大立島は、西彼杵半島から西へ約20km、五島灘に浮かぶ、北西から南東方向へ傾いた長さ約800m、幅約420mの無人島である。海岸は、北東部の一部に礫浜がある他は崖地に囲まれている。北東部斜面には、県内では男女群島を除きほとんど見られない原生林といえる森林が残されており、胸高直径1mを超えるタブノキやスダジイが優占した植生が見られる。一般に、県内の無人島はほとんどがスダジイを欠くか、あるいは極めて乏しいが、大立島はスダジイが優占していることも特徴である。また、伐採跡地に出現するタラノキ、ハゼノキ、アオモジが見られないことから、大立島の自然環境が手付かずのまま今日まで残ってきたことが分かる。県内でも稀少な原生林が残っていること、五島列島と西彼杵半島の中間に位置し、植物の分布境界にあたることから、学術的価値は極めて高い。