて、分析検査をやっています。(食育・食品安 全推進室)

● 大地のめぐみも数年後には、生産履歴の記録がないものは出させない、店に置けないというシステムになります。(ながさき南部生産組合)

●農薬は、今、特に悪い例がいっぱいニュースにも出てきて、食の安全安心と言うが、今の農薬は効かない。また、高い農薬は農家も使いたくないと思っている。やたらと農薬を使っている農家は、経営がおかしくなるのではないでしょうか。(ながさき南部生産組合)

○ ジャガイモ畑では、ピクリンという農薬を使っていて、たくさん使っているのは出荷して、農家が自分で食べるのは別に作っているという話を聞いたことがあるが本当ですか。(消費者)

● じゃがいも生産で長崎県は鹿児島県に抜かれて全国3番目。じゃがいも は、このまま放って置くと、今の値段だと生産が半減する、間違いなく減ります。ピクリンは、組合では土壌消毒には使用不可のルールになっているので長年 使ったことはないが、ピクリンの最大の欠点は、揮発性ガスで害があること。農業者にとって非常にいいのは、ピクリンを使うと、じゃがいもに土がつかない、 草が生えないということ。農業の半分は雑草との戦いなので、草が生えない薬というのは非常によい。しかし、環境にとってはよろしくない。毒ガスなので。 (ながさき南部生産組合)

● 今、ポジティブリスト制というの があって、残留農薬の基準を一律0.01ppmに決めた。非常に低い値で、毒性がないけれど、基準を0.01ppmと決めることで、これを越えたら流通で きなくなる。そこが問題です。例えば、柿のすぐ横に、ほうれん草とか植わっていたりする。それぞれ栽培している農家が違うと、知らない、見ていないうち に、柿に使って良い農薬がほうれん草にかかる場合がある。これが市場に出回り、保健所がサンプリングして、残留農薬が検出されると大騒ぎになるが、これを どう防ぐかである。組合では、どの生産者のどの畑かいっぺんでわかる仕組みにしているから、瞬時にそこの生産者のその圃場の分は、出荷を止めて、最後、分 析にかけてという作業をすることができる。過去2回そういった事例がある。こうしたリスクをどう管理するかが大事、ただ記録をとるだけではなく、組織がそ こまで機能しているかどうかが一番大事なリスク管理の仕方である。畑は入り交じってごちゃごちゃあるわけで、そういうところにリスクのある作物を作らない といった工夫も大事です。(ながさき南部生産組合)

★ 一概に農薬といってもいろいろな目的や種類があるので、できれば消費者の方にも農薬の正しい知識を持っていただけたらなと思っています。(農業改良普及センター)

○ 虫もだんだん強くなって、薬も強いものになっていく。結局は虫くれを食べた方が安全っていうことなのかなと思います。(消費者)

○ 土作りにEM菌を活用した農作物が非常にいいものが出ていると聞いた。ほんとに安心できる、口に入れたものは大丈夫というものがもっともっと出てくればいいなと思います。(消費者)

● いろいろ農法があるけれども、これまで30年やってきて、試していな いものは一つもない。EM菌を使った農法は、本も出ているけれども普及していない。なぜかというと値段が高すぎで、継続していくには非常に問題。各家庭の 生ゴミ程度をプランターに返すくらいだったら、EM菌が一番いいのかもしれません。(ながさき南部生産組合)

★ 農薬の話があったが、今、農薬で 毒性が強い農薬はあまり登録されていない状況です。毒性の強いものについては、数的には1割から1割5分くらい。新規農薬についても、例えば有機リン系農 薬は最近では登録された実績はない。生物農薬みたいなのは徐々に増えてきているのは事実。(農政事務所)

● 農薬は、今の食の安全との関係で 言うと、使えなくなる。それはなぜかと言うと、最終的には遺伝子組み換えしかないからです。遺伝子組み換えにすると、それはそれでリスクがあります。今、 アメリカで出ている大豆でもトウモロコシでも、殺虫遺伝子を作物に組み込んでいる。その作物を食べた虫は死に、それを人間が食べている。虫が死んで人間が 何ともないということは常識論ではあり得ないと思う。遺伝子組み換えもまだ現実にこの世の中に出てまだ10年だが、我々は、そういう意味で何が安全かを考 えなければならない。この間も自給率の話が話題になったが、例えば、○○さん、あなたの食料自給率はどんなですか、あなたの食を守ってくれるのは誰ですか といった話をしたが、意外とそういうことです。素性のしれた農家と仲良くしといて、この人のためには、絶対自分の所の食物を減らしても届けるという関係を ちゃんと作っておく、みなさんの周りには、まだ畑もいっぱいあるし農家もいますから。(ながさき南部生産組合)

○ 今の子供たちは、とにかく魚、野菜をあんまり食べない。肉だったらたくさん食べる。やっぱり若いお母さんたちに、こんな食の勉強をしてほしいし、こんな勉強会を開いてもらいたいと思いました。(消費者)

○ 認証を受けたエコファーマーは、数年前に比べて増加にあるのか。また、県でどのくらいの方がいらっしゃるのですか。(消費者)

● 組合では、150名中93名くらいがエコファーマーで、全員取得に向けた取組をしています。今、ながさき南部エコファーマー基準というものを準備している。有機とか特栽とかのガイドラインはあまりに窮屈すぎて実態としては使えません。(ながさき南部生産組合)

○ 大地のめぐみは、ほんと安心できるなと思いました。(消費者)

★ 県全体では、昨年度末で5704名。比較的、エコファーマーの認定については順調にのびてきており、昨年度、5100名というのが目標だったけれども、5704名というところでもっとどんどん伸のばしていきたい。(食育・食品安全推進室)

★ エコファーマーの仕組みがどういったものか知っていますか。(島原農業改良普及センター)

○ 何がなんだか、さっぱりわかりません。(消費者)

★ エコファーマーというのは、土作りとか化学肥料を低減する技術とか、 化学合成農薬を低減する技術、環境持続性の高い生産方式、そういうふうに環境に優しい農業を目指した生産計画を、市町村を通じて県に提出して、最終的に県 知事から認定を受けるといった制度です。エコファーマーが作った農産物には、農産物、包装資材などに、そのマークがついています。この制度は5年ごとに更 新があり、行政機関や農協のチェックが入る仕組みになっている。エコファーマーは、ほとんどの方が知らない、マークを見たことがないという方が多い。一番 感じるのは、生産サイドも一生懸命やっているし、消費者もそれを求めているけれども、なかなかお互いの情報がきちんと伝わっていないということ。ですか ら、情報を提供する場をもっと設けることと、わかりやすい仕組みにすることが必要だと感じました。ぜひ、スーパーや直売所に行かれたら、そのマークを探し てみてください。(農業改良普及センター)

○  今、地産地消ということが言われて、地元は地元で消費しようという流れがあります。生産者を支えるのは消費者だと言われたように、輸入も入ってこなくな り、結果的に食料がなくなって、お金を出したら買える時代でなくなった時に、やっぱりお互いに顔を見てお互いに分かる人にしか流れて行かなくなると。そう いう意味で、これまで組合を30年育ててくれた長崎ではない他の生協に流れて行くのじゃないという気もする。地元で一生懸命やられている人が、地元で交流 しながら支え合って、農業を育てていかないと、今から農業人口も減っていくわけだし、みんなでやらないといけないと思う。私も、若い方に勉強していただい て、現場をもっと知ってほしいと思っているので、要望としては、今後、休日などの開催を検討していただきたい。(消費者)

○ 農薬のこと、勉強したいと思うので、ぜひ教えてほしい。(消費者)

● どうやったら農家も成り立って県 内に自分たちの農産物を置けるのかなと考え、最終的には直売所という形が一番いいということに。今では、長崎でも、地元で農家が直接売れる直売所が増え、 長崎県で金額で56億円、すごいウェートで並ぶようになりました。組合で言うと、だいたい10%、今年度で15%くらいにはなると思う。30年前は有機栽 培とか言っても相手にしてくれる人は地場にはいなかった、ところが都会には知識を持った消費者がたくさんいて、有機っていうと引っ張りだこだった時代があ り、それが横浜だったり東京だったり、神戸だったりに根付いてきたということがある。今まで支えてくれた消費者は、近場であれ遠場であれ絶対裏切らないと いうふうにしたいと思いますし、県内も、できるだけ県内に届けられる仕組みを作らないとダメだと思う。今の流通の仕組みだと農家は成り立たない。農家が成 り立たないと安全も何もないわけで、より良い物をより良い状態で消費者に届けるには、そのための仕組みをどう作ったらよいかを考えながら、今、生協さんを 中心に、福岡に2店舗出しているが、県内でインショップを中心に直売所を増やしていきたいと考えています。(ながさき南部生産組合)

○ 大村に◆◆◆という直売所があり、そこのきゅうりは、形は悪いけれども数がいっぱい入っている。スーパーで買った物は、冷蔵庫に入れるとやっぱり早く痛むが、そこで買ったきゅうりは、鮮度が変わらないように思う。(消費者)

● きゅうりは、なんで曲がったきゅ うりが長持ちするかというと、理由がちゃんとありまして、水が少ないと曲がるんですね。水をじゃばじゃば与えると比較的まっすぐ育つ、だから水がないとい うことは長持ちする。もうひとつ、洗ったニンジンと洗わないニンジンは、どう違うかってご存じですか。洗わないニンジンと洗ったニンジンとを炊き比べてみ てください。洗っていないニンジンが絶対柔らかいです。(ながさき南部生産組合)

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