本文化財は、諫早市の浄土真宗本願寺派の寺院である教専寺の本堂に安置されている。
本像は像高81.8cm。台座と光背、像本体の一部は後補である。針葉樹材の寄木造(※1)であり、目は彫眼(※2)で漆箔(※3)を施すが、漆箔も後補である。顔立ちや体つき、衣のひだ等の穏やかな作風から、平安時代後期(12世紀)の作とみられる。
教専寺は、寛永年間(1624~1644)に本山から寺号等を賜ったとされているが、詳細な来歴は判明していない。平安時代の作である本像が教専寺に安置されることになった経緯も不明である。ただし台座の内面には、明治時代に修理されたことがうかがえる墨書があり、修理に際して寄進した人物の名前や、修理を行った仏師の名前等が記されている。こうした点からは、当時の教専寺の様子や、地域における仏像をめぐる様相をうかがうことができる。
県内全体でも、平安時代の仏像の作例は非常に少ない。その中において、都で製作されたと見られる優れた作例が存在することは非常に貴重である。
県央地域における信仰の一端を示す重要な資料であるだけでなく、県内でも例の少ない平安時代の優れた彫刻作品である。
※1 寄木造…像の頭と身体の根幹部を2材以上の複数の材木を寄せて製作する方法。像内を深くくり抜く。
※2 彫眼…眼を彫り出してあらわす技法。
※3 漆箔…漆を塗った上に金箔を押す技法。