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平成22年4月1日 平成22年度知事訓話

 きょうは、年度の初めということで大変忙しい中に、このようにお集まりをいただき、ありがとうございました。

 今日は、新しい体制での始まりということもありまして、少し私の思いなどもお話をさせていただき、そして、今回の当初予算は骨格予算でありましたけれども、来る6月ではしっかりと政策を立案し、いろいろな課題に対応できる肉づけ予算の編成もお願いしなければならない状況であります。私の思いの一たんを申し述べさせていただくために、このような機会をいただきました。

 実は、既に、3月2日に初めて登庁させていただいた折に少しお話をさせていただきましたので、ダブるところがあるかもしれませんけれども、もう一度お話をお聞き願いたいと思っております。

 ご承知のとおり、私は、昨年の12月、37年間近く行政一筋で仕事をさせていただいてまいりましたけれども、知事選挙に出馬をするということで、一たん、県を退職させていただきました。そして、県内各地域を回り、住民の皆様方といろいろなお話をさせていただきました。

 そういう中で、やはり改めて感じておりますのは、今、長崎県は非常に厳しい状況に直面をしていると。何とかこの不景気を解決できないのか、仕事をしたいんだけれども、働く職場がない。そのためにまた、どんどん人口が流出していって地域の活力が失われつつある。こうした諸課題に対して、県もしっかり取り組んでほしいという非常に多くの方々の切実な声をお聞きしてまいりました。こうした声にどう応えていくのかというのが、まさに問われているものと考えております。

 改めて申すまでもないことでありますが、私は、地元に生まれて、地元で育って、そして県庁で仕事をさせていただいてまいりました。知事選でしみじみと実感をいたしましたけれども、やはりここまで私を育てていただいたのは、地元長崎の皆様方であります。島原半島の一本釣り漁師の三男坊に生まれました。こうした私が今あるのは、まさに、そうした時代、温かい力でもって支えていただいた地域の皆様方のお力があったればこそと考えております。

 そしてまた、県庁でも一緒に仕事をさせていただき、地域の皆様方ともいろいろな話をさせていただきましたけれども、常に感じておりますのは、いろいろな事業に取り組むにしても、産業の活性化に力を注ぐにしても、あるいはまちづくりを進めるにしても、常にその中心には「人」があるということです。人材の存在があって何事もスタートするということでありますので、まずは、やはり人を大切にする、人を元気にするような県政の実現が一番原点ではなかろうかと感じたところであります。

 そうした人を元気にするような施策に取り組み、その上でそうした力を最大限に活用して産業の活性化、まちづくりに力を合わせて取り組んでいきたいと思っておりますので、皆様方もそういう思いを共有していただいて、一緒に力を合わせていただきたいと思っているところであります。

 私は、今、地域の皆さん方からいろいろお話を聞く中で、「地域の底力」というのがだんだん弱くなりつつあるのではないかと危機感を持っております。

 一つは、やはり地域から若い人たちが流出していくということもあるのかもしれませんけれども、どうしても人と人との関係が希薄になって、昔は地域の中で解決できた課題が、今や、地域の中で解決できなくなりつつある。そして、そのことが行政ニーズとしてだんだん増えつつあるのではないかという気もいたしております。そういう意味では、もう一度、地域の底力を強めていくような取り組みが必要になってくるのではないかと思っております。

 私は、旗印として、「人が輝く、産業が輝く、地域が輝く長崎県」の実現を目指したいと訴えてまいりました。

 「人が輝く」ためには、やはり地域に住む人々が、まずは地域の中で生きがいを持って生活していただけるような社会を実現しなければいけないと思っております。地域の底力がだんだん薄れて、どうしても行政が後ろから支えていかなければならない課題というのは数多くあると思います。

 地域にはいろんな方々が生活をしておられます。長年住んでおられる方、外から入ってみえた方、勉強をしている人、仕事をしている人、そして、これからの発展を担う若い方々、これまで一生懸命頑張って支えていただいたお年を召した方々、いろんな方々がいろんな思い、悩み、痛みを感じて生活をしておられます。

 その悩みも、経済的な悩み、仕事の悩み、子育ての悩み、健康の悩み、さまざまな悩みがあると思います。地域の中で解決できているうちはそれでいいと思います。しかしながら、どうしても解決できない課題がある。そういった部分にはしっかりと行政がこれを支えていけるような仕組みをつくらないといけないのではないかと思っております。

 例えば、地域の中で医療が確保できない、こうした分については、やはりしっかりと地域に必要な医療人材の確保に努めないといけない。そしてまた、子育ての悩みも今多くの方々がお持ちだろうと思います。昔は、おじいちゃん、おばあちゃんがいてやかましく言いながら、地域の中の子どもたちを育ててくれていました。しかし、今はそういう状況ではないのではないかと思っております。子どもの成長に応じて、あるいは家庭環境、いろいろな課題に応じて、行政として手を差し伸べなければいけない課題は少なくないのではないかと思っております。

 家庭内の暴力の問題でありますとか、あるいはまた自殺が減らない、あるいは家にひきこもって仕事を外に求めない、そういう若者も増え、家庭もだんだん増えているのではないかと思います。

 どうか、皆さん方、もう一度、行政としてしっかりと手を差しのべなければいけない部分がないのかどうか、総点検をしてみていただきたいと思っております。そういう一人ひとりの痛みに敏感な県政を、まずは実現していきたい。

 そしてまた、「人が輝く」ためには、人材育成、人づくりが欠かせないものと思っております。「教育、子育て立県長崎」という目標も掲げました。社会全体で子どもを育て、育成、教育できるような県政の実現も進めていきたいと思っております。

 そしてまた、「人が輝く」ためには、いわゆる地域の中で生活をし、仕事をしていただいて生きがいを持って達成感を感じながら生活をしていただけることが必要であろうと思います。しっかりと地域のまちづくり、あるいは産業の活性化に積極的に貢献していただけるような人材の育成にも力を注いでいかなければいけないと思います。

 そういう意味では、小さいころから職業教育を大切にしながら、自分はどうなるんだろうかという夢を持ちながら勉強をしていただくような環境もつくりたいと思いますし、そしてまた、少子高齢化が進む中にあって、第一線を退かれた方、あるいは女性の皆さん方がもっともっと第一線で活躍していただけるような、そういう仕組みづくりも必要になってくるのではなかろうかと思っております。そういう取り組みを通して、まずは、「人が輝く」ような長崎県の実現を目指していただきたい。

 それぞれの部局でいろいろな課題を感じておられると思います。そういう観点でもう一度、県の施策はこれで十分であるのか、市町との連携の観点を含めて再検討をしていただければと考えているところであります。

 2つ目は、「産業が輝く長崎県づくり」であります。

 先ほど申し上げましたように、やはり県民の皆様方が一番痛みを感じておられるのは、この不景気を何とか克服してほしい。そして、若者が県外に出なくて済むように、働く場を何とかして確保してほしいというのが、一番切実な悩みとして多かったように思っております。

 そのためには、昨年来継続して取り組んでいる「緊急経済雇用対策」、これはしっかりと、切れ目なく取り組んで、新たな雇用の場の創出にも力を入れていかなければいけないと思っております。

 しかし、それだけではやっぱり緊急対策であります。構造的な課題は相変わらず残っているわけでありますので、何としてもその上で雇用の受け皿となる産業の活性化に全力を挙げて取り組んでいく必要があるものと思っております。

 産業も、それぞれの分野で、それぞれの課題が存在しているものと思っております。地域の基幹産業であります農林水産業は、今、いろんな思いを込めて、丹誠を込めてつくって市場に出しても、この厳しい経済情勢の中、農産物価格は低迷をして、このままでは、将来にわたって存続できない、そういう危機感でいっぱいであります。

 こうした第一次産業を活性化するためにはどうしたらいいのか、おそらく農林部、水産部の所管部局長だけではなくて、関係の分野の皆様方も現状に目をやっていただき、そして、いろんな方策について検討をしていただきたいと考えております。まずは、やはり将来にわたって後継者がきちんと確保できるような、ということは、飯が食えるような産業を実現していかなければいけないと考えております。

 農林水産業分野については、さらなるブランド力の強化、あるいは、今まで弱いと言われておりました加工品の開発、そして、加工関連産業の誘致、育成に力を注いでいかなければいけないと思っておりますし、さらにはまた、輸出戦略も具体的に検討してみるべき時期を迎えているのではなかろうかと思っております。

 そしてまた、地場産業、地場製造業の活性化というのも非常に大切な観点であります。

 本県の産業構造は、特殊な構造でありまして、他県と比べますと立地環境もなかなか厳しいということもあって苦戦を強いられているのは事実でありますが、こうした状況を何としても打破していかなければいけません。そういう意味では、新たに「ものづくり試作加工支援センター」もできました。農商工連携ファンドもあります。

 こうした支援機能をフルに活用しながら、技術力に裏打ちをされた一社一品、一社一技の取り組みをしっかりと進めて、ビジネスチャンスの拡大、競争力の強化に力を注いでいかなければいけないのではなかろうかと考えているところでございます。地場産業が活性化して初めて地域の元気が出てくるものと考えております。

 それからまた、企業誘致、これはまさに地域経済にとって一番のカンフル剤になるのはご承知のとおりであります。なかなか本県の産業構造の転換が進まなかったといいますのは、水がない、内陸部に安価な土地がない、そういう宿命を帯びた県であります。その環境は変わらないのでありますが、そうであれば長崎県の特性を大きな魅力として、どういう産業の誘致に力を注いでいったらいいのか、改めて本県の特性を活かした産業の誘致に全力で取り組んでまいる必要があると思います。私自ら先頭に立って力を注いでまいりたいと思いますので、関係部局の皆様方も、ぜひそういった観点から戦略づくりを進めていただきますようにお願いをいたします。

 そしてまた、本県はご承知のとおり、人を呼んで栄え、海外との交流の中で生きてきた県であります。観光・交流産業というのは、本県の発展のためには欠かせない分野であると思っております。特に、近年、成長著しい東アジア地域は目と鼻の先であります。これからは観光、物産を含めて、具体的な戦略づくりをしながら、この東アジア地域との交流の拡大に向けて全力で取り組んでいきたいと思います。

 そのために、アジア国際戦略本部も設けて総合的な施策の立案に取り組んでいきたいと思っております。ここにご参加いただく皆様の守備範囲は非常に広くなるものと思いますけれども、それぞれの部局の皆さんが、そういう観点から自らの仕事をどう組み立てていったらいいのかというのも、もう一度点検していただきたいと考えております。

 それから、本県の経済の発展を目指すためには、やはりこれからの成長産業と言われる分野に力を注いでいく必要があると思います。既に皆様もお気づきのとおり、これからの成長分野といいますのは、まずは環境分野、そして、これまでも指摘されておりました医療や福祉の分野、こうした分野に大きく将来の発展性が残されているのではないかと考えられてきました。

 特に、この環境分野については、ご承知のとおり、県内にその技術シーズが既に存在しているわけであります。風力発電、太陽光発電、次世代の電池、バイオマスの活用、あるいは石炭ガス化といったさまざまな技術があります。お話を聞くところによると、洋上発電等の検討も具体的なプロジェクトとして進められようとしているというお話もお聞きしております。こうした技術シーズをしっかりと活用し、まずは環境先進県を目指してまいりますとともに、しっかりと環境関連の産業を県内にとどめて育成できるような政策を組み立てていく必要があるものと考えております。

 そういう意味では、既にお聞き及びのとおり、離島のエコプロジェクトの一環として「EV&ITS(エビッツ)プロジェクト」の推進体制も強化をいたしました。そのような総合的な取り組みを通して、この環境産業の育成に力を注いでいきたいと思っております。

 3つ目の柱は、「地域が輝く長崎県」づくりであります。

 先ほども申し上げましたけれども、地域の底力がだんだん弱まりつつあるのではないかと危機の意識を持っております。これからは地方分権・地域主権の時代と言われながら、なかなかそれが難しいような現状も散見されつつあります。

 これからは、地域にお住まいの皆様方のその思いをしっかりと地域づくりに反映させ、行政も一緒になってこの底力を強めていくような努力が求められていると考えております。

 私は、「地域発の地域づくりを進めていこう」と申し上げてきましたけれども、そのためには、やはり職員の皆さんがそれぞれの地域の現状や課題を十分認識をしていただき、そして、その課題を解決するためには何を取り組まななければならないのか、そういう課題の整理と、そして具体的な施策の立案が欠かせない要素になってまいります。

 私自ら、「青空知事室」、あるいは「移動県庁」といった地域の皆様方のお声を直接お聞かせいただくような場もつくっていきたいと思いますけれども、それぞれの部局の皆様方も、これまで以上に現地に足を運んでいただき、県民の皆様方の目線で課題を直に見、分析して、一緒に考えていただきたいと考えております。

 それからまた、これからもっともっと大切になりますのは、既に地域でいろんなご苦労をいただいているいろいろな団体があります。NPO、ボランティアのグループ、さまざまな団体の方々が地域の諸課題に積極的に取り組んでいただいております。行政としてもっともっと連携を強化するような、そういう施策も進めていく必要があると思います。地域の課題は、そうした方々が一番詳しくご存じでもあると思います。そうした方々と意見交換をし、行政もしっかりそうした方々の支援に力を注ぎ、地域づくりに一緒になって取り組んでまいりたいと思っております。

 それから、もう一つ大切になってまいりますのは、そうしたまちづくりを進めていくためにはどうしても欠かせない基盤づくりがあります。それは高速交通体系・情報体系の整備、そういったものが不可欠な要素になってまいります。

 そういう意味では、大きな課題であります新幹線の整備を含めて、この新幹線の整備に伴うまちづくり、あるいは西九州自動車道や島原道路、西彼杵道路、そうした必要な基盤づくりにはしっかりと関係予算の確保に努めながら、整備の促進に力を注いでいかなければならないと思っております。

 そしてまた、特に離島地域において大きな課題になっております地域内の交通体系をどう維持・存続していくのか、そして、離島航路の運賃低廉化をどう具体化していくのかというのも非常に大切な基盤の整備の部分であろうかと思います。

 そういう諸課題が山積をいたしておりますが、ぜひ皆様方もしっかり思いを共有していただき、来るべき6月の予算編成に向けて、課題の整理と施策の立案にご協力をいただきますようお願いを申し上げます。

 そうした基本方針のもとに、これからの行政に積極的に取り組んでまいりたいと思いますが、せっかくの機会でありますので、2〜3、大きな政策課題について、私の考え方を述べさせていただきたいと思います。

 まず、一つは諫早湾干拓事業にかかる開門調査の件であります。

 これまでの経緯については、既に皆様方、ご承知のとおりであります。平成19年度末をもってこの諫早湾干拓事業は完了をいたしました。そして、670ヘクタールに及ぶ広大な干拓農地を県の農業振興公社が譲り受け、そして、具体的な営農者の方々にリース方式で営農を展開をしていただいております。既に干拓営農は環境保全型の先進的な営農が展開されており、耕地利用率は200%を超えております。

 そういう最中に、片方では環境アセスメントを行った上で開門調査の可能性について検討をしようということで、前政権から検討が進められてまいりました。そういう手続が片方で進められている中に、新たに諫早湾干拓事業検討委員会というのが設けられ、そうした環境アセスの手続を経ることなく、開門調査についてもう一度白紙から検討してみてはどうかというような動きが進められております。

 実は、今週の月曜日に、この検討委員会で説明を求められ、私も長崎県の状況をしっかりと説明をさせていただきました。改めて申すまでもないことでありますが、この諫早湾干拓事業は、昭和27年の「長崎大干拓構想」から紆余曲折を経て今の事業になってきた長年の経過があるわけであります。そして、今の諫早湾干拓事業の目的は、「防災機能の確保」、そして「優良農地の造成」という、この2つの目的に絞って展開されてきた事業であります。

 今まさに、環境アセスを経ることもなく直ちに開門をするということになると、一番憂慮されるのは、この防災性が本当に確保できるのかどうか。あそこの排水門を開放してしまいますと、またおそらく旧堤防の樋門の前には潟土がたまってまいります。

 前回、苦渋の決断をして、平成14年には短期開門調査を受け入れました。その時には1カ月間の開門期間でありましたけれども、この排水樋門の前には6センチの潟土がたまったのであります。これが向こう5年間開門しろという佐賀地裁の判決でありますが、5年間開放するとどうなるのか。これまでの非常に厳しい状況が再現されるわけであります。こういうことがあっては決してならないと思っております。

 そしてまた、干拓営農に対する影響、これは調整池に塩水が入ってくるということになると、当然ながら、干拓農地の地下水位も上がってくるわけであります。まずは農業用水の確保が難しい状況になります。農業用水の確保があたかも簡単にできるかのような議論がなされておりますが、この農業用水の確保が難しい状況であるからこそ、これまでも干拓農地においては地下水をくみ上げて、8年間で140ミリも地盤が沈下したという箇所もあるわけであります。今、調整池に塩水を入れてしまうと、一体どこから農業用水を取ってくるのか、これは皆様方もお考えいただくとおわかりのとおりであります。

 そしてまた、水産業に対する大変深刻な影響も懸念されます。お聞きになったと思いますが、この開門調査の一連の騒動になったのは、平成12年のノリ不作でありました。その後のノリの収穫状況は、ご覧いただくとおわかりのとおり、確かに平成12年は不作でありましたが、その後は順調に推移してきているのであります。

 この諫早湾干拓事業が、あたかもノリ不作の原因であったかのような議論のもとに、これまで短期開門調査を受け入れてきた、一体これは何だったのかということをもう一度問い直す必要があるものと思っております。

 仮に常時開門がなされますと、あそこの排水門は、非常に狭いところから干満に応じて大量の水が流れ込み、そして流れ出すわけであります。試算によりますと、鳴門海峡の流速を超える速い潮の流れが生ずると。

 こうなりますと、ご承知のとおり、締め切り堤防の内側も外側も潟土が堆積している地層であります。これが巻き上げられ、洗掘されて、本当に潮受け堤防が構造的に耐え得るのか。そして、調整池内も大きな濁りが生じ、それがそのまま諫早湾、有明海に流れ出していくのであります。

 周辺の状況を見ておわかりのとおり、実は、長年とれなかったタイラギも、佐賀県の沖合では13年振りの大漁であるという状況であります。「閉門がなされて、ようやく周辺の漁場も安定化の傾向にあるのではないか」と漁業者の方々もおっしゃっておられるのであります。そういう中にまたこういう常時開門というようなことになれば、周辺の漁場を大きく痛めつけてしまう、そういうことになるのではないかと非常に懸念をいたしているところでございます。

 そのような思いをしっかりとこれからも中央のほうに説明をし、何としてもこれを避けるように全力を注いでいかなければならないと考えておりますが、ご承知のとおり、こうした説明というのは、なかなかご理解いただくには難しい状況にあります。

 どうか、皆様方お一人おひとりも、県民の皆様方、あるいは県外の皆様方にお話をする機会があれば、しっかりと長崎県の現状を踏まえて、ご説明、ご理解をいただくようにご協力をお願いしたいと考えております。

 それから、新幹線の建設問題でございます。これは、新幹線の建設についてもまだまだ、いろいろな課題が残されているというのは、皆様、ご承知のとおりであります。来週には、この新幹線の調整会議が開催されまして、私も出向いて行って説明、要望もしっかりやってこようと考えております。

 大変残念なことに、世論調査等が行わますと、やはり遠いところの新幹線とか離島の方々にとって、おれは乗らんかもしれんということで、その意識に大きな隔たりがあるというのは大変残念なことであり、この問題についても、やはりしっかりとした説明ができるように頑張っていかなければならないと思っておりますが、改めて申すまでもなく、観光産業を基幹産業とする本県にとっては、やはり集客圏域の拡大というのは欠かせない要素でありますので、この新幹線の建設は、本県の将来の発展を目指す上で欠かせない事業であると思っております。

 そうした思いも、先ほどの諫干の課題と同様、できるだけ幅広い県民の皆様方のご理解が得られるよう、さらに努力をしていかなければならないと思っております。

 そして、次は県庁舎建設の問題でございます。この県庁舎の整備の問題につきましては、経過については、庁内の議論でありましたので十分ご理解いただいているものと思っておりますが、いろいろな経過を経て、昨年は特別委員会も設置していただき、さまざまなご議論をいただいてまいりました。

 そして、県議会の意見書に基づき、県庁舎の整備基本構想案というのを先般策定をし、県議会にもお示しをさせていただいたところであります。

 これから、県庁舎整備問題についても特別委員会を設けていただくということでもありますので、そうした県議会の皆様方とのご議論もいただきながら、そしてまた、県民の皆様方のご意見をお聞きする場も設けながら、しっかりと今後、検討をしていかなければならないものと考えております。

 私は、県庁舎建設ありきという立場ではないというのは、これまでも申し上げてまいりましたけれども、この問題の最大の原点となりますのは、ご承知のとおり、これまで大きな地震が発生しないと思われたところで大規模地震が頻発をし、この災害に対する拠点機能を持った庁舎がこのままでいいのかというのが最大の論点でございます。

 そういう観点から、これからなお幅広い県民の皆様方のご議論をいただき、ご意見をお聞きしながら、方向性を見定めていく必要があるものと考えているところでございます。

 それから、石木ダムの建設問題については、最近、新聞紙面をにぎわせておりまして、皆様方もご心配をいただいているかと思いますが、基本的な姿勢については、これまでも申し上げてまいりましたように、川棚川の抜本的な治水対策、あるいは佐世保市の安定的な水資源の確保といった観点からは、避けて通れない事業ではないかと考えているところでございます。

 既に、昨年来、事業認定手続の申請を済ませておりまして、これからいよいよ国の段階で、公聴会をはじめ、さまざまな手続がとられて進んでくるものと考えております。

 こうしたいろいろな機会をはじめ、また、地元の皆様方のご了解がいただけるのであれば、改めてお話をさせていただく機会も賜りながら、いまだご了解をいただいていない地権者の皆様方のご了解をいただくことができるように、誠心誠意取り組んでいかなければならないと考えているところでありますので、どうか、皆様方もそうした事情を十分ご理解いただき、ご協力をいただきますようにお願いを申し上げるところでございます。

 こういうさまざまな課題が残されておりますけれども、これからは、いわゆる専門家の皆様方の集合体であります県の職員の皆さん方のこれまでの経験、知識、人脈、すべてのノウハウを結集しながら、一つ一つの課題に取り組んでいく必要があるものと思っております。

 諸課題を解決するためには、一つの部局、一人の担当者だけでは限界があります。横の連携を密にして総合力で取り組んでいかなければ、なかなかに難しい課題ばかりが山積しているわけでありますので、これまで以上に組織横断的な、風通しのいい職場を実現していかなければならないと思っております。

 そのためにはまず、やはり、これまで机に向かいパソコンに向かっていた視線をもう一度上に上げていただいて、隣の方々、上司と一緒に額を寄せ合って、わいわいがやがや、ああでもない、こうでもないと一緒に相談をし、企画立案に力を注いでいけるような、そういう時間をつくっていかなければいけないと思います。

 これまで当然かのように取り組んできたルーチンワークが果たして必要なのかどうか、もう一度、自分たちの業務を見直していただきたいと思っております。

 「職員の総合力」と繰り返し申し上げてまいりました。皆さん方の知恵をしっかりと政策の中に反映し、そしてそれを力を合わせて実現し、その成果を共有して達成感を味わっていきたいと思いますので、どうか皆さん、一緒に力を合わせて頑張ってまいりましょう。

 この4月に組織改正を一部行いました。既にご承知のとおりであります。いろいろな課題を抱える中で時間を十分かけるいとまもありませんでしたので、まずは緊急に手をつけるべき課題の部分だけ手をつけたつもりであります。

 一つは、企業振興・立地推進本部を発展的に産業労働部に一元化をいたしましたほか、国体の開催、全国和牛能力共進会の開催準備のための組織をつくりました。あるいはその他、政策的な課題に対応するために、組織力を強化するために、新たな室、課等も設けたところであります。

 まだまだいろいろな課題が残されておりまして、さらに今後検討する必要もあろうかと思いますが、皆様方のご意見等もお聞きしながら、引き続き体制の効率的なあり方について検討をしていかなければならないと思っております。

 最後になりますが、これからはやはり「県の職員の皆様方の総合力」、そして、「県民の皆様方とのタイアップ」、これがキーワードになってくるものと思います。難しい課題を抱える中に、新たな県政の船出を迎えております。どうか、一緒に力を合わせて頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げまして、私のお話とさせていただきます。

 ご清聴ありがとうございました。一緒に頑張りましょう。(拍手)

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