中央に釈迦如来、その下部左右に文珠(もんじゅ)、普賢(ふげん)両菩薩を従え、更にそれらの左右下部に十六善神を配した通常の十六善神図である。釈迦、両菩薩を除く他の諸神は、退色著しい。釈迦の顔面等肉身部は金泥、輪郭は朱の鉄線描で描出され、納衣(のうえ)は截金(きりかね)の文様が施されている。菩薩の宝冠、瓔珞(ようらく)及び諸神の甲胄には金泥盛上げの手法が用いられた跡がみられる。面相表現に宋風を示すが、鎌倉期にはみられない金泥盛上げの多用及び截金文様中に施された衣文線の独特の描法は、建武以後にみられるものである。箱書に明応7年(1498)年の修復銘がみられるが、南北朝頃の作と推定される。作者は、諸描法からみて,中央絵仏師の作とみられる。
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