「平戸領地方八竒勝(平戸八景)」とは、平戸藩第10代藩主の松浦熙(観中)が、長崎勤番の際に往来した平戸往還(平戸街道)の周辺に所在する8か所の風景地を選んだものである。熙公は「大悲観」「潜龍水」など藩内の名勝や奇岩を選定し、平戸に来遊した画工の澤渡廣繁に作画を命じ、嘉永元(1848)年に漢詩及び解説を付して『平戸領地方八竒勝図』を完成・刊行させた。「平戸領地方八竒勝」はその土地に固有の場所を選ぶ手法をとり、髙巌・潜龍水・石橋・眼鏡石・巌屋宮・福石山・潮之目の8か所からなる独特の風景地は、近代以降に「平戸八景」として広く知れわたるようになった。8か所すべてが佐世保市内に所在しており、いずれも良好にその風致景観が保たれている。