慶長2年(1597)、有家のセミナリオ日本人画学生によって制作された1枚刷りの銅版画である。この図像の原図は、スペインのセビリア大聖堂内の15世紀末イタリア系後期ゴシック様式の壁画である。この壁画は16世紀のオランダ人ヴィレックスが銅版画で写し、それがわが国に請来され本図の手本となった。刻線に固さはあるものの、形体の正確な描写、陰影表現、背後文様の描写などに、当時の日本人画学生の西洋画受容の水準の高さを示す。本図は明治2年(1869)プチジャン神父がマニラで発見し、日本に請来したもので、下部余白にある「1597 日本」とあるペン字は、おそらく発見者プチジャン神父の手になるものであろうと考えられている。雁皮紙。縦21cm、横13.8cm。
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