告身は、朝鮮政府が官職を授ける際に発行した辞令である。はじめは倭寇の懐柔策として、投降者へ与えていたが、やがて日本に居住している者にも朝鮮へ功があった者に与えるようになった。受職人は、年1回、朝鮮国王のもとへ親朝することが義務付けられていたが、これは15世紀中頃に日本人の通交が制限されて以降、歳遣船定約(朝鮮への年間派遣船数のとりきめ)と並ぶ通交権であった。文明3(1471)年成立の『海東諸国紀』によれば、対馬17人、壱岐4人、筑前5人が受職している。
現在、所在の判明している告身は9通あり、うち7通が対馬にある。
対馬に伝存する告身は、中近世の日朝関係に重要な役割を果たした対馬ならではの貴重な遺品であり、信時老告身については、文禄・慶長の役の研究にとっても重要な史料である。
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