●会見内容●
1.県議会議員選挙に係る公職選挙法違反について |
1.県議会議員選挙に係る公職選挙法違反について
○広報課長 それでは、ただいまより知事の定例記者会見を始めさせていただきます。よろしくお願いします。
○知事
皆さん、おはようございます。
まず、昨夜、長崎県職員連合労働組合の執行委員長を務める県職員を含めて、公職選挙法違反の嫌疑を受けて逮捕されたという情報を新聞報道で知りました。
今後、早急な事実確認を行い、適切に対応してまいりたいと考えておりますが、法令を遵守すべき立場である県職員が、このような疑惑を招いたことは、大変残念であり、遺憾に思っているところであります。事実を確認次第、改めてご報告をさせていただきたいと考えております。
2.東日本大震災の長崎県の支援について
<配布資料> 東日本大震災における長崎県内の支援状況(概要)【PDF】
○知事
それから、先の東日本大震災から1カ月が経過したところでありまして、これまでの支援の状況等の経過についてご報告を申し上げ、そしてまた、県民の皆様方にも改めてご協力のお願いを申し上げたいと思います。
まず、人的な支援の分野でありますが、これまでに県並びに市町からの協力をいただきまして、285名の職員を派遣し、現地でのさまざまな支援活動に従事しているところであります。
それからまた、物的な支援については、その下に記載させていただいておりますように、「長崎丸」の派遣を含めて、多くの県民の皆様方のご協力をいただき、救援物資をお届けすることができました。おかげをもちまして被災地の方もほぼ物資が充足してきているというご報告をいただいたところでありまして、これまでいただきました県民の皆様方のご協力に心から感謝を申し上げる次第でございます。
なお、被災地の情報等をお聞きしますと、例えば、生鮮食料品が不足しがちであるといったような声もお聞きしますので、その都度、そうしたご要請については的確に対応してまいりたいと考えているところであります。
一方また、避難された方々の受け入れの状況でございますが、2枚目をご覧いただきたいと思います。これまで親類、知人等を頼って個人的に県内に避難されている方々が4月10日現在、72名いらっしゃいます。こうした方々は公営住宅で受け入れをし、必要な場合には食事、日用品の提供等を行っているところであります。
あわせて、これからの課題でもありますが、就労支援の必要性が出てきておりまして、住居の提供だけではなくて、仕事に就いていただけないかということで、現時点で活用できるさまざまな就労支援メニューについて取りまとめを行っているところであります。
県内に避難されている方々はもとより、被災地への情報発信にも今後努めていかなければいけないと考えているところでございます。
なお、今回の被害は、復興までになお相当の時間が必要になってくるものと考えておりまして、現地のご要請に応じて適時適切に対応していかなければならないと考えているところであり、県民の皆様方の引き続きのご理解とご支援をお願い申し上げる次第であります。
それからもう1点、実は県民の皆様方にお願いしたいことがございます。これは先般、関係団体の皆様方とともに、緊急経済雇用対策連携会議というものを開催いたしました。さまざまな分野におけるこの度の災害の影響等について意見交換を行ってきたところでありましたが、その中でいわゆる自粛ムードが行き過ぎている面がないのかというお声がございました。旅行を取りやめられた方々、あるいは会合、催事、いろいろなパーティーなどを自粛されている方々が数多くいらっしゃるということであります。
県内の経済に悪い影響を及ぼすのではないかという危惧の念が強く表明されたところでありまして、やはり先般、被災地の知事さんもおっしゃっておられましたが、「日本全体がやはり元気にならなければならない。おいしいお酒を飲んでください」というようなお声もございました。
したがいまして、私どもとしては、幸いにして被災を免れた西日本、九州各県、こうした地域が主体となって被災地の支援に力を注いでいかなければならないと思っているところであり、まずはそういった意味で足元の経済をしっかりと支えていくことが大切であると思っております。
どうか、過度な自粛は控えていただき、県内経済を元気づけるようなお取り組みをいただきますようお願いを申し上げる次第でございます。
以上、私からは2点お話をさせていただきました。あとは皆様のご質問等にお答えをさせていただきたいと思います。
3.県議会議員選挙に係る公職選挙法違反について
○記者(長崎新聞社)
幹事社の長崎新聞です。
昨夜、公職選挙法違反で組合の執行委員長が逮捕された件なんですけれども、今朝、関係先として県庁に捜査員が入って捜索を受けているんですが、県庁が捜索を受けているという現状に対して知事はどのように受け止められていますでしょうか。
○知事 冒頭申し上げましたように、県職員は、今、専従という立場で組合の活動に専念しているということでありますが、地方公務員法の規定をそのまま適用を受ける立場であります。そういった中、こうした疑惑に基づいて逮捕され、そしてまた、捜索が行われるということは、大変残念であり、遺憾に思っております。
○記者(長崎新聞社) 今回の件は、知事は新聞報道でご存じになったということなんですか。
○知事 昨夜遅く、関係者から電話はいただきましたが、具体的には今朝の新聞で詳細がわかったところです。
○記者(長崎新聞社) 関係者というと、どなたになるんですか。
○知事 それは伏せさせていただきます。
4.県庁舎整備について
○記者(西日本新聞社) 今回、県議選が行われましたが、その中で県庁舎移転に関してかなりさまざまな論点があったかと思いますが、その中で特に新人議員の方とか、議論が必要だという方は何人もおられまして、今後の県庁舎移転の進め方につきまして議会との関係でどういうふうに進めていくという何か現段階でお考えはありますか。
○知事
この県庁舎の新築移転問題については、皆様方は既にご承知のことと思いますが、長年にわたってさまざまな観点から議論が進められてきたところであります。そうした議論の中で、当然、現在の高台にある位置から埋立地に移転・新築をしようということで、私もそうした方針を表明させていただいたところであります。改めて今回の地震、津波災害が発生したということで、いわゆる埋立地に移転するということは、非常に危険なことではないのかといった危惧の念をお持ちの方々が少なくないのではないかと思っております。
そうした中、県議会の県庁舎整備特別委員会でも、そうした点に着目をされ、先般、緊急に委員会が開催されたところであります。確かにこの間、液状化の可能性がないのか、あるいは津波の危険性等についてどう考えるのかといった議論は、専門家の方々もお招きをし、ご意見をお聞きしながら熱心な検討が重ねられてきたところであり、それぞれ必要な対策を講じることになれば問題ないだろうということで、県議会からも移転新築についての意見書をいただいたところであります。
例えば新聞報道等で「声」の欄に投稿されている県民の方々も数多くいらっしゃって、私もそうした声についてはずっと耳を傾けなければならないと、こう考えてきたところでありますが、「いわゆる専門家の方々がおっしゃっていても、結局、今回のような大きな被害に結びついたのではないかと。したがって、魚市跡地に移転をするということは、万々が一のことを考えると非常に危ないのではないか」というようなご意見が一番多かったという気がいたしております。
そういう意味でもう一度振り返ってみますと、例えば今回の東北地方の三陸沖地震で発生した津波、これについては専門家の方々は、やはりそうした危険性はあるということを認識され、指摘をしてこられたという事実があります。例えば800年代に起こった貞観地震と津波災害、これが今回の被害の規模に匹敵するような広がりと深刻さをもたらしていたのではないかというようなご議論があったようでありますが、まさにそうした危険性を取りまとめて報告しようとしていた矢先であったというような新聞報道もございました。
そういう中で、では、具体的にまちづくりをどう進めていくのかといった時に、例えば500年に一度、1000年に一度の津波に対応した万全のまちづくりを進めることができるのかどうか、これは、まさに費用対効果の問題もあり、現実的にそうした対応ができるのかといった課題もあるのではないかと思っております。
そういうことで、発生頻度が高いような津波等については参考にされてきたところであり、それを超えるような地震等については、その危険性は指摘されつつも、それを具体的なまちづくりの中に反映するということは見送られてきた経過があるのではなかろうかと思っております。
一方、そういった中で長崎港、いわゆる西側の日本海側については、さきの特別委員会でも申し上げましたとおり、改めて専門家の方々のご意見をお聞きしますと、「プレート境界というのが存在しないということは、あのような大規模な津波が発生する危険性はないのではないか。今、一番危惧される津波は、東海、東南海、南海の地域が連動してプレートのずれが生じて地震が発生した、その時の津波が迂回して長崎港に影響をもたらす。そういった時に、ほぼ1メートルぐらいの津波になるのではないか」とシミュレーションされているところであります。
一方、また、地震についてですが、この地震も、いわゆるプレート境界型の地震の発生はあり得ないということでありますし、そうした時に一番重大な影響をもたらす地震がどういった地震かというと、いわゆる島原半島にある活断層が連動して動いたという時に一番大きな地震が懸念されるということでありまして、その時の地震は震度6強程度は考えられるが、津波の高さは39センチぐらいであろうと、こう指摘をされております。
しかも、これまでの長い歴史の中でそうした津波が発生したというような事例がこちらのほうにはありません。したがって、今、移転先の庁舎建設予定地については、地盤もそれなりの標高を確保しながら新庁舎を建設すれば大丈夫だろうというような専門家のご意見もいただいているところであります。
そういった基本的に少し事情が違う区域内にあるということについては、専門家の方々がご指摘をされているところであり、県民の皆様方にもご説明をしていかなければならないと思っております。
そうした中で、東北地方では、現に10メートルを超える津波が発生したということでもあります。こうした規模の津波が仮に長崎港周辺に押し寄せてくるということになると、これは、皆様ご承知のとおり、今の市街地はほぼ大きな被害を受けることが想定される区域にあるわけでありまして、今の市街地が形成される以前の地形がそのまま残るというような形になります。
具体的に申しますと、例えば諏訪神社の下周辺まで、長崎市公会堂でありますとか、市民会館の地域まで、被害をこうむるということになりますし、また、北部方面では松山以遠、例えば大橋の県営野球場付近まで被害が及ぶということが想定されるわけでありまして、そうなると、今、形成されている長崎の市街地全体がすっぽり10メートルの区域内に入ってくるということになるわけであります。そういったことを前提にまちづくりを進めるべきであるのかどうかというのは、やはりもう一度しっかり考えていかなければいけないのではなかろうかと思っております。
ただ、今回また、県議会の議員の皆様方も新しくかわった中で、この庁舎建設の問題についてもご議論をいただくということになろうかと思いますので、そうした点等について、これまでの経過を含めてご説明を申し上げながら、ご議論、ご協議をいただく必要があるのではなかろうかと思っております。
○記者(西日本新聞社) 今、新しいメンバーでの議論ということを言われたので、どういうふうな議論が想定されるということでしょうか。
○知事 先ほど申し上げましたように、いわゆる魚市跡地に県庁舎を建てるということになると、今の高台から埋立地に移転するわけであります。津波であるとか、液状化の問題とか、そういった点について危惧の念をお持ちになっておられると思いますので、そうした点についてしっかりこれまでの議論の経過等も説明しながらご議論をいただく必要があると思っております。
○記者(読売新聞社) 今の件について関連してなんですけど、確かに議会の中では議論というのはいろいろまたあるかもしれないですが、基本的に知事が表明され、移転するという形で予算もついている状態なんですが、安全性について知事の基本的な認識というのは、はっきり言うとどういうことなんでしょうか、現時点で。
○知事 安全性については、繰り返し申し上げましたように、専門家の皆さん方のお話もお聞きいたしました。そういった中で、実は(東北地方のように)大きな津波が、あるいは地震が発生する可能性があるんだけれども、魚市跡地でいいのではないかという議論ではないんです。最大このぐらいの地震が発生する可能性があって、そしてまた、その際の津波がどのくらいになるのかと、いわゆる最大規模を想定したご議論のもとに新庁舎の建設構想を取りまとめているわけでありますので、今回の(東日本で発生した)地震・津波災害の状況とは少し違うのではなかろうかと思っております。
○記者(毎日新聞社) 東北の地震が想定内だったということですか。
○知事 いえいえ、東北地震が想定内だったとかいうことは、全く私が評価する立場にありません。ただ、専門家の皆様方のお話を聞くと、幾つかの想定地震が連動して起きる可能性はあるが、非常に頻度が低いということで参考にされなかった部分があるのではなかろうかと思っております。
○記者(毎日新聞社) 県民の不安は、想定外について県はどのように対応していくのかというところだと思うんですが、知事が幾ら安全宣言しても不安というのはおさまってないと思うんですね。その想定外の対応をするには魚市跡地では無理だというのが県民の意見ではないんでしょうか。
○知事
先ほど申し上げたように、では、想定外の部分に対してどこまで対応するのか、これが非常に大きな課題だろうと思っております。
例えば新幹線駅であったり、あるいはさまざまな病院であるとか、そういうのも今回の規模の津波を想定すれば今の位置にあってはならないわけであります。
そうすると、この津波を想定するのか、しないのかということですが、長崎のまち自体が、今の市街地を形成している区域がすっぽり入ってしまうわけであります。では、すべての機能を別のところに移すんですかと、そういう議論をするか否かということだろうと思っております。
○記者(毎日新聞社) 今、県庁を建てようとしているのは、防災拠点として県庁を建てたいということですよね。それについてはどうなんでしょうか。
○知事
現庁舎も今回の津波が来ると甚大な被害を被るだろうと思います。一番高いところで10.5メートル、今の魚市跡地の標高が大体5メートル近くを考えているところでありまして。したがって、防災拠点施設としての庁舎が備えるべき役割はどうしたものか。これはこれからの検討の中で対応できる分はあるのではないかと思っております。
例えば、太平洋に面した地域の庁舎がどんな形で整備されているかというと、当然ながら相当規模の津波は想定に入れておくと。ただし、その庁舎内のさまざまなライフラインの部分、そういった部分は相当規模の津波を想定した上で高い部分に置き直す。そういった津波の発生が予測される場合には上の階に避難をして業務を続けるといったような考え方で新庁舎が整備されている市役所等もあるわけでありまして、したがって、どういった形で防災拠点施設としての機能を確保していくかというのは、いろいろな対応の方法があるのではないかと思っております。
○記者(毎日新聞社) 県庁舎は県警本部も一緒に移りますよね。そこは見直す必要はないんでしょうか。
○知事 そこは同じような考え方で整理していくことになると思います。
○記者(毎日新聞社) 高層階にもっていくということですか。
○知事 いわゆるライフラインの部分はですね。
○記者(毎日新聞社) 車両の移動とか、全く高層階へもっていくことはできないんじゃないでしょうか。警察車両はですね。
○知事 車両は上の階にとめておくということは難しい面があるかもしれません。
○記者(毎日新聞社) そこら辺で見直しというのは考えないんですか。
○知事 それは警察にしろ、県庁にしろ同じだろうと思います。ですから、例えば、安全な高台に移すということになると、これはまさに別の危険性もまた出てくるわけですね。「7.23長崎大水害」があった時に大規模な地滑りがあったとか、地盤の状況等も当然考慮しながらいろんな要素を折り込んで検討していく必要があるんだろうと思っております。
○記者(毎日新聞社) 全部ひっくるめて、見直しを知事はするんですか、しないんですか。
○知事
それはこれからのご議論次第だろうと思います。私どもはこれまでの経過を考えた時に、その点についても十分議論をいただいてきたと思っております。今回、(東日本大震災では)想定外とされておりますが、(大津波の可能性はあるものの)まちづくりを進める際の、あるいは安全確保をする際の想定限度というのはあるわけでありまして、それを超える地震・津波が発生したということだろうと思っております。
片や、今回、魚市跡地については、専門家の方々のご意見をお聞きしましたら、「大規模な地震が起こる可能性はあるが、その対策のためには相当の経費がかかるので現実的には不可能だから、このくらいの規模を想定しましょう」という(東北地方の対応のような)話ではないわけでありますので、そこら辺の状況は、東北地方と違うというのは冷静にご判断いただく必要があるのではないかと思っています。
○記者(朝日新聞社)
お話を伺っていると、知事はちょっと問題をはき違えていらっしゃるのではないかと思うんですが、今も毎日新聞の方がおっしゃいましたけれども、県民が心配しているのは防災拠点としてどうかというところであって、防災拠点、県庁と街が一遍になくなるか、全部助かるかという話じゃないと思うんですね。
今、知事のお話のまちづくり、じゃ、10メートルの範囲は全部移すのか。それだと費用対効果がというお話がありましたけど、そうじゃなくて、東北で何が起きているかというと、まちが流された中で、本来、防災拠点となるべき庁舎も一緒に流されたから、さらに情報収集ができない、いろんな支援の手が伸ばせないという問題が起きているのであって、長崎でも同じことを起こさせないためにどうすればいいかという点を県民は心配されているわけですよ。
だから、まちごと動かすどうこうじゃなくて、防災拠点を確保する上で、なぜあえて海沿いに行くのかという点を今議論されようとされているわけです。そこに対する明確な答えをください。
○知事
ですから、それは防災拠点施設としての機能は確保できるという議論の結果で今の移転候補地が選択されたわけですね。
したがって、何回も申し上げますが、想定外ということをどこまで対応していくのかというのが、一番これからの大切な議論になってくるのではないかと思います。
○記者(NCC) 県議会の議論の行方によっては、知事自身、見直すこともあり得るんでしょうか。
○知事
それは関係予算議決をいただいてご承認をいただいたところでありますが、議員の皆様方がもう一度振り出しに戻って検討すべきだという議論になれば、当然ながらそういった方向性で私どもも議論を重ねていく必要があるだろうと思っております。
ただ、冒頭申し上げたように、これまで相当の期間をかけて専門家のご意見等もお伺いしながら一つの方向性を出していただいたし、私もそうした方向性に基づいて整備を進めていこうという方針を明らかにさせていただいたところでありまして、改めて今回の地震・津波被害を受けた後も専門家の方々のご意見をお伺いしました。その結果、問題ないというお話をいただいて、先般の特別委員会にもご報告を申し上げ、特別委員会の方でもそれでよかろうということで今があるわけであります。
○記者(西日本新聞社) もう1点、県庁舎なんですが、今回の地震で、特に東北復興になるということでかなり国の予算がこっちに来ずに東北の方に回ると。そうすると、かなり県の予算も国からの補助金を当てにできないという状況に陥る可能性もありますが、そうした中で、県庁舎は基金があるからということで進めることは可能かもしれませんが、そういう中で全体の予算が縮小する懸念がある中での県庁舎移転についてはどういうふうにお考えですか。
○知事
それは予算がないからどうかすべきだという場合に、やはり政策の優先順位をどう考えるかということではなかろうかと思います。
今、東北地方を中心に余震が頻発して、被災地域の方々は相当心配をなさっておられるわけでありますが、そうした状況にどう対応していくのか。例えばこれまでの議論でもありましたが、現庁舎では震度6強の地震には耐えられない可能性が高いと、こう言われているわけでありますので、そうした課題をどう受け止めるのかという話だろうと思っております。
私はさきの特別委員会の際にもお話をさせていただきましたが、改めてこの地震の発生の可能性というのは指摘されているわけでありまして、この防災拠点施設としての機能整備というのは、県政の課題の中でもおざなりにすることはできない課題ではなかろうかと思っております。
○記者(読売新聞社) 県庁舎に関連してなんですけれども、東北での地震の発生の後に県庁舎の安全性についての検討をする会合が開かれて、そこで知事が安全宣言をされて、その後の新年度の訓話とかでも知事は「安全だ」というふうにおっしゃられたと思うんですが、その点の認識というのは基本的に変わってないんでしょうか。
○知事 その辺については基本的な考え方は変わっておりません。安全宣言をしたというお話なのかもしれませんが、私自身は、これまでの経過を踏まえて再度専門家の方々の意見をお聞きしたところ、これまでの考え方でよかろうというご意見をいただいたので、これまでの方針で取り組むべきではないかという考え方を表明させていただいたところであります。
○記者(読売新聞社) その点、確認なんですけど、専門家の意見を聞いた上で、出されたデータとか、専門家の方が言われた意見に基づいて、知事は最終的に安全だというふうに判断されたという受け取りでいいんですか。
○知事 そうです。
5.諫早湾干拓事業について
○記者(NCC) 諫干なんですが、知事が理事長を務める県農業振興公社が、19日にも開門を差し止める訴訟を提訴するということなんですが、提訴に至る理由というか、そのあたりをお聞かせいただけないかと思います。
○知事
私どもはこれまでも、仮に開門が行われると、特に常時開門が行われるということになると、地域の防災上のさまざまな問題が懸念される。農業、水産業、あるいは環境に対する計り知れない影響被害が生ずる可能性があるということで、こういったことがあってはならないと、国の方にも要請活動を続け、さきの福岡高裁の控訴審判決に対しても上訴をしていただきたいというお願いをしてまいりました。
結果としては、菅総理がこの上訴をなさらなかったわけでありまして、そうなると常時開門の判決を国の方が受け入れたという形になります。
仮にそういうことになりますと、これまでもいろんな機会をとらえて申し上げてきましたように、例えば農業振興公社はどういった業務があるかというと、国からこの干拓農地の配分を受けて、配分というのはこの土地を負担金を払って所有権を取得して、営農者の方々に農業を営んでいただいている。当然ながらその前提としては、農業用水がふんだんに確保できる、そういう立派な農地として譲り受けて、それをリースして営農を行っていただいている。例えば常時開門されることによって、農業用水をどう確保されるのか。農業用水の確保ができないということになると、当初の配分を受けた前提が変わります。そしてまた、具体的に農業者の方々に営農を展開していただいている、そのリースの条件も変わります。そういう大きな、これまでの経過と違う新たな課題を抱えるということになるわけでありますので、そういった点について、農地の所有者としてしっかりと考え方を申し上げていかなければいけないと思っております。
○広報課長 ほかにご質問はございませんか。
6.東日本大震災の長崎県の支援について
○記者(長崎新聞社) 東日本大震災の県の支援の関係なんですけれども、先月、ハウステンボスとか、雲仙、長崎のホテルとかを使って1,700人規模で受け入れをしますというお話だったんですが、発生から2カ月までの5月11日までの期限だったかと思います。それの受け入れが今のところあっていないということなんですが、このことに関して知事の認識は、どのように受け止められていますか。
○知事
被災地の状況等をお聞きしてみますと、やはりまだ行方不明になられた方々が多数にのぼっておりますし、そうした関係者の方々の捜索もまだ続いている。そうした中でふるさとを離れるわけにはいかない。あるいはまた、どうしてもふるさとのほうで復興に向けて取り組みをしたいといったような地域の方々のお気持ちがあるのではなかろうかと思っております。
ただ、一定状況が落ち着いてきますと、可能性はあるのではなかろうかという思いもありまして、この点については、私も直接(三県の)知事さんと電話で話をさせていただきましたし、また、県の職員を派遣して、どうぞこうした形でお迎えできますのでおいでくださいという説明も行ってきたところでありますが、今のところまだ、具体的なご要請がないということであります。
7.諫早湾干拓事業について
○記者(共同通信社) 先ほどの諫干の件で、干拓事業は国と一緒に推進してきたもので、それが今度は、国に対してそういった法的な手段をとらなければならなくなったと、そういった現状に対して知事はどのように考えますか。
○知事
これは、これまでの経過はまさに県と国の共同事業ということで、長年にわたる課題として取り組んできた経過があるわけです。ようやく事業が完成した。そして、地域の方々も、農業者も漁業者も安心して新たな農業、漁業に取り組んでいこうとしていただいている矢先であったわけです。
これまでもいろいろな方々と議論をし、平成14年には開門調査も受け入れてきた経過があるわけであります。そういった中で、中・長期開門調査は、これを行っても具体的な成果が得られるかどうかわからない。したがって、これはもうやらないという方針のもと、先ほど申し上げたように、農地の配分を受けて、営農者の方々に具体的な営農を展開していただいている、こういう現状に至っているわけです。もちろん平成12年のノリ不作の話を受けて、こうした開門調査等がなされたという経過があるんですが、実は、今回の判決の内容を見ても、ノリ不作等については因果関係が認められていない。そういった中で、片方はノリ不作の状況もありとか、そういう議論がなぜ進んでいるのか、地元としては到底承服しかねる議論が相変わらず重ねられている。先般の菅総理に要請をした時も、このノリ不作の話が出ましたので、本当に今回の判決の内容を具体的に理解していただいているんだろうかという疑問の念を持っております。大変残念で悲しいことでありますが、地元は地元として、仮に開門が行われるということになると、被害を受けるのは長崎県民でありますので、そこは申し上げるべきはしっかり申し上げていかなければいけないと思っております。
8.東アジア戦略と上海航路復活について
○記者(時事通信社) 東日本大震災に関連してですが、福島の原発の方で放射能漏れがまだ続いていて、事態の収束が長期化するのではないかという懸念が出ています。知事は、東アジアとのつながりで経済活性化をしていこうという戦略をお持ちだと思うんですが、それへの影響と、上海航路が7月に開設を目指していたと思いますが、その計画の見直しなどを今、考えているのかお聞かせください。
○知事
上海航路については、計画の見直しは今のところ考えておりません。
(ハウステンボスの)澤田社長は引き続き、「相手のある話であるので、一定乗り越えないといけない課題はあるけれども、7月を目標に全力で取り組んでいく」というご方針のもと、ご努力をいただいているものと思っておりまして、しかるべき段階では具体的な形でお話しをいただけるのではないかと思っております。
東アジア戦略は、確かに現時点で、例えばハウステンボスの宿泊予約が多数キャンセルをされた、あるいはまた、クルージング客船の入港が11隻について長崎への入港が実現しなかった、あるいは、韓国の釜山と対馬を結ぶ航路が休航になったというようなさまざまな影響が出ているのは事実であります。したがって、どうしても福島と九州地域の距離感が海外の方々にはなかなかご理解いただけない面もあるのではないかと思っておりますが、やはり農業、水産業に対する影響も懸念されるところがあるわけでありますので、国として、しっかりした情報発信等に努めていただく必要があるのではないかと思っております。
私自身は、この東アジア戦略というのは短期間で目的が達成できるといったものではなく、長崎の置かれた地理性、優位性をいかに生かしながら、将来にわたって地域の活性化にどう結びつけていくのかといった視点で取り組んでいきたいと思いますので、方向性については、いささかも変わりないところであります。
9.議会への情報提供について
○記者(読売新聞社) 県議選が終わりまして、新しい議員が選ばれたわけですけど、前回の会見で議会への根回しの問題が出ましたけれども、その時に、今後、まとまって説明するようなことも考えたいというようなことをおっしゃっていましたが、もう新しいメンバーが決まったわけですけど、今の時点で、今後その点についてどういうふうに変えていこうという考えはもう既に固まっているんでしょうか。
○知事
それは、県議会の皆様とも十分相談してみる必要があると思っております。どういう形でやった方がいいのかですね。
私どもは、これまで個別に、お一人お一人それぞれ事前説明等をさせていただいてきたところでありますが、個別にお話をさせていただくことによって、説明の内容が少し違う面が出てくるのではないかとかいう懸念もあるわけであります。
したがって、私どもの方で特定の期日を定めて、全体の日程を調整させていただくことができれば、そういう形で進めていきたいとも思いますし、あるいは、会派別にやった方がいいというお考えなのか、さまざまなお考えをお持ちだろうと思いますので、そうした点についても十分協議をして進めていきたいと思っています。
○記者(読売新聞社) 仮に、そういうまとまった場で説明するような機会ができた場合については、公開するつもりはありますか。
○知事 公開というのは?
○記者(読売新聞社) 一般に。一般にというか、非公開の場で説明するのか、それとも報道も含めてオープンにするのかということなんですが。
○知事 それは、県議会の皆様方のお考えにもよりけりだろうと思います。
10.東日本大震災の長崎県の支援について
○記者(朝日新聞社)
東北地方の支援物資の話ですが、現地はもうある程度足りていて、全国知事会を通じて、受け入れを一旦停止するという通知があっています。それとはまた違って県内では支援物資の準備を進めていて、そのタイムラグで今でもまだ募集を続けている自治体があります。
今、少なくとも6,000箱分余っている状態で、現地はもう受け入れられない状況。この県民の善意の余った物資は、どのように対処されるご予定ですか。
○知事 担当課どうですか。
○福祉保健課長
今現在、先方から、今後のことについてはまだお話はあっておりません。現在の通知は、県のレベルでの話です。各地で本当に需要がないかどうかというのは、もう一度調べさせていただきたいと思っております。
それから、今後、再開もあり得ると思います。皆様からの支援の物資ですので、なるべく活用をさせていただくようなことで検討をさせていただきたいと思っております。
○記者(朝日新聞社) ただ、使用期限があるものもあると思うのですが。
○福祉保健課長 はい。そういうものは優先して探していきたいと考えております。
○知事
被災県全体としては物資は足りているので、これ以上受け入れるという形になると、かえって地元の方がお困りになるというようなお話があるかと思います。現在、県職員等を避難所の運営に派遣しておりますが、例えば避難所ならではのいろんな不足物資とか、こういったことを協力いただくとありがたいと、そういう個別の要請はまだまだあると思います。
したがって、そういった部分については可能な限り対応していく必要が今後残っていくのではないかと思っています。
11.県議会議員選挙について
○記者(西日本新聞社)
県議選の中で、五島の選挙区の柿森さんは落選しましたけど、あの方の応援演説に入っていた谷川さんの発言の中で、ちょっと一つ、気になる点があるのですが。
「中村法道さんは、金子と私でつくった。私が知事に『柿森を頼む』と言ったら、その瞬間から柿森さんは10年、20年選手の仕事ができる」と、こういうふうに演説の中でおっしゃっていたんですけれども。
実際に、谷川さんを含め、いろんな国会議員の方から直接、政策とか議員とかに関して指導のようなことはあるのでしょうか。
○知事 それは、直接はいただいておりませんし、もともと私は、さきの知事選挙でも、いわば県民党の立場で戦わせていただき、また、行政もそういう立場で進めていきたいと繰り返し申し上げてきたところですし、特定の党派に偏らないといった考え方も表明をさせていただいたところであります。
○記者(西日本新聞社) じゃあ、ああいうふうに谷川さんがおっしゃっているのは、谷川さんが独りよがりで勘違いしておっしゃっていると、そういうふうに考えていいのですか。
○知事 それは、私も、どういったご発言をなさったのか承知しておりません。
○記者(西日本新聞社) 今言ったような発言なんですけど、それを聞いて、今、実際にどういうふうに思われますか。
○知事 いろんな方々が県政に積極的に参画いただくということは、これは歓迎すべきことでありますので、いろいろなご提言をいただいて、そして多くの皆さんと力を合わせて県政の推進ができるということは、望むところであります。
○記者(西日本新聞社) 「私と金子で中村法道知事をつくった」とおっしゃっているというのが前段にあるので、平たく言うと、自分の言うことならば中村さんは聞くだろうと、要するに傀儡(かいらい)だと言っているようなものだと思うのですが、そう言われていることに関して、どういうふうに思われますか。
○知事
私はそのようなことは考えておりません。私は私の立場で判断をし、県政を推進したいと思っているだけであります。
例えば別の方々も、あるいは「中村をつくったのはおれたちだ」とおっしゃっている方々は少なくないと思います。
○記者(西日本新聞社) 表現があまりにも直接的なもので、そう思ったのですが、その時の発言は、県政運営に影響を与えるというようなことはないと考えていいですか。
○知事 はい。
○広報課長 それでは、以上で知事の定例記者会見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○知事 どうもありがとうございました。