板碑は供養塔の一つとして鎌倉時代から南北朝時代にかけて主に関東地方で盛んに建立されたものである。西郷の板碑は、高さ2m、幅1.2m、厚さ75㎝で砂岩の自然石の板石塔婆である。板石上方の径75㎝の月輪の中に五点具足の梵(ア)の誤字、右下の径35㎝の月輪の中に梵(カーン)の誤字、左下の径35㎝の月輪の中に梵(バイ)をいずれも刷毛書きの種(しゅ)子(し)を双鉤字(かごうつし)に線刻してある。上が胎蔵界大日如来、右下が不動明王、左下が毘沙門天の三尊にあてるとすれば、天台宗特有の三尊形式である。下方に「建久元季才次庚戍十一月日(1190)」と陰刻してある。県下の紀年銘のある石造物のうち、現在のところ最古のものである。
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