豆酘の赤米行事は、対馬市厳原町豆酘に伝わる行事で、頭仲間(とうなかま)と呼ばれる集団によって旧暦1月2日から旧暦12月の末に至るまでの1年間にわたり行われる、赤米を祀り栽培する行事である。この行事は田植えを除き現在も旧暦で行われている。1年間の主な行事には頭受(とう)け、三日祝い、田植え、お吊(つ)り坐(ま)し、初穂米、斗瓶酒(とがめざけ)、日の酒、餅つき、初詣り、潮あび、家祓(いえばらい)などがある。これらの行事の中でも中心となるのは、旧暦1月10日の夜から翌朝にかけて行われる、頭受けという頭役の交代の行事である。
この行事は、赤米という古代からの栽培伝承を有する米をめぐる習俗であるとともに、頭と呼ばれる役の家が赤米を祀る諸行事を一年間通じて行うという伝統的な祭祀形態を残しているものとして貴重であるが、行事を伝える頭仲間が1戸になりその存続が危ぶまれている。
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