壱岐島は低い丘陵性の地形をもち、その地質は大部分が玄武岩類によって構成されている。南部の海岸地帯には、玄武岩に被覆される古期の火山岩類に属する安山岩や流紋岩が露出する。初瀬~久喜間、および久喜~印通寺間の海岸地帯に分布する流紋岩は、白~灰白色を呈する黒雲母流紋岩であり、変質安山岩を被覆する。初瀬の鏡岳神社の北側では、流紋岩が露出する断崖絶壁に、幅17~18mの玄武岩の岩脈が垂直に貫入し、縁辺部には流紋岩の捕獲岩を取り込んでいる。真白な流紋岩中に、真黒な岩脈がほぼ垂直に貫入している状態は、玄武岩が割目噴出をして、地表に溶岩流として溢れ出る過程を説明することのできる貴重な地質学的資料である。
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