令和4年度国民参加による気候変動情報収集・分析委託業務の成果

事業概要

長崎県気候変動適応センターでは、環境省の「令和4年度国民参加による気候変動情報収集・分析委託業務」を受託し、「県民アンケート調査」、「暑熱対策に向けた情報収集」、「県民ワークショップ」、「農業組合・漁協組合のアンケート調査」を実施することで、県内で生じている気候変動の影響について、情報を収集・分析しました。

事業成果

「県民アンケート」
目的

 近年の頻発する大雨や猛暑などの気候変動の影響や「適応策」に関する意識・考え方などを把握し、地域の実情に応じた気候変動適応に関する施策を展開するため。

調査期間、方法等

調査期間:令和4年10月21日から11月4日まで
調査方法:メールによる回答
モニター数:338名
回答者数:298名(回答率88%)

結果概要
  • 「影響」が現れていることを「知っている」との回答は93%で、9割以上が気候変動を実感している。
  • すでに現れていると認識している事象は、1.局地的な豪雨や洪水の増加、2.気温や海水温の上昇、3.台風の大型化 が多く、不安に感じる影響は、1.自然災害の影響、2.農業の影響、の順で多く、認識している事象と不安に感じる影響が一致している。
  • 県が優先的に進めていくべき対策では、1.自然災害への対策、2.農業への対策、が上位で、不安に感じる影響と同じような結果になった。

気候変動の影響及び適応策に関するアンケート結果[PDFファイル/837KB](ながさきWEB県政アンケートのページへ)

「熱中症予防・暑熱対策に向けた情報収集」
目的

 室内の暑熱環境状況を調査し、屋外の調査結果と比較を行うことで、各場所における熱中症のリスクを評価する。また、小学校の対策の状況や児童の熱中症に関する知識や意識を把握し、熱中症予防の取組に資するため。

実施内容

(小学校における室内WBGT測定)
【調査期間】令和4年9月上旬~10月上旬
【設置場所】県央地区の5校に設置 ※設置条件等の詳細は結果概要の資料参照
(小学校へのアンケート及びヒアリング調査)
【調査期間】令和5年2月
【調査対象】WBGT測定を実施したうちの2校に実施
  ・学校向けアンケート及びヒアリング
  ・児童向けアンケート(5・6年生(81名))

結果概要

(小学校における室内WBGT測定)

  • 「教室」にて空調が効いている時間帯はWBGT差が大きく、特に児童の下校時間にあたる14時から15時頃は、屋外と教室のWBGT差が最大で約9℃に達した日もある。

      →下校における熱中症対策が必要と考えられる

(学校向けアンケート及びヒアリング結果)

  • 熱中症警戒アラートについては、体育や運動場の利用等で考慮されていた

(児童向けアンケート結果)

  • 「気候変動」の認知度は76%、「熱中症警戒アラート」の認知度は91%

WBGT測定とアンケート結果等の結果概要[PDFファイル/50KB]

「県民ワークショップ」
目的

 地域や家庭で望まれる適応の取り組みについての意識啓発、および地域住民からの気候変動の影響に関する情報収集を行うため

実施内容
実施地区 長崎地区 県央地区
開催日 令和4年12月15日 令和5年12月19日
参加人数 11人 24人
結果概要
  • 「適応」「適応策」という言葉の認知度は高くなかった。どちらかといえば気候変動等の対策は「緩和策」のイメージを持つ参加者が多いように感じた。
  • 気候変動の影響については「暑さ・気温上昇」「台風等の災害」など、身近に感じている分野の意見が多く出た。
  • 「適応」を人に伝えるための標語案を検討してもらったが、「今すぐ自分たちでできること」をテーマとした標語が多くみられた。

ワークショップの様子と成果概要[PDFファイル/271KB]

「農業組合・漁協組合のアンケート調査」
目的

 夏季の高温、局地的豪雨など、近年の地球温暖化による農水産物への影響を把握するため、県内の農業協同組合・漁業協同組合へのアンケート調査を実施し、地域や主要農産物における気候変動影響に関する情報を収集・整理するため

調査期間、対象等

調査期間:令和4年10月21日から11月4日まで
農業協同組合(7組合)のうち5団体が回答(回答率71.4%)
漁業協同組合(64組合)のうち35団体が回答(回答率54.7%)

結果概要
  • 野菜類については「ばれいしょ」をはじめ5種類の産品について回答があり、夏季の猛暑の被害及び大雨による産品固有の病害虫の被害や秋冬期の干ばつの被害が多く挙げられていた。
  • 果樹類については「温州みかん」「ビワ」など6種類の産品について回答があり、夏季の暑さや多雨による日焼け果や腐敗果の被害とともに寒害(凍霜害)の被害が多く挙げられていた。
  • 海面養殖についての影響で、原因としては「水温上昇」が多く挙げられていた。
  • アンケート結果から、生産量、県産品、農林部局でのこれまでの研究状況を考慮し、野菜類から「ばれいしょ」、果樹類から「ビワ」に着目し、農協からヒアリング調査を実施した。

農協・漁協における情報収集概要[PDFファイル/356KB]

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