昭和37年(1962)、小ケ倉海岸の埋立工事のための土石採取が行われた際にあらわれた地層で、現在の小ケ倉団地の北側の崖面に露出する。地層は西側から働いた横圧力により折り曲げられて逆転し、いわゆる横(おう)臥(が)褶曲を示す。この種の褶曲構造が、一つの露頭で見られる例はきわめて珍しく、地質学上貴重な資料である。地層は主に板状の砂岩より成り、薄い泥石をはさんでいる。最下部は黒色の炭質頁(けつ)岩(がん)となる。これらの地層は、その堆積状態や構成鉱物の特徴から、高島炭田の最下位層である三ツ瀬層に対比され、中生代白亜紀末(約6,000万年前)のものとされる。砂岩には無数の細かい亀裂が入り、微晶質の方解石脈により充たされる。また、砂岩にはさまれた泥岩には鏡肌が発達した所もあり、褶曲運動が行われた際、地層面にそって滑動して生じたものと考えられる。
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