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本県型高設栽培におけるイチゴ「ゆめのか」の植え付け株数と収量性

2016年(平成28年)6月19日

本県は、イチゴの栽培が盛んで、出荷量は全国第5位となっている。2014年の栽培面積は274㌶で、このうち約50㌶の栽培面積については、立ったまま楽に管理作業ができる高設栽培システムが導入されている。

本県では、大粒で収量が多く、食味がいい品種「ゆめのか」の栽培を進めており、県農林技術開発センターでは、品種の特性を生かした栽培方法の開発に取り組んでいる。今回は、高設栽培システムで栽培した「ゆめのか」の植え付け株数と収量性の関係について研究成果を紹介する。

高設栽培で用いる発泡スチロール製の栽培槽に、イチゴ苗を2列に植え、株と株の間隔(株間)を15㌢、20㌢、25㌢、30㌢で栽培。収量と果実1個当たりの重さを比較した=グラフ=。

イチゴの収穫は11月から5月まで続き、比較的高単価で取引される12月まで(年内収量)は株間15㌢の収量が最も多く。30㌢が最も少なかった。このほか、株の間隔が狭くなると果実が小さくなることや、1月以降は株間20㌢、25㌢でもさほど収量は変わらないことも分かった。

株間を広くすると、植える苗の数が少なく、植え付け後の管理作業も楽になるメリットがある。これらのことを総合的に判断すると、「ゆめのか」の高設栽培における株間は20~25㌢が適しており、1㍍当たりの植え付け株数は2列で8~10株となる。

「ゆめのか」導入後、本県のイチゴの収量は着実に増加してきている。今年からは「ゆめのか」のさらなる増収技術を開発し、単収日本一を目指していく。




    

大粒で程よい甘みと酸味、爽やかな食味の「ゆめのか」



「ゆめのか」の株間と収量および1個の重さ








(農産園芸研究部門 野菜研究室 主任研究員 前田衝)