対馬の厳原は、江戸時代末期以来、播磨(兵庫県)加東郡、土佐(高知県)高知、周防(山口県)沖家室と並ぶすぐれた釣鉤生産地として知られ、第二次世界大戦前までは、九州・瀬戸内海地方はもとより、北海道さらに韓国・台湾の地域にまで販路を広げていた。
今日では、各地の釣鉤製作は、機械生産に変化しているが、厳原の釣鉤生産は、古くからの手作り製作技術をよく保っている。
当地方に伝承されている釣鉤製作技術と釣鉤の原材料・魚種別の鉤の型式・生産工程・注文販売等の習俗について、数少ない現存例として貴重である。