●会見内容●
○広報課長 それでは、始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○知事
どうぞ、よろしくお願いいたします。まず、本県における新型コロナウイルスの感染者数は、17名でありまして、4月17日に発生して以降、3週間以上にわたって、新たな感染者は発生していないところであります。これもひとえに県民の皆様方、並びに各事業者の皆様方が感染防止対策にお取り組みをいただきますとともに外出自粛や休業要請等にご協力をいただいているおかげであり、改めて心からお礼を申し上げる次第であります。
ご承知のとおり、国においては昨日専門家会議が開催され、この連休期間中の結果についての評価がなされた後、対策本部会議が開催され、新たな対処方針が示されたところであります。そういうことから本日、県の対策本部会議を開催いたしまして、新たな県の対応方針を決定させていただいたところであります。緊急事態宣言の解除を踏まえ、今後は、県内における感染防止対策、また一方で、社会経済活動の段階的な拡大、この双方のバランスをとりながら県内の対応を決定していく必要があります。県民の皆様、並びに事業者の皆様の活動がこれまでよりも緩やかに改善する方向で進んでいけばと期待をいたしているところであり、今回は、特に感染症対策の専門家の皆様方、経済の分野の専門家の皆様方のご意見をお伺いしながら、本県の対応方針を決定させていただいたところであります。
それでは、対応方針について、スライドでご説明をさせていただきます。
まず、県民の皆様、県外の皆様方へのお願いでございます。引き続き帰省や旅行等、県境を越える不要不急の移動を避けていただきたい。特に、県外の皆様方の離島地域への訪問を控えていただきたいというお願いが第1点であります。
2つ目は、全国共通の課題でありますが、感染症を防止する上で国民の新しいライフスタイルの定着を図っていかなければいけないというご議論があるところであり、ぜひ県民の皆様方にも新しいライフスタイルの実践にご協力をいただきたいというお願いであります。具体的には、例えば、お出かけの際には、マスクの着用、手指消毒の徹底、「三密」や対面での会話等を回避していただきたいというお願いです。そしてまた、県内通販、電子決済、在宅勤務等を積極的に活用していただき、人と人との接触の機会を継続して低減していただくようにお願いをするものであります。
次に、事業者の皆様方のへお願いであります。従前からお願いをさせていただいてまいりましたけれども、第1番目は、人と人との接触の機会をできるだけ減らすという観点から、テレワーク、時差出勤、オンライン会議等をさらに推進していただきたいというお願いであります。
2点目でありますけれども、遊技施設や接待を伴う遊興施設については、店頭表示やのぼりの掲出等、県外からの来訪者の抑制についてご協力をお願いしたいということであります。
3点目は、新たに示されました、業種毎の感染防止に向けたガイドラインに沿った対策の徹底をお願いしたいということです。これは、感染防止、「三密」の回避等にどう取り組んでいくのかというガイドラインが示されているところでありますので、各施設運営の事業者の皆様方にはその対応策の徹底をお願いしたいということであります。
そうした面でご協力をいただくという前提で、本日5月15日をもって、全ての施設の休業要請を終了いたします。
それから、その他の項目でありますけれども、県有施設については25日からの使用開始を目指すことといたしておりましたが、こういう状況になりましたので、改めてガイドラインに沿った感染防止対策、あるいは、「三密」回避対策を講じた上で、5月18日から順次使用を再開してまいります。使用再開の期日を一定期日に定めることはいたしませんでしたけれども、それぞれの施設の特徴に応じて、ガイドラインに沿った具体的な「三密」回避対策等を講じていく上で少し時間がかかる施設もありますので、順次開館を迎えるということになってくるものと考えております。
以上、今回の基本的な方針であります。しかしながら、このコロナウイルス感染症がどういう形で推移していくか予断を許されない状況にあります。さらに今後、大規模なクラスターの発生、あるいは、感染拡大が生じた場合には改めて必要な対策を講じる必要があり、その際には、県民の皆様方に再度ご協力をお願いすることがあろうかと考えているところであります。県におきましては、今後とも感染症の対策に万全を期するとともに、県内経済の回復と新しいライフスタイルの定着に向けて皆様方の事業活動が円滑に進むよう力を注いでまいりたいと考えておりますので、県民の皆様方、各事業者の皆様方には引き続きこうしたご事情をご理解いただきご協力を賜りますよう心からお願いを申し上げる次第であります。
以上、私の方からの説明とさせていただきます。あとはどうぞよろしくお願いいたします。
○広報課長 それでは、幹事社の方から質問をお願いしたいと思います。
○記者(日本経済新聞社)
質問4点ありますが、まず、3点先にさせていただきます。
1点目ですけれども、「長崎県からのお願い」ということで、「帰省や旅行など、県境を越える不急不要の移動を避け」とありますが、表現こそ変わっていますが、従前のようなニュアンスととらえておけばいいのか、若干緩めているということなのか。2点目は、「県外の皆様の離島への訪問を控えてください。」というのは、県民の方は離島に訪問することは構わないのかということ。3点目ですが、最後のページに「県内経済の回復」という言葉が入っていますが、これまでは感染症対策が中心にあったものを、県内の経済の回復にも少しバランスをとるような形で、若干経済回復の方に振れていると考えればいいのか。この3点をまずお願いします。
○知事
まず、第1点目の不要不急の県境をまたぐ移動を避けていただきたいということは、これまでと同様の考え方であります。
2点目につきましては、これまでは県民の皆様方を含めて、離島地域への訪問は控えていただくようにお願いをしてまいりました。離島の医療事情が本土と比べて課題が残っているということを踏まえて離島地域の住民の方々の大きな不安にお応えするための方針でありましたけれども、冒頭申し上げましたように、一定、県内には3週間を超えて感染者が発生していないという状況を踏まえ、離島地域の各首長の皆様方も、「県民の皆様方にはお越しいただいていいのではないか」と、ただ、「県外からお迎えするにはなお不安が残る」というお話を踏まえて、方針を決定させていただいたところであります。
それから、これからの必要な対策をどういう方向性で講じていくかということでありますけれども、国の基本的な方針として、緊急事態宣言の対象地域から外されたところであります。県内の各分野にわたる経済情勢も大変厳しい状態があり、徐々にではありますが、経済活動を再生させていかなければいけないと考えているところであり、これからはしばらく微妙なかじ取りが求められてくると思いますけれども、経済活動の再開に向けて県民の皆様方と共に進んでいかなければいけないものと考えているところであります。
○記者(日本経済新聞社) 最後に、今回のこととは少し外れるのですが、先般IR事業者大手のアメリカのラスベガス・サンズが、横浜のIRから撤退することを表明していることについての知事の受け止めをお伺いしたいのと、今回のラスベガス・サンズの撤退によって、国が進めているIR事業のスケジュール等を含めて何か影響があるとお考えでしょうか。
○知事 IR事業者の状況におきましては、先の定例記者会見の場においてもご質問をいただきました。各国において、厳しい営業自粛要請等が行われており、アメリカ、ヨーロッパ、シンガポール、マカオ等では、大変厳しい状況にあると、私どもも伺っているところであります。今回のラスベガス・サンズの日本撤退については、個別事業者のご決定でありますのでコメントは控えたいと思いますけれども、国においては、5月13日の菅官房長官の会見で、「現時点で、基本的なスケジュールを変更する予定はない」、「IR整備は観光立国を目指す我が国にとって不可欠であり、引き続き丁寧に説明をしてまいりたい」といった旨お話があったとお聞きしているところであります。今後、スケジュールがどういう形で進んでいくのか、国の動き等も踏まえて粛々と準備を進めていく必要があるものと考えているところであります。
○記者(共同通信社) 昨日の専門家会議で、今後は都道府県を3区分に分け対処していくという方針が示されましたが、長崎県は「感染拡大注意」・「感染観察」のどちらの区分にあたるのか確認してもよろしいでしょうか。
○知事 どこに位置するかということであれば、恐らく最後のカテゴリーである「感染観察」に入るのではないかと考えているところであります。
○記者(共同通信社) 全ての施設の休業要請を終了するということですけれども、どういった根拠に基づいて終了を判断したと捉えればよろしいでしょうか。
○知事 ご承知のとおり、前回まで、遊興施設については営業を自粛していただくようにお願いをさせていただいてまいりました。これは、先の基本的な国の対処方針の中においても、全国でクラスターが発生した施設等については、訪問を自粛していただくよう呼びかけるべきではないかといった要請もあり、そういった対応を図ったところでありますが、今回、特定都道府県から外れていくということになっているところであります。なおかつ、県内の状況を見ますときに、全国では確かにクラスターが発生したような施設もありますけれども、県内においては一度もそういった場所でクラスターが発生したことはありません。したがいまして、徐々に経済活動を再開するという基本的な方針の下、まずは県外のお客様をできるだけしばらく控えていただくように協力をお願いした上で、この休業についての要請は、これをもって終了させていただくということにいたした訳であります。
○記者(共同通信社) 休業要請も解除されて、徐々に経済活動も再開する方針ではあると思うのですけれども、第2波、第3波という警戒の声も必要だと思います。そこで、万が一の場合ですけれども、感染者が増えてくる状況があった際には、どういった対応が考えられるでしょうか。
○知事 それは、その時々の情勢による判断が求められると考えております。例えば、県内で大規模なクラスターが発生した場合でありますとか、再び全国的に感染者が急激に上昇するというような状況の中で、県外からの来訪者を極力減らしていくような施策が求められるといった場合には、再び必要な対策を講じ、県民の皆様方のご協力をいただいていく必要があるのではないかと考えております。
○記者(共同通信社) 最後に1点ですけれども、教育現場への影響で、今後学習の遅れを取り戻すような動きとして、例えば夏休みを短縮する等の動きは何かありますか。
○教育長 まず県立学校については、普通科では、一定、夏休みを短縮して、補充学習というのをやる必要があると考えております。また、専門学科でも実習を行うことになり、いずれにしても夏休みの短縮ということになるのだろうと考えております。小中学校については、それぞれ市町教育委員会で判断されるということになろうかと思いますが、一定、短縮をされることで検討をされている市町教育委員会もあると把握をしております。
○記者(共同通信社) もし分かれば、どれぐらいの短縮期間の目処を教えてください。
○教育長 県立学校は、10日以上は短縮しないと対応できないのではないかと思っていますが、そこは、今からの学習の進み方、学校の規模、学科の種類等によって違ってくると思います。
○広報課長 それでは、各社の皆様からお願いします。
○記者(NBC) 今、お話が上がりました学校についてまずお尋ねしたいのですけれども、今月22日まで分散登校の予定がある県立学校の今後の対応について変更等はありませんでしょうか。
○教育長 22日までの分散登校の措置はそのまま継続いたします。11日から本土部は分散登校を行い、離島部は通常に戻した理由が、大型連休後の2週間様子を見ようということですので、状況はそのままなので、継続をしたいということ。それと、カリキュラムを2週間分、分散登校用に作っていますので、途中で変えると現場が大きく混乱するということで、このまま続けて、25日の月曜日から通常に戻したいと考えているところです。
○記者(NBC) ありがとうございます。あと2点あるのですけれども。細かいところですけれども、事業者の方々に対して休業要請終了を「今日5月15日をもって」と記載がありますけれども今日までは休業要請期間中という認識でよろしいでしょうか。
○総務部長 今日までという認識で大丈夫です。
○記者(NBC) ありがとうございます。最後になりますが、細かいところですみません。事業者の方々への呼びかけで、「県外からの来訪者の抑制についてご協力をお願いします」と記載されていますけれども、具体的に、県外の方々の入店を控えていただくようなことをするのか。事業者の方々も、これから営業を再開していくに当たり、色々なお客さんを増やしたいという思いもありながらも、感染予防対策というところが一方であります。この辺、具体的にどういうことを飲食店、事業者さんがやっていけばいいのかというところをお示しいただければと思います。
○知事 これまでも県外からの来訪者の抑制については、例えば、パチンコ店等については、既にそうした協力をいただくようお願いをしてきたところであります。現在、関係団体の皆様方のお取り組みの状況を見ますと、県外からのお客様はお控えいただきたいとかいうポップ、あるいは店頭表示等に取り組んでいただいている。そして、県外ナンバーの車の方々に対しては、そうした趣旨をご説明いただいている。加えて、営業時間の短縮、そしてまた、「三密」にならないような環境の整備等について配慮をいただいていると聞いているところであり、私ども職員も、その状況を視察させていただいているのですが、そういった形でご協力をいただいていると聞いております。したがって、これから、その他の施設についてもご協力をいただくということになりますけれども、例えば、県外からお越しになられた方々についてはお控えいただきたいといった店頭表示をしていただく等の形でご協力をいただければと考えているところです。
○記者(西日本新聞社) 県境を越える不要不急の移動のことで2点お尋ねです。今回、九州で一番感染者が出ている福岡も宣言から外れた訳ですけれども、それでもなお、県境を越える不要不急の移動は避けてくださいと要請するその理由を教えていただきたいのと、この県境を越えられないという状況というのがいつまで続くのか見通しを教えてください。
○知事 一つは、結果として、今回福岡県さんが39団体の一つにお入りになられて、宣言の対象から外れるということになった訳でありますけれども、専門家会議では、3つのカテゴリーで都道府県を区分想定しておられたところであり、福岡県さんは特定警戒都道府県でありましたので、私どもも「感染拡大注意」のカテゴリーの中に入るのかなという思いもございました。そういった中で、九州知事会の中でも議論をしてきたところでありますけれども、新規感染者の発生状況を見ますと、ここしばらくはゼロにはなっていない状況にある訳でございます。なお、それぞれの県と比べると、リスクは少し差があるのではなかろうかと考えているところであり、しばらくは九州各県そろって県境を越える不要不急の移動については自粛を要請していこうということで協議を進めてきた経過があります。そういうことでその緊急事態宣言が5月31日までと設定されているところでありまして、これからまた来週にでも、新たな指標の下での判断が示される可能性があるかもしれませんけれども、当面の間は、こういった形でご協力をお願いしていこうと考えているところであります。
○記者(西日本新聞社) そうしますと、今後、引き続き九州知事会、九州の他県の知事と話し合った上で、最終的に「県境を越えていいですよ」という宣言ができるのではないかということでしょうか。
○知事 そういった可能性はあろうかと思っております。コロナウイルス感染症対策は、各県にとっても重要課題でありまして、それぞれの県がどう力を合わせて拡大防止に努めていくかということで、話し合いの機会は度々これまでも設けているところであります。これからもそういった機会が得られるものと思っております。
○記者(朝日新聞社) 今回の対応を決定するに当たって、知事から専門家の意見を聞いて決定したというご発言がありましたが、具体的に、どのような方から、いつ、どのように出た意見を知事がどのように受けとめられたのかというのをお尋ねします。
○知事 今回、専門家会議ということで、感染症の専門家として、長崎大学の河野学長、泉川公一感染制御センター長。一方、経済界からは下田日銀支店長、経済分野の専門家でいらっしゃいます長崎県立大学の古河副学長。異なる2つのお立場の皆様方からそれぞれご意見をお聞きしたところであります。その際には、県境を越える移動を自粛するということについて、経済のお立場からは、やはり事業活動を再開するには緩和を希望されるところでありますけれども、一方、感染症のご専門のお立場からは、これは有効な手段ではないかといったようなご議論等もいただきました。それかた、遊興施設について休業要請を終了するということ等についても、もう少し慎重な対応が求められるのではなかろうかといったこともありまして、新たに県外からの来訪者を抑制するという形でご協力をいただいてまいりたいと反映をさせていただいているところであります。
○記者(朝日新聞社) ありがとうございます。先ほど、しばらく微妙なかじ取りが求められていくというご発言がありましたが、両者矛盾するというか、バランスをとるのが難しい中で、知事としては何を一番重視して今回の休業要請の解除と県内経済の回復を目指すという方針を決められたのでしょうか。
○知事 これは、バランスを特に取るためにというよりも、事態の動きにいかに敏感に対応していくかということが極めて重要になってくるのではなかろうかと思っております。先ほども申しましたけれども、全国的な感染症の拡大の状況でありますとか、県内でのクラスターの発生等の事例が生じた場合には、やはりリスクが大きく高まっている可能性がある訳でありますので、そういった際には、再度、必要な対策を講じていく必要があると考えているところであり、そういった状況の推移をモニタリングしながら、適時、関心を持って、必要な方向性を検討しておく必要があるものと考えております。
○記者(朝日新聞社) ありがとうございます。関連してですが、そのモニタリングに関して、福岡県等独自に具体的な数値を決め、数値を超えた場合には再び経済活動の休業要請等を検討するというような方針を決められている県もありますけれども、知事から先ほど、大規模なクラスターの発生や全国の感染者の増加という例がありましたが、より具体的な形で何か数値を設定されるというご予定はあるのでしょうか。
○知事 本県の場合は、非常に難しいと考えております。といいますのは、県内では、既にご承知のとおり、ここ数週間新たな感染者発生していない状況であります。県内においては、一定安心していただけるような環境が整いつつあるものと思っておりますけれども、他県の感染状況において、特に本県は17件の感染事例が生じているところでありますが、そのほとんどが、他県からおいでになられた方、あるいは国外からおいでになられた方、さらにそうした方々との接触の機会があったということが感染の主な要因になっていると推測される事例がほとんどであります。したがいまして、県内の皆様方よりも、むしろ県外からお越しになられる方々が一つの要因になってくるものと考えておりますので、そういった流れを、必要な時に必要な対策を講じることによって制限していくということが必要になってくるものと思っております。このどういう形で制限するかということについては、例えば、県境を越えてパチンコ店においでになられる皆様方が数多くいらっしゃるというような状況でもありますので、それは、他県の施策がどういう形で講じられていくのか、そういった動向にも微妙に影響を受けてくると考えておりますので、他県の政策の方向性等も十分念頭に入れた対応が必要になってくるものと思っているところであります。
○記者(時事通信社) 先ほどの質問と関連するのですが、県独自の基準というのは、特に今は定めないということでよろしいでしょうか。
○知事 そうですね。長崎県から多数の感染者が発生し、そのことがむしろ他県に影響を及ぼしているという状況であれば、県内の目標数値として掲げ、それを目指して様々な施策を進めていくということは、あるいは可能かもしれません。感染者数をこの程度抑えていくといったことはありますけれども、既に長崎県は感染者が数週間にわたって発生していないという状況でありますので、最大のリスクは県外との交流の中で生じていくものと考えており、特段の基準を県独自で定めるというのは難しいものと考えております。
○記者(時事通信社) わかりました。もう1点も関連して、外出自粛要請を解除するために、これも独自の基準を設けている自治体が中にはありますけれども、県境を越える外出自粛の解除を判断するための県の独自の基準というのも特段設けないという理解でよろしいでしょうか。
○知事 それはやはり、県境を越える移動を自粛するというのは、各自治体が共同して取り組んで行かないと具体的な効果が期待できない面があるものと思っておりまして、そういう意味で、先ほど申し上げたような、九州知事会でも議論、協議を進めてきた経過があるところでございます。これからも、恐らく大きな方針転換等に際しては、協議等を重ね方向性を模索していく必要があるのではなかろうかと思っております。
○記者(NCC) 大変細かい話で恐縮ですけれども、県境を越える不要不急の移動を避けるというところで、不要不急の移動の基準がよく考えたら難しいなと思っています。例えば、帰省、旅行は分るのですけれども、県内でも感染事例があった例えば、身内の葬儀のために県境を越えた、仕事で越えた、その部分というのは不要不急に当たるかどうかという考えはいかがでしょうか。
○知事 それは一律に、こういった場合が不要不急だと申し上げるのはなかなか難しいと思います。例えば、葬儀があったような場合に、それぞれのお立場でご判断される必要があるのだろうと思いますけれども、葬儀場で多くの方々が集まるような場が想定されるとすれば、その主催者の皆様方には、やはり「三密」を回避していただく、人と人とが一時に多く集まられるような場を回避していただく等のご協力をいただく必要があるものと考えております。
○記者(NCC) 仕事でどうしても県境を越えなければいけないという部分についてはいかがでしょうか。
○知事 ビジネスについては、基本的に不要不急ではないものと考えているところでありますが、そのご判断については、今やるべきか、もう少し時間があるのかといったような判断基準をそれぞれのお立場でなさっていただけるものと思っているところであります。
○記者(長崎新聞社) 新しいライフスタイルの実践というのを改めて示しており、県内通販や電子決済、在宅勤務を積極的にという中で、補正予算にもテレワークの推進等の予算を乗せましたけれども、改めてその方針を加速させる予算をつけていくというお考えはおありでしょうか。
○知事 そうですね。これは、国を挙げて、新しい生活様式の定着に努めていくようにという方針が示されている訳でありますけれども、やはりコロナウイルス感染症というのが、先ほどからご議論いただいておりますように、第2波、第3波の到来の可能性があるものと、準備を進めていかなければいけないものと思っているところでありますけれども、そういった事態に対処していく必要もあるのではなかろうかと考えているところでありますので、そういった事態に長く付き合っていくためには、やはり生活様式そのものを変えていく努力が必要になってくるものと思っているところであります。一人一人の生活パターンを少し変えていただく、あるいは、企業の皆様方の就業環境を変えていただく。広く社会全体で、これまでの行動パターン、生活パターンを少しずつ変容させて行き、この感染症に対応できるような生活スタイルを築き上げていく必要があるものと考えております。
○記者(KTN) 休業要請の解除について、経済活動の回復を期待するというようなお言葉がありましたけれども、依然として県境をまたぐ移動は自粛をお願いしている状況となると、観光県としては依然として苦しい状況は続くと思うのですが、その対策というのはいかがでしょうか。
○知事 そうですね、やはり本県の基幹産業、観光産業もその一つになっている訳でありまして、大変厳しい状況に直面しているというお話を聞いているところであります。ただ、直ちに、今のような状況で、全国から幅広くお客様をお迎えしていくための対策を今から具体的に進めていくということについては、やはり少し懸念が残る訳でありますので、然るべき時期を待っていく必要があるものと思っております。ただ、冒頭申し上げましたように、県境を越える移動を自粛していただくという趣旨であって、県民の皆様方には、一定、県内各観光地をご訪問いただきながら、経済活動を再開していくということが必要になってくるものと思っておりますので、できれば、そういった機会をさらに持っていただけるような施策等についてもこれから検討していかなければいけないのではなかろうかと思っております。
○記者(KTN) ありがとうございます。教育長にお尋ねしたいのですけれども。高総体が中止となりましたけれども、部活動を続けられている高校3年生に対して、代替試合の開催についていつごろまでにご判断されるのか、もし見込み、目処があれば教えていただきたいです。
○教育長 高総体の中止が、昨日、高体連で決定をされましたので、今まで部活に取り組んで一生懸命練習してきた生徒にとっては非常に大きなショックだったのだろうと思います。しかし、高体連も説明していたように、安全性を優先した時に、止むを得ない苦渋の決断だっただろうと思いますし、私も高校生諸君が非常に落胆しているだろうなということで、胸の痛む思いですが、代替については、やりたい気持ちは高体連の専門部の先生方も持っておられるのですが、ここでいつまでにどうするというのはなかなか確定的なことは申し上げられません。やはり競技の種目によって、できるものとできないものが出てくるのだろうと思っています。ですから県全体で何とか競技大会というのは、多分無理だろうと思います。例えば、地区ごとにやるとか、そういう工夫はやっていきたいと思っておりますけれども、ここで明確に代替大会をやりますということは明言できない。非常に、五里霧中の中で検討しているということでご理解いただきたいと思います。
○記者(長崎新聞社) 先ほど朝日さんも質問されていましたけれども、今回、感染症と経済関係の専門家の方にご意見を聞いてお話しされたとおっしゃられましたけれども、今後もまだコロナ対策というのは引き続き進めていく必要があると思いますし、コロナ対策を大きく言うと、感染症と経済対策でしょうけれども、他の我々の生活を取り巻く様々な分野にまたがっていると思います。例えば、今後、そういったコロナ対策について、専門家の方々のご意見を聞く場を常時設置するといったお考えはございますか。
○知事 今回、先ほど、4名の方々にご意見をお聞きしたと申し上げましたけれども、今後の施策決定等についても、こういった方々に、有識者会議ということで組織を存続させ、様々なご意見をお伺いしていこうと考えているところであります。
○記者(長崎新聞社) それは、新たに、コロナ対策に関する長崎県の有識者会議というのを設置して、今後随時意見を聞きながら施策を進めていくという理解でよろしいでしょうか。
○知事 今回の機会で設置したとご理解いただければと思います。
○記者(長崎新聞社) 今回、先ほど名前を上げられた4人の方が有識者会議のメンバーということで、設置したという理解でよろしいでしょうか。今後この4人の方々に随時意見を聞いていくということでしょうか。
○知事 はい。
○記者(長崎新聞社) わかりました。休業要請が解除されるということですけれども、接待を伴う遊興施設の方々は、結果的に9日間程度、他の休業要請をされていた事業者さんよりも長く休業に応じたところだと思うのですけれども、以前の会見でも、協力金については一度お願いしたことに対するお礼なのでということで協力金についてはもう出されないとおっしゃられましたけど、今回、ナイトクラブであるとか、バーであるとか、接待を伴う遊興施設に対して協力金に代わる何か経済的な支援とかはお考えでしょうか。
○知事 前回、遊興施設に限って、休業のご協力のお願いをさせていただき、その際には、いわゆるご協力をいただくという趣旨での給付金を交付させていただくということで、これを繰り返し給付させていただくということは考えていないというお話を差し上げました。今回は5月20日までの要請を予定していたところでありましたけれども、一定、国の方でも、緊急事態宣言の対象から外れてきたということもあり、本日をもって要請を止めさせていただくということになった訳でありますけれども、あとはいかに「三密」を回避していただき、感染症予防対策に継続して取り組んでいただくかということが非常に重要になってまいります。そして、今般は、様々な業種についてガイドラインが設定されてきたところでありまして、個々、具体的な留意事項等も示されております。そうしたことを実践していただくことで、一定、安全度は高まっていくものと考えているところでありまして、ぜひ引き続きそういった面でのご協力をいただきたい。ただ、今回接待を伴う遊興施設の皆様方に特にお願いをいたしましたのは、これまでも、遊技施設の中で、テーマパーク、パチンコ店等、県境を越えてお客様が動いてこられる可能性がある施設があります。そういった要素もあり、クラスターの発生の事例も見られるところでありますので、こういった遊興施設の皆様方にも、ぜひ、県外からの来訪を抑制していただくようにご協力をお願いしたいと考えて、冒頭説明したような方針を決定させていただいたところであります。
○記者(長崎新聞社) 特段新たな経済支援というのは、現時点では想定されていないという理解でよろしいですか。
○知事 そうですね。まだまだこれから経済の活性化に向けた様々な取り組みでありますとか、新たな生活様式、例えば、ガイドラインの実践、策定等についても、様々なお話があろうかと思いますけれども、これからの予算編成の中で、どのような支援策が求められていくのか検討を進めていかなければいけないものと思っております。
○記者(長崎新聞社) わかりました。今回の緊急事態宣言が、長崎県は解除されたということですけれども、思い返せば、2月の終わりの一斉休校から始まり、初めての長崎県内で感染者、新たな感染者、その後の休業の要請、緊急事態宣言対象地区への指定、延長と、その都度、県で知事を初め、職員の方々が、恐らく皆さん初めての経験なので、様々な試行錯誤をしながら、これまで施策に取り組んでこられたと思うのですけれども、一連を振り返って、知事の中でどういったところの判断が難しかったのか、悩ましかったのかについてお聞きしたいのが1点目。これを今後のコロナ対策に生かしていく上で、長崎県として改善した方がいいと思われているところがあればそれを教えてほしいというのが2点目。今回、特に休業のところで補償とセットになっていないというような話もありましたけれども、国に対して、現代の法律も含めて施策で改善を求めていきたいことがあればそれを3点目としてお話を伺えればと思います。
○知事
これまで経過をたどって今日に至っているところでありますけれども、やはり一番難しかったというのは、県民の皆様方の動きがどういう形で進んでいくのか、なかなか読めなかった面があります。それぞれの世代に応じて、あるいはまた、情報に接する機会によってお考えも変わってくるのだろうと思いますけれども。ただ、全国でこの感染者が急激に拡大し、大きな課題としてさまざまな論議が重ねられる中で、国民全体の皆様方が非常に大きなリスク、不安を感じ、それにそれぞれのお立場で協力していただいてきたというのは、大きな成果ではなかったろうかと考えているところであります。したがいまして、様々なお願いをさせていただきましたけれども、その状況についても、現状をその都度確認させていただいておりますが、やはり多くの皆様方にご理解とご協力をいただいてきたということであります。したがいまして、これから後の状況変化についても、県民の皆様方によくご説明させていただければ、継続してご協力いただけるのではなかろうかと考えているところであります。
それから、改善点ということでありますが、これは、制度の設計自体、国が特措法に基づいて緊急事態宣言を発して、それぞれの対応に応じて措置すべき施策等の基本的な対処方針を明らかにしておられる訳であります。もちろん地方は地方でそれぞれ独自の事情があり、環境も異なる訳でありますけれども、そういった中、自らの県がどの程度の位置に属しているのか。そうした中で、個々の施策をどう判断して選択をしていくのか。これはなかなか難しい面があります。これは、先ほど申し上げた人の流れに伴う対応が求められている課題でありますので、周辺環境の状況に応じて人の流れも変わってくるということ。それに対して、県独自の施策をどういう形で講じていくのか。全方位に目を配って、必要な対策を講じていくというのが、非常に難しい面ではなかろうかと思っております。
それからまた、休業要請等、まさに個々の権利に制約を及ぼすような協力のお願いをさせていただいてきたところでありますけれども、こういった事態はできるだけ少なくするというのが日本社会の本道であろうと思っているところであり、こういった事態が一刻も早く収束をされることを願っているところであります。
○記者(NHK) 県主催のイベントの自粛も続けられていますが、取り扱いはどうなりますでしょうか。
○知事 県主催のイベントも、必要な会議、催し物等については、順次再開をしていこうと、前回からそういう方針を出しているところでありますが、そういった中で、特に規模の大きいイベント、今回では、私ども、3番目のカテゴリーといいますか、緊急事態宣言の対象から外れた地域については、一定、200人前後の規模、それ以下のイベントで、なおかつ屋内で開催される場合には。
○総務部長 屋外が200人で、屋内が100人程度ということでございます。
○知事 屋内100人で、定数の半分以下の開催のイベント等については、開催してもいいだろうというようなお話もあるところでありますが、やはり引き続き、それぞれの「三密」対策、マスクの着用であるとか、手指消毒の徹底であるとか、そういった環境を整備した上で、再開を検討していく必要があるものと考えております。
○記者(NHK) ありがとうございます。順次再開して、大規模な屋内のイベントは引き続き自粛するという形でいいですか。
○知事 はい。
○記者(NHK) ありがとうございます。国の専門家会議で、クラスターの発生しやすい接待を伴う夜間の飲食店や、スポーツジム、ライブハウス等については、自治体において、十分なモニタリングをしておくようにという指摘がされていると思うのですけれども、今回の一連の感染の中でクラスターが発生しやすいと分かってきた施設に対してはどのように対処していくのか教えてください。
○知事 これまで、全国でクラスターが発生したような施設等については、今回新たにこれまでなかったガイドラインが設けられているところであります。このガイドラインを設けることによって、リスク管理が十分にできるのかどうかということが、これからの大きな課題になるものと思っておりますが、まずは、このガイドラインに沿った施設の運営、事業の推進を図っていただけるようにご協力のお願いをしていく必要があるものと思っているところであります。
○記者(NHK) わかりました。ありがとうございます。先ほどおっしゃられた専門家会議の位置付けとしては、対策本部会議中に設置しているという位置付けでしょうか。
○知事 これは、私的諮問機関としての位置付けで、県の対策本部としての対処方針を決定していく段階でご意見をお聞かせいただくという位置付けにしております。
○記者(NHK) わかりました。ありがとうございます。最後ですけれども、休業要請の解除ですとか、休業要請に入った時もそうなのですけれども、事前の準備期間がないというところがあり、飲食店の方等も今日の夜までは営業を自粛しなくてはいけないので、事前に見通しを持って説明するのは難しいと思うのですけれども、その辺、知事としてどのように受けとめておられるのか教えていただけたらと思います。
○知事 まさにそういった面で、本当にご迷惑をおかけしていることについては申し訳なく思っているところでありますが、一応県の基本方針として、本日をもってそういった方向性で対応していきたいということをご説明申し上げ、一定、具体的にご協力いただくまでには、やはり時間も要するところがあるものと思っております。特に今回は、繰り返し申し上げますけれども、ガイドラインに沿った、それぞれの職場環境等も改善していただく必要があるところでありますので、直ちにというのはなかなか難しいことはあろうかと思いますけれども、必要な工夫等をしていただいた上で、より安全な形で、事業再開に取り組んでいただければと考えているところであります。
○記者(NHK) あともう1点だけよろしいでしょうか。今後、大規模なクラスターや集団感染が生じた場合に、必要な対策を講じるということがあると思います。これについては、ある程度考えられケースがあると思いますが、こうしたケースが起きたらこうした対策をとるというのは、事前に示していただくというようなことは可能でしょうか。また、そういった検討をするということはありますでしょうか。
○知事 県内でクラスターが発生しておりませんので、県内で、どこにどういったリスクがあるのかというのは、なかなか具体的な課題として想定しにくいところではなかろうかと考えております。
○広報課長 最後の質問でお願いしたいと思いますが、ありますでしょうか。
○記者(朝日新聞社) 経済への影響についてお尋ねしたいのですが。先ほど、今のような状態で幅広くお客様を集めることには懸念があるとおっしゃっていましたが、県境を越える移動が仕方ない状況の中でも制限される中で、例えば、国内宿泊客を見ると、県内の方の利用率というのは15%未満という数字もあり、観光業をはじめ、事業者の方の苦境というのが続くことが予想されるのですけれども、県としては、事業者の方の不安や損失にどのように向き合っていかれるのかというのを一つお尋ねさせてください。
○知事 これまで、県内での感染者の発生も、3月14日以降、17例目まで35日間ぐらいの間に発生している訳でありますので、2日に1件程度の割合で感染事例が生じてきたところであります。そういった意味では、やはりそれぞれの分野の事業者の皆様方、県民の皆様方も、大きな危機意識を持っていただいたものと思っておりますし、場合によっては、県内にもそういった感染経路が存在するのではなかろうかというような不安もお感じになられたのではなかろうかと思っております。ただ、実際の、それぞれの感染経路等を探ってみますと、ほとんどが、県内にその感染源が存在するということではなくて、県外からもたらされたものであったということがほぼ推定されるところでありますし、既に、PCR検査等についても2,500件実施しておりますが、そのうちの17件が感染実例として上がっているところであります。したがいまして、私どもの、今の受け止めとしましては、県内に大きな可能性のある感染源というのはあまり存在しないのではなかろうかと。したがって、今後、一番注意を要すべき点は、県外、あるいは国外から、新たなリスクが持ち込まれるということを想定して、水際対策、あるいは関係施策の充実に力を注いでいく必要があるんではなかろうかと考えております。ただ、まだまだ感染経路がわからない感染事例も、他県では数多く発生しているところでありますので、そういった点については、先ほどの「三密」の回避、感染症の予防対策、新しい生活様式、そして、ガイドラインを守っていただく、そういった取り組みの中で、力を合わせて、リスクをさらに低減させていく必要があるものと思っているところであります。
○記者(朝日新聞社) 事業者の方の不安とはどのように向き合っていかれるおつもりでしょうか。
○知事 それはやはり、それぞれ多くの皆様方をお迎えし、人と人との接触が不可欠な事業者の皆様方もおありではないかと思っております。そうした、それぞれの業種、業態において、具体的なガイドラインも示されているところでありますので、一定、そういった対応策でリスクは低減できるものと思っておりますが、やはりそれぞれの事業者の特徴があるものと思っておりますので、さらにご不安等がおありであれば、私どももしっかり専門家のご意見等もお伺いしながら対応していく必要があるものと思っております。
○記者(朝日新聞社) 経済的な影響に対する不安にはどう向き合って行かれますか。
○知事 先ほど申し上げたように、経済活動を、アクセルを大きく踏み込んで展開していくという状況には少し時間がかかるものと思っておりますが、これから収束の、いわゆる出口を見極めながら、県内経済の活性化対策に向けて必要な施策を準備し、機会を持って展開をしていきたいと考えているところであります。
○広報課長 以上をもちまして、終了させていただきます。ありがとうございました。
○知事 どうもありがとうございました。