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碧雲荘(旧熊本家住宅)主屋・門・石垣

碧雲荘(旧熊本家住宅)主屋・門・石垣
登録有形文化財(国登録)
よみがなへきうんそう(きゅうくまもとけじゅうたく)しゅおく・もん・いしがき
指定年月日平成26年(2014)10月7日
所在地壱岐市石田町
所有者壱岐市

 九州本土と対馬の間に位置する壱岐島の南東部にある印通寺港を見下ろすことができる高台に、熊本利平(1876~1968)によって建てられた住宅である。
 主屋は玄関を東に配し、向かって左側に洋風の応接間を置く。中庭を取り囲むようにしてコの字型に廊下を巡らし、その周囲に多数の部屋を配した造りとなっており、洋間を付随する点を特徴とする。南側の洋間は応接間となっており、寄木張りの床に絨毯を敷き、一部出窓風に棚を付けるなどしているが、全体としては日本建築の特徴を基調とした和洋折衷的な室内意匠となっている。また座敷は全体的に数寄屋造り風に仕上げており、欄干には繊細なすかし細工が嵌められている。
 南に見える壱岐水道を見下ろせる高台にあるこの正門は、南の碧雲荘入口から約70mほど上りきった場所にある。
 門は間口7.6mほどの大きさをもつ切妻造で、銅板葺の屋根かつ頂部は桟瓦葺を乗せている。平面3間3戸、直径1尺2寸の主
柱に控柱を伴う構造で、中央に両開き、左右には片開きの扉をそれぞれ付けている。
『熊本利平 ふるさとのあしあと』によれば、「台桧の丸太を柱に、戸板は屋久杉の一枚もので特有の年輪は美しく細やかな木目を露わしている」とある。また縁桁は京都の嵯峨野から伐りだされたもので、桂川、淀川を下り大阪で船積されてきたものとある。 
 碧雲荘の入り口にある石垣は、高台にある旧熊本邸や門よりも早く工事が始められている。
 2重の石垣は外側が長さ約50m、東側は20段の石を、西は5段の石を積んでおり、頂部は東から西へ下っている。その上を厚
み18cm、幅35cm、長さ約90cmの板状石を配している。
 内側の石垣は長さ約45m、西に15段、東に2段の石を積む。頂部は水平であり、外側石垣と同じく板状石を配している。表面は50×50cm程度の正方形状が多く規則正しく配置され、底部から丁寧に積み重ねられている。昭和13年秋頃から地均しが始まり、石積みは翌14年1月から約1ヵ年を要して完成させたものである。石材は佐賀県唐津市鎮西町産、総数6,500個の角石材を搬入している。底辺からきれいに積み重ねられた石垣は、美しい平行線を見ることができる。
 この石垣は、椎谷儀重を石工として、また石工世話役の柳沢兵造を主としていずれも東京から呼び寄せて工事を完成させている。
当時の土木技術の高さが認められ、また見た目も美しく、かつ現在でも保存状態が良好に残っている本物件は、旧熊本邸や門と
ともに評価されるにふさわしいものであるといえる。
 現在は碧雲荘の一部が石田総合福祉センター建物と直結して利用されているが、昭和前期の豪華な和風住宅として良好な状態を保ち、またその価値は高い。

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