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意見書・決議

定例月議会を終わって  ●主な質問・質疑  ●会期日程  ●本会議一般質問  ●予算総括質疑  ●意見書・決議  ●議員提案条例

地方財政の充実・強化を求める意見書

 急速な高齢社会が到来し、国の歳出に占める社会保障関係費の割合は5割を超え、社会保障の機能強化と持続可能性の確保が一層重要となっている。社会保障においては、子育て、医療・介護など、多くのサービスを提供する地方自治体の役割が高まっており、安心できる社会保障制度を確立するためにも、安定した財源の確保が重要である。また、全国の経済状況は依然として停滞しており、地域の雇用確保、社会保障の充実など、地域のセーフティネットとしての地方自治体が果たす役割はますます重要となっている。
 特に、地域経済と雇用対策の活性化をはかるためには、介護・福祉施策の充実、農林水産業の振興、クリーンエネルギーの開発など、雇用確保と結びつけたこれらの政策分野の充実・強化が求められている。平成24年度政府予算では地方交付税について総額17.5兆円を確保しており、平成25年度予算においても、平成24年度と同規模の地方財政計画・地方交付税を求めるものである。
 よって、国におかれては、平成25年度の地方財政予算全体の安定確保にむけて、以下の事項について措置されるよう強く要望する。

 

 

  1. 東日本大震災の被災自治体に対する復興費については、国の責任において確保し、自治体の財政が悪化しないよう各種施策を十分に講ずること。また、復旧・復興に要する地方負担分は、通常の予算とは別に計上すること。
  2. 医療・介護、子育て支援分野の人材確保など、少子・高齢化に対応した一般行政経費の充実、農林水産業の振興、環境対策など、今後増大する財政需要を的確に取り入れ、平成25年度地方財政計画を策定すること。
  3. 地方財源の充実・強化をはかるため、地方交付税の総額確保と、離島や過疎地域などの条件不利地域に配慮した再分配機能の強化、国税5税の法定率の改善、社会保障分野の単位費用の改善、国の直轄事業負担金の見直しなど、抜本的な対策を進めること。

 

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。


平成24年7月13日


長 崎 県 議 会

(提出先)

衆議院議長     横 路 孝 弘  様
参議院議長     平 田 健 二  様
内閣総理大臣    野 田 佳 彦  様
総務大臣      川 端 達 夫  様
財務大臣      安 住   淳  様
内閣府特命担当大臣 古 川 元 久  様
(経済財政政策担当)
経済産業大臣    枝 野 幸 男  様
内閣官房長官    藤 村   修  様



未来を担う子どもたちの教育を守る義務教育費国庫負担制度の堅持を求める意見書

 

 義務教育費国庫負担制度は、教育の機会均等及び義務教育費無償の原則として、全国のどこで学んでも子どもたちが等しく教育を受けることができるようにするとともに、自治体間での教育水準に格差を生じさせないようにするため制定されたものである。
 また、当該制度は、国による教育分野の「最低保障」というべきものであり、地方分権の推進を阻害するものではなく、すべての国民に対し適正な規模と内容の義務教育を保障することは国の重要な責務でもある。
 さらに、未来を担う子どもたちに対し、一人ひとりの国民として必要な基礎的資質を培うための豊かな教育を保障することは、国の社会基盤形成の根幹ともなるものである。
 しかし、平成18年度において、義務教育費国庫負担制度は堅持されたものの、負担率は2分の1から3分の1に引き下げられた。
現在、義務教育費国庫負担金が減額された分は地方交付税で措置されている。平成24年度予算の地方交付税は約17.5兆円で前年度より0.5%増えているものの、義務教育にとって恒久的に安定した財源とは言えない。
 全国的な教育水準を確保し、安定した地方財政を構築するためには、義務教育費国庫負担率を2分の1に復元すべきである。
 教育予算は未来への先行投資であり、子どもたちに最善の教育環境を提供していくことは社会的な使命である。
 よって、国におかれては、義務教育費の負担率を2分の1に復元することを含め、義務教育費国庫負担制度を堅持されるよう強く要望する。

 

 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成24年7月13日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長  横 路 孝 弘  様
参議院議長  平 田 健 二  様
内閣総理大臣 野 田 佳 彦  様
総務大臣   川 端 達 夫  様
財務大臣   安 住   淳  様
文部科学大臣 平 野 博 文  様
内閣官房長官 藤 村   修  様



社会基盤再構築を求める意見書

 

 1960年代の高度経済成長期から道路や橋梁、上下水道など社会資本の整備が急速に進んだ。高度経済成長期に建設されたものは現在、建設後50年を迎え、老朽化が進んでいる。国土交通省の「道路橋の予防保全に向けた有識者会議」は提言(平成20年5月)の中で、「2015年には6万橋が橋齢40年超」となり、建設後50年以上の橋梁が2016年には全体の20%、2026年には同47%と約半数にも上る現状を提示し、経年劣化による「劣化損傷が多発する危険」を指摘している。
 今後、首都直下型地震や三連動(東海・東南海・南海)地震の発生が懸念される中で、防災性の向上の観点からも、社会インフラの老朽化対策は急務の課題となっている。
 災害が起きる前に、老朽化した社会資本への公共投資を短期間で集中的に行うことによって、全国で防災機能の向上を図ることができ、社会全体に需要を生み出すこともできます。つまり、防災・減災と経済活性化をリンクさせた諸施策の実施が可能となる。
 一方、景気・雇用は長引くデフレと急激な円高によって極めて厳しい状況が続いており、そのために必要な政策が需要の創出です。そこで、公共施設の耐震化や社会インフラの再構築が、雇用の創出に必要な公共事業として潜在的需要が高くなっていると考える。
 よって、国におかれては、国民と日本の国土を守り、安全・安心な社会基盤を再構築するため、防災・減災対策としての公共事業を緊急かつ集中的に行い、経済の活性化や雇用創出にも資する防災対策の実施を強く要望する。

 

  1. 道路や橋梁、上下水道、河川、港湾など、老朽化が進み更新時期が近づいている社会 インフラを早急に点検・特定し、維持・更新のための公共投資を積極的かつ集中的に行う こと。
  2. 電気、ガス、水道、通信などのライフラインの共同溝化・無電柱化を促進し、都市の 防災機能の向上を図ること。
  3. 地域の安全・安心のために、学校等の公共施設や病院・介護等の社会福祉施設など地域 の防災拠点の耐震化及び防災機能の強化を推進すること。

 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


平成24年7月13日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長  横 路 孝 弘  様
参議院議長  平 田 健 二  様
内閣総理大臣 野 田 佳 彦  様
文部科学大臣 平 野 博 文  様
厚生労働大臣 小宮山 洋 子  様
経済産業大臣 枝 野 幸 男  様
国土交通大臣 羽 田 雄一郎  様
内閣官房長官 藤 村   修  様



農業農村整備に必要な予算総額の確保を求める意見書

 

 本県は、離島・半島地域を多く抱え、平坦地に乏しく、水資源にも恵まれないという
厳しい営農条件にあるが、農業者をはじめ関係者の創意工夫と努力により、地域の特性を活かした多様な農業を展開してきた。
 しかしながら、本県の農業・農村を取り巻く環境は、近年の経済低迷に加え、原油や
飼料用穀物等の輸入価格の高止まりなどにより、農業所得の大幅な減少、高齢化や担い手不足など厳しい状況にある。
 このため、生産性の高い優良農地の確保や輸送コストの縮減を図るための農道の整備、老朽ため池改修をはじめとした農村の防災対策など生産基盤の整備が必要不可欠である。 
しかしながら、こうした生産基盤整備に必要な国の農業農村整備予算は、平成22年度に対前年比6割を超える大幅な削減がなされて以来、回復しておらず、依然として厳しい状況である。また、補助金制度から交付金制度へと移行しているものの、交付金への拠出金を加えても、農林水産省一般公共事業予算は、依然として厳しい状況であり、本県においては、今後、計画的な事業実施が困難となり、地域農業の振興に大きな支障を来すおそれがある。
 よって、国におかれては、地域の実情に応じた整備が計画的に推進できるよう、国の責務として、農業農村整備の予算総額を確保されるよう強く要望する。

 

 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成24年7月13日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長    横 路 孝 弘   様
参議院議長    平 田 健 二   様
内閣総理大臣   野 田 佳 彦   様
総務大臣     川 端 達 夫   様
財務大臣     安 住   淳   様
農林水産大臣   郡 司   彰   様
国家戦略担当大臣 古 川 元 久   様
内閣官房長官   藤 村   修   様



拙速な人権救済機関の設置を目的とする法律の制定に反対する意見書

 

 

 法務省は、新たな人権救済機関の設置等を目的とした法案提出に向けて、昨年8月には、「新たな人権救済機関の設置等に関する基本方針」を、その後の昨年12月には「人権委員会の設置等に関する検討中の法案の概要」を公表するなど準備作業が進められている。
 不当な差別や虐待などからの救済を目的に、新たな人権救済機関をつくるという同種の法案は過去にも検討されたが、成立には至らなかった経緯がある。
 また、法案の概要公表からかなりの日時を経過したものの、法案提出のための閣議決定もなされていない状況である。
 こうしたことから、人権救済機関(人権委員会)を国家行政組織法の三条委員会とすることや人権擁護委員の資格要件、人権侵害の定義が不明確であることなど、まだまだ議論を尽くす必要のある点が存在しているものと思われる。

 よって、国におかれては、十分な国民的議論を経ないまま拙速に新たな人権救済機関の設置を目的とする法律を制定されないよう強く要望する。

 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成24年7月13日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長  横 路 孝 弘   様
参議院議長  平 田 健 二   様
内閣総理大臣 野 田 佳 彦   様
総務大臣   川 端 達 夫   様
法務大臣   滝       実  様
内閣官房長官 藤 村   修   様



北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決を求める意見書

 

 北朝鮮による日本人拉致事件は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、国家的犯罪である。我が国は、すべての拉致被害者の安全を確保し、直ちに帰国させるとともに、拉致に関する真相の究明と拉致実行犯の引渡しを強く要求してきた。
 平成14年に5人の拉致被害者の帰国が実現したものの、北朝鮮は、残る多くの被害者について「拉致問題は解決済み」との主張を繰り返すのみで、いまだ政府認定の拉致被害者や拉致の可能性がある方々の消息はつかめていない。政権交代後も、拉致問題の解決に向けた具体策は今のところ示されず、その進展は一向に見られていない。
 このような状況の中、北朝鮮では昨年12月に金正日総書記が死去し、金正恩体制に移行した。政府においては、この機会を逃すことなく、拉致問題の解決に向けて全力で取り組むことが強く求められる。
 政府は、拉致被害者及びご家族の多くが高齢となり、拉致問題の早期解決に一刻の猶予もないことを改めて認識するべきである。
 北朝鮮は、今年4月に「人工衛星」と称するミサイル発射を行うなど、国際的に平穏を乱す行為を継続している。このような国家に対しては、政府としても断固とした態度で臨む必要がある。

  よって、国におかれては、全ての拉致被害者の早期帰国実現のため、北朝鮮による人権侵害をなお一層世界に広く訴え、強固な国際連携の下に、北朝鮮政府に対して拉致被害者の再調査を強く求めるなど、拉致問題の解決に向けて全力で取り組むよう強く要望する。

 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成24年7月13日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長    横 路 孝 弘   様
参議院議長    平 田 健 二   様
内閣総理大臣   野 田 佳 彦   様
外務大臣     玄 葉 光一郎   様
拉致問題担当大臣 松 原   仁  様
内閣官房長官   藤 村   修   様



第32回オリンピック競技大会及び
第16回パラリンピック競技大会東京誘致に関する決議

 

 我が国はこれまで、1964年の第18回オリンピック東京大会をはじめ、1972年の第11回冬季オリンピック札幌大会、1998年の第18回冬季オリンピック長野大会を開催し、世界中の人々に多くの感動と喜びを与え、我が国の存在感を強く示してきた。
 昨年3月11日に東日本を襲った大震災と巨大な津波、そして福島第一原子力発電所の事故は、我が国に甚大なる被害をもたらし、現在は復興に向けて大きく歩み出している。
 オリンピック及びパラリンピックがもたらす人間の持つ可能性への限りない挑戦は復興に向けて歩む人々にとって、大きな力となるはずである。
 さらに、復興を成し遂げた姿を全世界の人々に示し、人々をもてなすことは、世界中から寄せられた支援に対する感謝の気持ちを表す最も効果的な手段である。
 2020年の第32回オリンピック競技大会を東京で開催することは、我が国が東日本大震災から僅か9年で再び力強く復興した姿と日本が安全であることを世界に示すことができ、我が国自身にとっても復興を成し遂げるための象徴的な目標となる。
 また、物質文明の豊かさを享受している先進諸都市が抱える環境問題や経済停滞などの諸問題を解決し、国際競争力のある都市の実現にもつながる。  
 このような機会を捉え国際大会を東京に誘致することは、時宜にかなったものと言える。

   よって、長崎県議会は、2020年に開催される第32回オリンピック競技大会及び第16回パラリンピック競技大会の東京誘致をここに強く求めるものである。

 

以上、決議する。


平成24年7月13日


長 崎 県 議 会



株式会社T・G・Fの諫早湾干拓地への入植決定の取り消しを
財団法人長崎県農業振興公社に求める決議

 

 諫早湾干拓農地借受申出書の添付資料「営農計画書」に谷川喜一氏が年間90日間、田丸加代子氏は60日間、谷川富貴氏は150日間、自家農業に従事すると記載されているが、谷川喜一氏は、㈱谷川建設、㈱谷川商事、㈱マルキ開発の代表取締役を兼務しており、その業務量から考えると、社会通念上、要件を充足させることは困難である。
 実際、「私が農業生産法人の4要件について、設立当初、正確に把握をしておりませんで、平成20年2月に永田証人の方から、要件を満たしていない旨、私の方に報告がありました。」との谷川喜一証人の証言にあるように、その要件を充足することはできていなかったものである。
 このことは、平成19年度の農業生産法人の報告書によっても確認でき、その中では、従事日数は0日と報告されており、充足できないどころか、従事の実績すらないものである。
 谷川富貴氏については、当時、妊娠中であり、150日もの農作業への従事は実質不可能と考えられる。
 実際、平成19年度の農業生産法人の報告書によると、従事日数は0日と報告されている。
 これらの日数の記載は、この申請のみではなく、平成19年2月に大村市農業委員会に行った「農業経営基盤強化促進事業申出書」、平成19年6月に大村市に行った「農業経営改善計画認定申請書」、平成19年8月に諫早市に行った「農業経営改善計画認定申請書」などにおいても冒頭に記したものと同様の数字が使用されている。
 また、谷川富貴氏、田丸加代子氏(㈱T・G・F元取締役)両名に、「㈱T・G・Fの各種申請の計画内容及びその実績について」証言を求めるため出頭を請求したところ、出頭しない旨の上申書が提出されたが、その中で「証言を求める事項」は、「農地法違反による刑事罰の対象となる事項に関して証言を求めるものであること。」、「谷川喜一氏が刑事訴追を受けるおそれがある事項に関するものである。」と記載されており、このことは、申請内容に虚偽の事実が記載されていると自認したとも言える内容である。
 さらに、申出書の内容に、主な生産品目の販売先としてカルビーポテト㈱等と記載されており、後述の評価点数の評価に大きな影響を与えることとなるが、売上計画においても、これは全体の1割程度に過ぎないものである。
 取引の根拠としている、取引証明書についても内容を見る限り、数量等の記載もなく、根拠としては不十分なものと言わざるを得ない。
 加えて、入植後3年目の収支計画では、売り上げ1億6千万円弱で2百万円弱の黒字を見込んでいるが、平成22年度の農業売上実績は、その4分の1に過ぎず、農業売上だけでは、黒字にならず、農業以外の売上を計上し、黒字を確保している。
 確かに、入植面積は60haから32haと半分程度になっているが、計画では200万円弱の黒字を見込んでいたものが、実際には農業売上だけでは、1,000万円を越える赤字となっており、当初の計画自体に疑問が生じてくる。
 また、資本金については、当初200万円で法人を設立しており、これについても大規模農業を目指す法人としては如何なものかと考えるが、入植決定直後の5月20日には、資本を減額し、60万円になっている。
 こうしたことは、まさに、申請内容が単なる将来計画ということにとどまらず、計画遂行の意思、並びに農業で自立する意欲と能力を有するものと汲み取ることができない、実態と異なる架空の記載がなされているばかりか、農作業等に従事する意思がまったくないことを承知したうえでの虚偽の記載による申し出となっている。
 この申請にかかる虚偽の記載及び根拠が不明朗な記載は、単に誤った情報を記載したという事実にとどまらず、これらがまかりとおることで、有望で意欲ある農業者の入植に対する意欲を減退させ、現在、意欲的に営農を行っている入植者に対しても悪影響を与えるものであり、超長期の返済計画など包括外部監査においても今後の経営について危ぶまれている現状において、将来への禍根となりかねない。

  よって、本県議会は、㈱T・G・Fの行為が諫早湾干拓農地保有合理化促進事業実施要領の第3に違反するものとして財団法人長崎県農業振興公社に対し、貸付通知書の交付の取消しを強く求めるものである。

 

以上、決議する。


平成24年7月13日


長 崎 県 議 会

(提出先)
長崎県知事  中 村 法 道  様
財団法人長崎県農業振興公社
   理事長  田 中 桂之助  様



株式会社T・G・Fに対し、平成25年4月1日以降において
諫早湾干拓地の利用の継続を認めないことを財団法人長崎県
農業振興公社に求める決議

 

 諫早湾干拓農地借受申出書の添付資料「営農計画書」に谷川喜一氏が年間90日間、田丸加代子氏は60日間、谷川富貴氏は150日間、自家農業に従事すると記載されているが、谷川喜一氏は、㈱谷川建設、㈱谷川商事、㈱マルキ開発の代表取締役を兼務しており、その業務量から考えると、社会通念上、要件を充足させることは困難である。
 実際、「私が農業生産法人の4要件について、設立当初、正確に把握をしておりませんで、平成20年2月に永田証人の方から、要件を満たしていない旨、私の方に報告がありました。」との谷川喜一証人の証言にあるように、その要件を充足することはできていなかったものである。
このことは、平成19年度の農業生産法人の報告書によっても確認でき、その中では、従事日数は0日と報告されており、充足できないどころか、従事の実績すらないものである。
 谷川富貴氏についても、当時、妊娠中であり、150日もの農作業への従事は実質不可能と考えられるが、実際、平成19年度の農業生産法人の報告書によると、従事日数は0日と報告されている。
 これらの日数の記載は、この申請のみではなく、平成19年2月に大村市農業委員会に行った「農業経営基盤強化促進事業申出書」、平成19年6月に大村市に行った「農業経営改善計画認定申請書」、平成19年8月に諫早市に行った「農業経営改善計画認定申請書」などにおいても冒頭に記したものと同様の数字が使用されている。
 また、谷川富貴氏、田丸加代子氏(㈱T・G・F元取締役)両名に、「㈱T・G・Fの各種申請の計画内容及びその実績について」証言を求めるため出頭を請求したところ、出頭しない旨の上申書が提出されたが、その中で「証言を求める事項」は、「農地法違反による刑事罰の対象となる事項に関して証言を求めるものであること。」、「谷川喜一氏が刑事訴追を受けるおそれがある事項に関するものである。」と記載されており、このことは、申請内容に虚偽の事実が記載されていると自認したとも言える内容である。
 さらに、申出書の内容に、主な生産品目の販売先としてカルビーポテト㈱等と記載されており、後述の評価点数の評価に大きな影響を与えることとなるが、売上計画においても、これは全体の1割程度に過ぎないものである。
 取引の根拠としている、取引証明書についても内容を見る限り、数量等の記載もなく、根拠としては不十分なものと言わざるを得ない。
 加えて、入植後3年目の収支計画では、売り上げ1億6千万円弱で2百万円弱の黒字を見込んでいるが、平成22年度の農業売上実績は、その4分の1に過ぎず、農業売上だけでは、黒字にならず、農業以外の売上を計上し、黒字を確保している。
 確かに、入植面積は60haから32haと半分程度になっているが、計画では200万円弱の黒字を見込んでいたものが、実際には農業売上だけでは、1,000万円を越える赤字となっており、当初の計画自体に疑問が生じてくる。
また、資本金については、当初200万円で法人を設立しており、これについても大規模農業を目指す法人としては如何なものかと考えるが、入植決定直後の5月20日には、資本を減額し、60万円になっている。
 こうしたことは、まさに、申請内容が単なる将来計画ということにとどまらず、計画遂行の意思、並びに農業で自立する意欲と能力を有するものと汲み取ることができない、実態と異なる架空の記載がなされているばかりか、農作業等に従事する意思がまったくないことを承知したうえでの虚偽の記載による申し出となっている。
 上記に加え、農業だけでは経営が成り立たないため、平成21年度から㈱谷川建設が行うシロアリ駆除などの販売・管理業務を代行することで手数料収入を得ているが、平成21年度は、総売上2,800万円のうち800万円、平成22年度は、総売上5,500万円のうち1,500万円と総売上の3割近くを占めるものとなっているが、これらに関わる従業員として、正社員は、現在2名に過ぎない。
 この正社員2名によって、32haという大規模農業が確実に展開できるかも疑問なしとしないところであるが、これに加えてシロアリ駆除や建築資材の販売の管理業務の代行手数料により1,500万円という売上額を計上するということは、商行為として社会通念上、ほとんど考えられず、㈱T・G・Fの経営状況について、大きな疑念を抱かざるを得ない。
 このことは、農地法上の要件に抵触しないまでも、莫大な公費を投入するなか、本県の農業振興のあり方として画期的な大規模農業を実践するものとして、県民期待の事業であり、それを担う選ばれた経営体としては、本来は、農業のみで成り立つべきものであり、生産性を高め、農業収入を上げることで、本県農業の牽引役としての役割を期待されているものであることを考慮すると、甚だ適格性を欠くものと言わざるを得ない。
 さらに、リース料については、現在は、設定額から減額された金額となっているが、5年後となる来年度には、改定が予定されており、本来の設定額に戻される予定となっている。
 このことは、一般的に、入植後、5年間で経営を軌道に乗せることが可能と考えられており、その実践を求められているものと思われる。
 以上のことから、入植後の農業経営に対して真摯に取り組んでいるのか、取り組む意欲があるのか、甚だ疑問であり、農業で自立できる意欲と能力を有するものとは認めることはできない。
 また、要件違反の部分は補正されたとはいえ、虚偽の申請によって入植した営農者に対し、そのまま入植を認め続けることは、他の入植者に対する悪影響のみならず、諫早湾干拓地への入植に対する県民の不信を招くものであることから、農地の利用を継続させることを認めることはできない。
 よって、本県議会は、株式会社T・G・Fに対し、平成25年4月1日以降において諫早湾干拓地の利用の継続を認めないことを財団法人長崎県農業振興公社に求めるものである。

 

以上、決議する。


平成24年7月13日


長 崎 県 議 会

(提出先)
長崎県知事  中 村 法 道  様
財団法人長崎県農業振興公社
 理事長  田 中 桂之助  様



長崎県及び財団法人長崎県農業振興公社の業務執行に
対する透明性等の確保を求める決議

 

1.県農林部諫早湾干拓室営農推進班において、入植に関する事前の事務である意向調査や入植相談などを行っており、当時の班長であった、松永証人は、「平成16年当時ぐらいからいきますと、ほとんど今回の応募で実際入植されたところとの接点というのは、どっかで持っているぐらいです。本当にあの時新規というよりも、それ以前からのいろいろなご相談は受けておりました。それで、当時の件数としてですね、はっきりした記憶はございませんけれども、やっぱり記録だけでも数十件はあったかと思います。説明会というのを行っておりますので、その時には、すべての経営体を対象に、実際お会いして、こちらから説明をするという形をとっておりますので、諫干室の営農推進班としては、ほぼ応募があった以上の経営体との接触は持っていたと思っております。」と証言している。
 しかし、営農推進班の職員は、(財)長崎県農業振興公社との兼務職員で、同公社職員として、応募者の調査及び点数評価を行うなど、実質的な審査も担当する立場にあり、入植審査者が入植希望者へ入植指導を行うことについては、公平・公正で客観的な審査を阻害することにもなりかねず、県の方針が透明性の観点から適切であったと認めることはできず、県民の非難を免れることはできない。
2.さらに、㈱T・G・Fの設立に際しては、農地の借用申請や農業生産法人のあり方などについて、相談を受け、県農業会議も含め幾度となく対応しているが、通常、農地の借用に当たっては、所管する農業委員会に申請するものであり、事実、県と同席していた長崎市農業委員会の職員からは、申請先である大村市農業委員会を訪ねるよう指導されているが、実際には、㈱T・G・Fの設立後まで赴くことはなく、県・県農業会議への相談を繰り返している。
3.加えて、ながさき「食と農」支援事業の採択事務において、12月に書類は整っており、申請者から早急な事務処理を求められていたにもかかわらず、他の申請者に合わせて2月まで引き伸ばし、採択の決裁を行っているが、当該年度の申請件数は2件で、両方採択することは可能であったことから、必ずしも、2件を同時に決定する必要はないものである。
 また、他方の申請者の審査の際に、1回目は審査委員会を開催して審査しているものの、2回目は審査委員会を開催することなく、書類を委員に送付し検討結果を返信してもらう方法で、審査に代えている。
 さらに、渡辺証人や濵本証人によると、決裁権限は農林部長にあるが、知事に報告したところ、「評価が高かった申請者については、既にアグリビジネスで成功し、過去に1回、知事特認ということで補助を受けており、同じところに2度やるのは趣旨と違うのではないか。広く、県として補助するなら特定のところに集中してやるのはおかしいと指摘され、農林部内で再度検討の結果、不採択とした。」と証言しており、審査委員会に諮ることも無く、農林部内において数時間の検討でそれまでの結果を覆している。

4.また、(財)長崎県農業振興公社においては、諫早湾干拓地の入植応募者の審査に当たって選考委員会を設置、評価基準を作成し、点数化して応募者の評価を行うこととしていたが、その評価基準及び点数配分については、当初は、選考委員会で決定されているものの、後日、事務方の評価チームにより、点数配分等が修正され、選考委員会にかけることなく、変更後の配分で評価が行われてしまっている。
 しかも、その後開かれた、選考委員会の冒頭で点数配分等の変更は承認され、すでに変更後の評価基準で行われた評価で、審査が行われている。
 加えて、木村証人の証言によると、「選考資料を作成していただくのは事務局でございます。選考の原案という資料をつくる、それをもって一つひとつの検討をいたしましたので、そういう意味では事務局でございます。」とあるものの、実際には「原案を事務局から出されて、原案を根本からひっくり返すとか、大きな修正をするとかということはなかった。」と証言されており、事務局作成の案がそのまま採用されている実態からは、提案された内容に対して委員会でどの程度、審査されていたのか疑問であり、単に追認するだけで委員会の審査自体が形骸化していたのではないかと、推察される。
 換言すると、事務方の主導により入植者が決定されたと言わざるを得ない。
 さらに、実際の応募者の評価においては、2名を1班とする3つの班で行うとして、3名で調査に赴き、まず、(財)長崎県農業振興公社の嘱託職員が点数を付け、その後、もう1名と打ち合わせを行い、その後、全体会で調整をすることとしていた。
 しかし、㈱T・G・Fを担当した班(以下「3班」という)は、他の班に比べて評価すべき件数は少ないにもかかわらず、1名での採点を行っただけで、打ち合わせを行わず、全体会に提出されている。
 その結果、3班が受け持った16件のうち13件が評価点の変更されており(他の班は5件、12件)、他の班の修正点は2点以内であるのに対し、3点以上の変更が11件もあり、5点の変更を行っているものも2件ある。
 また、3班では、同一班の調査員においても証言の食い違いが複数あり、評価点数に影響する販売先との契約書に類する書面の存在について、「見ておりません。」との証言に対し、「契約書じゃないんですが、カルビーとの販売についての、名前は忘れましたが、文面は忘れましたが、確約書みたいなのはありました。それは見ました。」との証言があることや、諫早湾干拓農地借受申出書の添付書類の送付については、「私は諫早の公社の方にも書類は一式送っていたと思います。」との証言に対し、「実は、諌早事務所には、そのコピーはありませんでした。」という証言が得られている。
 さらに、選考調査票のすり合わせができなかった理由については、「少し片方が忙しくて、調整できなかった。」、「事前に相談を受け、するように言ったが、平山証人の場合には抱えている別の業務等で当日までにできていない現状だった。」、「どういうわけかよく覚えていないですが、10月24日当日にしか島田さんからもらえなかった。」、「確かに忙しかったと、言ったかもしれませんけども、どういうふうに忙しかったかもちょっと記憶にございませんが、島田さんのあれが遅れて、調整できなかった。」と、明確な理由は示されなかった。
 以上のように、平山豊氏は、上司(松永参事)から出された指示に対し、評価の擦り合わせ、資料の配布等を行わず、また、評価事務処理途中で松永参事から出された、「21日と思うが、こちらから進捗状況を確認、できていないとのことでやるように指示。」に対しても従わず、結果、調整が行われていない点数が全体会に提出される事態を生じさせているが、このことは、職員個人の問題にとどまらず、組織として、十分な執行体制が取られていなかったことによるものと思われる。
 さらには、選考委員会や評価チームの打ち合わせの際に、議事録等これに類するものは一切残されていない。
 特に、選考委員会においては、情報の漏洩を防ぐためとして会議録を作成しないことを委員会で定めているのである。
 もちろん情報漏洩の防止は大変重要なことであるが、会議録の作成自体が情報の漏洩につながるものではなく、より重要な、会議の内容を残すことにより、将来への禍根をなくすという効用を重要視すべきだったと考える。
 また、調査者が入植応募者と面談した際の記録等にも存在しないものがあり、これらのことは、委員会での真実の究明を阻害する一因ともなっている。
 これらのことから、長崎県農林部においては、入植事業に臨んで、審査を行う職員に対し、募集前や審査後に当該応募者との接触を許し、事務処理の遅滞を生じさせ、また、㈱T・G・Fの設立・入植に対し、過度とも思える関与を行うなど、公正・公平な事務を行っていたとは言い難いものである。
 また、(財)長崎県農業振興公社においても、選考委員会を軽視したような事務処理が行われており、入植者選考の根幹となる点数評価についても、ルールが遵守されず、全体会での評価点の調整のあり方にも疑問が呈されるなど、透明性を欠く事務処理となっている。
 平成25年3月には、諫早湾干拓地のリース期限が満了し、更新の事務を行うこととなってもおり、長崎県農林部及び(財)長崎県農業振興公社においては、今後の更新事務等において、客観性・透明性を確保するための業務執行体制を検討し、公正・公平な事務処理に努めることを強く求めるものである。


以上、決議する。


平成24年7月13日


長 崎 県 議 会

(提出先)
長崎県知事  中 村 法 道  様
財団法人長崎県農業振興公社
 理事長  田 中 桂之助  様



金子原二郎前長崎県知事(現参議院議員)及び谷川弥一元農林
水産大臣政務官(現衆議院議員)の株式会社T・G・Fの入植
等にかかる対応を非難する声明

 

1.金子原二郎氏については、まず、入植応募者は募集締切の翌日に知ったと当時の記者会見の場で発言しているが、実際には、㈱T・G・Fの入植については、娘から聞いて知ったという新聞記事があることから募集締切前に知っていたものと考えられることや、渡辺証人の「第4回選考委員会の情報を事前に報告していた。」との証言から、㈱T・G・Fの入植の経過については、承知しうる立場にあったのみならず、関心を持っていたものと十分推察できる。
 また、娘婿が新しく設立し、娘も役員となっている企業が、諫早湾干拓地への入植に応募したことを知り、「まずい」と思ったと新聞記事にはあるが、その後、嫁ぎ先の会社の経営に口出しできないなどとして、そのまま放置した結果、身内の会社が入植を果たすこととなった。
 さらに、ながさき「食と農」支援事業においては、事前の審査委員会で高評価であった事業者が、最終の知事レクによって不採択となる経過を辿っているが、報告を受けていないにもかかわらず、その事業者の過去の補助の状況を知っていたり、当該事業者が周囲から㈱T・G・Fへの協力要請を受けていたことなどの実態が明らかとなった。
2.一方、谷川弥一氏については、まず、㈱谷川建設から連なる系列の会社の経営には、関与していないとの谷川喜一氏からの証言はあるが、入植時に当初設立を企図していた㈱谷川農場(仮称)には、役員として名を連ねている。
 これについて、谷川喜一証人は、「通常の商業法人をつくる中での親族企業の在り方で構成されてあったというふうに思いますので、そういった認識でありました。」と証言しているが、このことは、親族会社に谷川弥一氏が入ることを想定していることになり、経営に関与していないとの証言に疑念を抱かせるものである。
 次に、長崎県農業改良普及センターに対して行った営農相談の記録にオリーブ等について会長に相談するとの記載があることが明らかになった。
 当時、会長といえば谷川弥一氏を指すものであるが、これに対し、谷川喜一氏は、「あくまでも社長である自分と相談を行った。」との証言をしているものの、証言より記録の信憑性が高いと言わざるを得ない。
 さらに、㈱T・G・Fの入植が記事になると、「取締役をやめさせる。」や「当初は入植者が少なかったため、失敗させたらいけないと思い申し込んだ。」という発言の新聞記事があるなど、㈱T・G・Fへの関与は明らかであり、入植に大きな関心を寄せていたことは疑う余地がない。
 加えて、谷川喜一証人の、「谷川代議士の元秘書である山下氏に依頼して、農林水産省の職員を紹介してもらい、その職員からカルビーポテトを紹介してもらった。」との証言があり、これに対し、山下証人は、「カルビーの件で、谷川喜一氏から相談を受けた記憶はない。」と証言し、両者の意見は一致を見ないが、依頼を行ったことを認めている発言は、谷川弥一氏の関与を色濃くするものである。
3.さらに両者の存在があったからこそと考えられる疑念として、第1に㈱T・G・Fの設立や借地の申請にかかる相談を所管市の農業委員会ではなく、県農業会議や県に対して行っていること。
 第2に関係者の証言や提出された資料からは、㈱T・G・Fの各種申請等の内容に虚偽と認めざるを得ない記載があるにもかかわらず、特に問題とすることもなく認定等が行われていること。
 第3に認定等にかかる事務について、大村市農業委員会や大村市において異例の速さで事務処理が行われていること等も明らかとなった。
 なぜ、㈱T・G・Fの各種申請等に絡んで、異例とも思われるような処理が公的機関で行われたのかについて、その真相を究明するまでには至らなかったが、当時の権力者である農林水産大臣政務官であった谷川衆議院議員の存在、並びに、当時の県の農林行政の最高責任者である長崎県知事であった金子参議院議員の存在とともに、さらには、両者が姻戚関係にあるといったことが、事務方をして、圧力を感じさせていたことが影響しているものと、推察できるところであり、国会でも取り上げられたことも含め、一般的に疑念を拭い去ることはできないものである。
4.こうしたことから、金子原二郎氏においては、当時の長崎県知事という立場を考えると、これだけ多大な国費や県費を投じてなされた諫早湾干拓事業を成功させるために、有望でかつ有能な農業者の入植を優先させるべきであり、本来、身内に対して、一般より厳しい態度で接すべきであった。
 しかしながら、本人の身内の入植申し込みに対し、「まずい」と思いながらこれを放置し、入植選定の事務を進めさせたことは、本当に「まずい」と思ったのか、県民に知られなければそれでよしとし、あるいは、逆にうまく入植できれば、との思いがあったのかは、推測の限りではないが、しかし、莫大な公費を投入するなか、本県の農業振興のあり方として画期的な大規模農業を実践するものとして、県民期待の事業であり、それを担う選ばれた経営体としては、本来は、農業のみで成り立つべきものであり、生産性を高め、農業収入を上げることで、本県農業の牽引役としての役割を期待されているものであることを考慮すると、かかる、身内に甘い対応は、県民の利益・信頼よりも身内の企業の利益を優先させるものとして、県民の怒りや非難を免れるものではない。
 一方、谷川弥一氏においては、身内の法人である㈱T・G・Fを設立させ、入植させるということに関与したということは、これまでの証言等から疑いのないところである。
 当時、農林水産大臣政務官という諫早湾干拓事業に大きな影響をもたらす立場にあり、公平・公正に事業を推進するという職責を果たすべきにも拘らず、自身の身内に利益をもたらさんとするかのものとして、県民感情からして容認することができないのみならず、金子原二郎氏と同様、その姿勢は、非難されるべきものである。

5.これらのことから、本委員会は両名に対し、証人として出頭を要請する必要があるものと判断し、出頭請求を行ったものであるが、両名ともに不出頭の届けがなされ、出頭に応じなかった。
その理由において、両名とも同様に「他の証人の証言等により自分の潔白は立証されていること」、「委員会の運営が公平・公正でないこと」を挙げている。
 第1の理由は、被請求者が自らの判断で出頭の必要は無いとしたものであるが、これが認められるのであれば、委員会において必要性を認め決定した出頭請求であっても、被請求者が不要であると主張するだけで、すべてを無効とすることが可能となり、地方自治法第100条の権限を与えられた委員会は、真相究明の手段を失い、形骸化してしまうものである。
 また、第2の理由については、一度も当委員会に出席しておらず、事実を認知することもなく非難だけを行っているに過ぎないものである。
 よって、本委員会は、当該理由が正当な理由に当たらないとして告発を行うことを決定し、その後、再度、出頭を求めたが、これについても、前と同様の理由により出頭を拒否した。
 これにより、2度にわたる、委員会としての決定、議会の議決を行うこととなり、結果、2度の刑事告発を行ったところであり、現在、国会議員という立場にある者として、まことに異例の事態となった。
 地方自治の両輪のトップである知事・議長として、地方自治に携わったものが、諫早湾干拓事業の入植者選定に関する調査のため適正な事務のもと行われた百条委員会を無視し、踏みにじるような姿勢を持つということは、法に照らした制度や審議を毀損し、また、真相を究明すべきとする県民の期待を裏切るものとして到底許されるものではなく、委員会に出席して主張することこそが、両名に対し、県民から強く求められていたことからしても、このように不遜な自己の主張のみに基づく、一方的な行為については、本県議会としても断固、抗議せざるを得ない。

  本来、国家の重責を担う公人として、また、当時、諫早湾干拓事業の本県における責任ある立場にいた者として、堂々と出頭して証言をすべきにもかかわらず、正当な理由もなく、出頭を拒否することは、まことに遺憾の極みであり、このことにより、真相究明を困難にし、かえって、疑惑が深まることとなり、本県議会としては、他の証言から得られた事実や提出された資料により、推察せざるを得ない結果となったものである。


平成24年7月13日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議員  谷 川 弥 一  様
参議院議員  金 子 原二郎  様


 

 

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