ハマジンチョウはハマジンチョウ科の熱帯性の常緑低木で、東南アジアから北上分布し、台湾、琉球、種子島を経て、九州西岸を五島列島まで至る。本種は波静かな入り江の奥の海岸に生育し、満潮時には株元は海水に浸る。しかし入り江の奥にあった本来の大規模な生育地は、古くからの人の居住地に近いため多くが失われている。奈留町大串郷字池塚には、直径100m、短径50mの海跡湖があり、その湖岸に長さ80mにわたってハマジンチョウが群落をなす。ほかに海跡湖の湖岸には、本種とともにヒトモトススキ・シバナ・シオクグ・ハマボウなどの塩湿地植物が自生する。指定地のハマジンチョウ群落は3つの特色を有している。一つ目は、かつて五島列島の入り江各所に存在していたであろう大規模な群落をなしていること、二つ目は群生地が海岸ではなく海跡湖の岸にあること、三つ目はその環境の高い自然度である。いずれの点からも我国第一級のハマジンチョウの群落である。
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