天道信仰を基盤とするヤクマと呼ばれる行事の典型例の1つであり、我が国の民間信仰を考える上でも注目される。ヤクマは、かつて天道信仰を基盤として対馬全域に伝承されていたが、今日では木坂と青海に伝承されるのみとなっている。
木坂・青海のヤクマは、海岸にヤクマの塔と呼ばれる円錐形の石積みを築き、御幣(ごへい)を立てて供物を供え、子どもの無事成長や家内安全などを祈願する行事である。
木坂では、午前中にトウマエと呼ばれる当番の男性が天道社に参拝し、その間に各家から集まった男性が、海岸に直径2m、高さ2.5mほどのヤクマの塔を1基作る。できあがると頂点付近に御幣を立て、供物を供えて全員で拝む。
青海でも、各家から集まった男性が、海岸にヤクマの塔を2基作る。できあがると、トウマエが海岸に隣接した天道地に参拝し、次いでヤクマの塔の頂上付近に御幣を立て、供物を供えて全員で拝む。
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