頭ケ島は五島列島中通島の東方にある小島である。現存する天主堂は、明治43年に着工、小集落の信徒の総力を結集して10年の歳月をかけて大正8年に竣工した。設計施工は鉄川与助である。石造、平屋建、単層の構成で、正面中央に八角形ドームの鐘塔(しょうとう)を備え、西側面後方に香部屋(こうべや)を出す。内部は単廊式で、祭壇部、会堂部、玄関部、楽廊からなる。外壁は地元の砂岩切石を用いた石造で、屋根は桟瓦葺、ドームは銅板葺とする。
頭ケ島天主堂は、小規模ながら西日本で例の少ない石造教会堂であり、長崎を中心に数多く残る離島、辺地の教会堂のなかにあっても傑出した存在といえる。重厚な外観に対し、華やいだ内部空間など斬新で意欲的な構成になり、当地方の教会堂に新たな造形が展開された時期の遺構として価値がある。(平成13年11月14日に国指定。)
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