九州本土と対馬の間に位置する壱岐島の南東部にある印通寺港を見下ろすことができる高台に、熊本利平(1876~1968)によって建てられた住宅である。
主屋は玄関を東に配し、向かって左側に洋風の応接間を置く。中庭を取り囲むようにしてコの字型に廊下を巡らし、その周囲に多数の部屋を配した造りとなっており、洋間を付随する点を特徴とする。
南に見える壱岐水道を見下ろせる高台にあるこの正門は、南の碧雲荘入口から約70mほど上りきった場所にある。
門は間口7.6mほどの大きさをもつ切妻造で、銅板葺の屋根かつ頂部は桟瓦葺を乗せている。平面3間3戸、直径1尺2寸の主柱に控柱を伴う構造で、中央に両開き、左右には片開きの扉をそれぞれ付けている。
2重の石垣は外側が長さ約50m、東側は20段の石を、西は5段の石を積んでおり、頂部は東から西へ下っている。
内側の石垣は長さ約45m、西に15段、東に2段の石を積む。頂部は水平であり、外側石垣と同じく板状石を配している。
昭和13年秋頃から地(じ)均(なら)しが始まり、石積みは翌14年1月から約1ヵ年を要して完成させたものである。
現在は碧雲荘の一部が石田総合福祉センター建物と直結して利用されているが、昭和前期の豪華な和風住宅として良好な状態を保ち、またその価値は高い。