ステゴドンは、長鼻目、ステゴドン科に属する大型の旧象であり、屋根型の稜が列をなす臼歯が特徴である。昭和46(1971)年1月7日、勝本町湯ノ本浦西方六郎瀬鼻の海食崖に露出する地層から田島俊彦氏(当時長崎市茂木中学校教諭)が象化石を発見した。その後の本格的発掘調査により、臼歯の一部、門歯(いわゆる象牙、大小あり、2頭分と思われる)の他、多数の骨片を掘り出し、ステゴドン象化石であることが確認された。発掘した化石標本(約20個)は、現在、一支国博物館に収蔵されている。希少なステゴドン象の化石である。壱岐産のステゴドンの右上顎の大臼歯の特徴は、日本産のアカシゾウやトウヨウゾウとは区別され、中国北部の楡社統(鮮新世中期)の旧象に類似する点が多い。