旧伊東家住宅(四明荘)は、湧水が敷地内にあり、生活用水と湧水庭園を活用した住宅で、主屋は東西南北にわたって開放でき、四方の眺望に優れていることから「四明荘」という名がついた。
主屋は、向かって左側に庭園に面し湧水池に張り出して建つ座敷棟と右側に玄関、その背後に居間・台所が配置されている。座敷は庭園に面する東側と南側の二方に縁をまわし、その縁は池に張り出して作られている。
座敷棟は寄棟造桟瓦葺きで平屋建、玄関正面は入母屋造桟瓦葺きで平屋建、居間・台所棟は切妻造桟瓦葺きの2階建であり、周囲に庇屋根が付いている。
建築年代は、座敷棟は構造形式や数奇屋風の風格から明治期に遡り、明治時代に久留米のお坊さんを招いて造られたと伝えられている。居間・台所棟は後に増築され大正期の建築と推測される。
建物の特徴は、座敷棟が数奇屋風の造りで湧水池と湧水場がある庭園と一体となった別荘風の建物である。