ハイビャクシン(裸子植物、ヒノキ科)は海岸の崖地や砂地に生ずる。その分布は朝鮮半島南部の数ヵ所のほかは、対馬上島の北部と東部の海岸、壱岐北部の辰の島、若宮島、名烏島、串山半島、小値賀町の美(び)良(りょう)島、ほかに福岡県と佐賀県に1ヵ所ずつ生育するだけで、全分布のほとんどは長崎県内にある。天然記念物の指定地は、上記の辰の島(国指定、別記)のほか、名烏島、串山半島の自生地をふくむ。風当たりが強く他の植物が生じ難い崖地に、一面に広がって群落をなし、あるいは砂浜の上部にハマゴウと混生して広がっている。通常はスギの葉のような針葉だけであるが、まれにヒノキの葉のような鱗葉をまじえるものもある。幹は地面をはい、全長10m以上に達することもある。日本と韓国の間にのみ自然繁殖している海浜植物で、全分布のほとんどは長崎県内で、他県ではほとんど見ることができない植物であり、価値がある。