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2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、通信環境の整備、とりわけ無料公衆無線LAN(Wi-Fi)環境の整備は喫緊の課題となっている。
2014年度に観光庁が行った「平成26年度訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査結果」によると、旅行中最も困ったこととして、無料公衆無線LAN環境が30.2%と最も高く、特に公共施設や観光施設におけるWi-Fi環境の普及や利用手続きの簡便性の面での課題が指摘されている。
国は、防災の観点から、2020年までに約3万箇所のWi-Fi環境の整備を目指しており、また空港や駅・鉄道、宿泊施設など人が多く出入りする場所には、民間での設置を働きかけている。
Wi-Fi環境の整備促進は、インバウンドのさらなる増加だけでなく、防災拠点となる公共施設等の災害時における通信手段の確保にも大きく貢献することから、国におかれては、下記の事項について強く求める。
記
平成29年3月16日
長 崎 県 議 会
(提出先)
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
総務大臣 高市 早苗 様
国土交通大臣 石井 啓一 様
内閣府特命担当大臣 松本 純 様
内閣官房長官 菅 義偉 様
昨年、全国各地を襲った台風と台風崩れの温帯低気圧は、甚大な被害をもたらした。中でも、氾濫した河川から流れ出た流木及び外国由来のごみは、漁業被害をもたらし、海岸に漂着した大量の流木の処理に長期間を要する事態が発生した。
以前には、海岸保全区域外での漂着物対策に「地域グリーンニューディール基金」を利用できたが、現在は「海岸漂着物等地域対策推進事業」だけで、しかもこの事業は災害対応を想定したものとはなっていない。
海洋ごみは災害関連のものだけではない。2015年のG7エルマウ・サミットにおいて、プラスチックごみによる海洋汚染が取り上げられ、海洋ごみ対策は世界的課題として初めて認識された。2016年のG7伊勢志摩サミットにおいても、海洋ごみの発生抑制及び削減に向けて対処することが確認されている。
海洋ごみは、国内外を問わず多様な地域由来のものが混在しており、市町村にとっては自ら発生抑制対策を行ったとしても問題解決につながらない状況にある。そこで、海洋ごみの処理の推進並びに発生抑制及び削減に向けて、国におかれては、下記の事項に取り組むよう求める。
記
平成29年3月16日
長 崎 県 議 会
(提出先)
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
総務大臣 高市 早苗 様
国土交通大臣 石井 啓一 様
内閣府特命担当大臣 松本 純 様
内閣官房長官 菅 義偉 様
核家族化と少子高齢化により増加の一途をたどる空室・空き家への対策や、外国人旅行者等の急増による宿泊施設の不足への対応等において、政府が検討を進めている既存住宅等を宿泊施設として活用できるようにする「民泊」制度の法制化は大変に有意義な取り組みであると考える。
実際に、我が国の空室や空き家は2013年の時点で約820万戸、うち耐震性等があり駅から1km以内の賃貸用空室は約137万戸、空き家は約48万戸もあり、これらの利活用は地域の新たな活力を生み出す大きな力となり得る。
また、2012年に836万人だった訪日外国人旅行者数は、2016年にはその3倍の2400万人を突破し、さらに政府は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの年には4000万人の目標を掲げる中で、外国人観光客の急増による宿泊施設の不足も懸念されている。
まさに、これらの諸課題に対応する「民泊」の推進は、地域の遊休資産を有効に活用することによる地域経済の活性化や、管理が行き届いていない空き家等の適正な管理による住環境の改善への寄与が期待されるところである。
一方で、日本とは全く異なった文化や環境の中で育った外国人旅行者の地域における住宅等の利用においては、地域住民と旅行者の間での気配りと協力による、互いの安全と安心の確立のためのきめ細かい対応も求められる。
これらのことから、政府が「民泊」を推進する際は、国内外の旅行者等の受け入れによる観光振興とあわせて地域社会の健全な発展の両立を図るために、様々な課題への対応を総合的に進めながら、この事業が地域において持続可能なものとしなければならない。
「民泊」制度の法制化に当たり、宿泊施設として必要な安全性等を確保するとともに、地域住民と旅行者の安全と安心の確立、並びに地域の実情に合わせて将来にわたり豊かな住み良い地域の実現に寄与するように、国におかれては、下記の事項について特段の配慮を求める。
記
平成29年3月16日
長 崎 県 議 会
(提出先)
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 伊達 忠一 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
総務大臣 高市 早苗 様
厚生労働大臣 塩崎 恭久 様
国土交通大臣 石井 啓一 様
内閣府特命担当大臣 山本 幸三 様
内閣官房長官 菅 義偉 様
本県の離島・半島地域は県土の7割以上を占めており、その振興は県全体の振興に繋がる重要な鍵であるが、離島・半島地域は地理的条件から幹線交通体系から離れ、産業や生活面での不利性が顕著に現れ、人口減少に歯止めがかからず、存続すら危ぶまれる地域もある状況である。
離島・半島地域は食料の安定供給や国土の保全など、県民のみならず国民の利益増進に大きな役割を担う貴重な財産であり、将来も離島・半島地域に人が住みつづけていくよう効果的な対策を講じていくことは喫緊の課題である。
県においては、これまでも離島・半島地域が抱える課題に対し、様々な施策を展開されてきた。しかしながら課題の解決には至っていない。
本県の離島・半島地域はそれぞれが独自の自然や歴史・文化によって育まれた魅力を持っている。同時に地域の課題もそれぞれの地域で異なっている。従って、厳しい財政事情の下、課題へ効果的に対応し、最大限の効果を挙げるためには、数値・統計に基づく地域毎の客観的な状況把握を可能な限り行い、各地域の実情に応じた施策展開を行うことが不可欠である。
以上を踏まえ県におかれては、下記の事項についてスピード感を持って、積極的かつ真摯に取り組むよう強く求める。
記
平成29年2月20日
長 崎 県 議 会
(提出先)
長崎県知事 中 村 法 道 様
平成28年4月に「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」(以下「有人国境離島法」という。)が成立し、平成29年4月1日から施行される。
本県の県土の約4割は離島であり、その殆どは国境離島である。
国境離島は、我が国の領海、排他的経済水域等の保全等、国家的・国民的利益の増進に大きく寄与する重要な地域である一方、わが国の外縁部に位置する地理的不利性により、他の地域と比較し、産業や生活面で多くの課題を抱え、人口減少に歯止めがかからない。
本県の国境離島も、豊富な農林水産物など多くの恵みをもたらす宝であるが、県や関係市町をはじめ、関係者各位の長年に亘る振興対策にもかかわらず、人口は昭和30年をピークに、現在までに実に55%も減少するに至っており、このままでは無人化も危惧される状況にある。
県土の大きな割合を占める国境離島地域にこれからも人が住み続け、安定した生活を維持していくことは、本県の浮揚に直結する課題である。
人が住み続けるためには、雇用の場を維持し、また創り出すことに全力を傾注しなければならない。
よって、本議会は国境離島の地域社会が維持され、将来へ継承できるしまづくりが総合的に推進されるよう、国境離島の雇用創出に向け、県民一体となって取り組む決意を表明すると同時に、県におかれては、雇用の場を創出する千載一遇の機会である有人国境離島法を最大限活用し、地域毎の、実効性のある事業構築を行い、速やかに実行に移すことにより、本県国境離島の人口減少対策を更に強化していくよう強く求めるものである。
平成29年2月20日
長 崎 県 議 会
わが国では、本格的な人口減少・高齢化社会が進展する中、地域間の競争が激しさを増しており、地方においては、それぞれの地域が将来を見据え、持続可能で活力あるまちづくりを行っていくことが必要となっている。
本県は、古くからの国内外との交流によって培われた各地とのつながりや変化に富んだ美しい自然環境、個性あふれる離島など、他県にはない多くの強みを有している。
今後とも、本県が持続可能なまちとして発展していくためには、これらの強みを最大限に活用しながら、県内外から多くの人を呼び込み、住む人、訪れる人が共に本県に魅力とにぎわいを感じられるまちづくりに取り組むことが不可欠である。
また、経済面においては、わが国の景気動向と同様、本県の景気も全体として緩やかな回復基調を続けているとされ、有効求人倍率が1倍を超える状況が継続するなど、県内の労働需給は緩やかな改善が続いており、人手不足感が強まってきている。
しかしながら、本県では、高校、大学等の卒業を機とした就職・進学により、若者の県外への流出が続き、人口減少と本県の将来を担う優秀な人材の喪失につながっており、若年層の県内定着を図る取り組みが求められている。
県においては、これまで、観光振興や暮らしを支える社会資本の整備、各産業の振興、企業誘致による良質な雇用の場の確保など、様々な施策に取り組んでいるが、人口減少や県民所得の低迷、地域コミュニティ活力の低下などといった構造的な課題を抱えており、これらの課題を克服し、県民が今後も地域に住み続けることができ、豊かで活力のある暮らしを実感できるまちづくりを進める効果的な施策の実施が必要である。
よって、県におかれては、下記の事項に対し、十分な対応を行うよう強く要望する。
記
平成29年2月20日
長 崎 県 議 会
(提出先)
長崎県知事 中 村 法 道 様
本県は、古くから西洋にも開かれた窓口として、国内外の人々との交流や歴史に関し、特色ある地域文化を育んできた。加えて、豊かな自然に囲まれ、優れた地域資源が点在することから、観光産業は、本県の主要な産業のひとつと位置づけられている。さらには雇用創出、交流人口拡大など地域社会活性化や地方創生にも繋がるため、観光を切り口としたまちづくりを目指すための施策が重要となってくる。
昨年4月に発生した熊本地震では九州全体へ影響が及び、観光産業での多大な損失があったが、このような時こそ、本県のみではなく、九州が一体となり、震災からの復興と併せ、観光の復興に関しても引き続き特段の配慮が必要である。
また、世界遺産では「明治日本の産業革命遺産」の登録に続き、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の登録実現に向けた準備も進められている。
さらに、日本遺産では「国境の島 壱岐・対馬・五島 ~古代からの架け橋~」が認定されたのに続き、「日本磁器のふるさと 肥前 ~百花繚乱のやきもの散歩~」と「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴 ~日本近代化の躍動を体感できるまち~」の2件が認定された。
これら資産を活用し、観光消費額の拡大による本県観光産業の底上げを図り、「世界が認める観光県ながさき」の実現に向け、ながさき観光の魅力・満足・価値の向上を図りながら官民一体となって取り組み、県におかれては、下記の項目についてさらに積極的に促進されるよう、強く求める。
記
以上、意見書を提出する。
平成29年2月20日
長 崎 県 議 会
(提出先)
長崎県知事 中 村 法 道 様