郷ノ浦町大原触にある曹洞宗円光寺にある不動三尊像。等身大の不動像は左肩に弁髪を垂れ、左眼を半分開き、牙を上下交互に出している。右手に剣を立ててかまえ、左手には羂索(けんさく)を持つ普通の姿である。怒った表情の頬肉の表現や、厚みのある豊満な体躯はたしかな肉どりで、充実した作行きをみせている。近世の彩色に被われていて構造を明確にしえないが、頭体部ともに深く内刳(ぐ)りされているようで、桧材の一木割(わり)矧(は)ぎの技法によるものと思われる。不動明王像は様式や彫法からみて藤原時代の制作になるものであるが、脇侍(きょうじ)の二童子(寺伝、伊勢・春日)は室町末期から江戸初期の作と考えられる。脇侍は楠材の一木から彫出し内刳りは施さず、両者は肥痩の差はあるが同巧同時作のものである。不動像は全国に多いが立像で等身以上のものは少なく、九州でも国東半島の真木大堂(まきおおどう)像に次ぐ大きさで、しかも優秀なできばえである。不動像は164.0㎝、左脇侍74.0㎝、右脇侍80.3㎝。
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