対馬は、全島がほとんど泥質の第三紀層よりなり、一括して対州層群とよばれている。地層は主として厚い頁岩(けつがん)か、頁岩・砂岩の互層である。頁岩に挟まる砂岩の上面や下面に、堆積作用のあらわれとして、水流や水の動搖の痕跡を留めているところが多い。上面の波状の起状は漣痕であり、下面には水流の流れによって泥がかきとられた跡を埋めた砂の型が底痕として残される。千尋藻の漣痕は、昭和27(1952)年の台風時の崖くずれによって、地層面が露出したものである。対馬では比較的発見例は多いが、この漣痕は規模も大きくみごとで、学術資料としての価値が高く重要である。
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