五島市の北東部、平蔵町小田河原の東方約400mの岬には、非常によく成層した五島層群が露出する。この岬の背後の山を、地元では椎木山とよんでいる。地層はN30°E方向の走向をもち、南東に40~50°急傾斜する。岩質は、主として板状砂岩で構成されるが、黒色泥岩をはさんで互層をなす。漣痕をもつ広い地層面が露出し、幅10mで、傾斜にそった長さが約20mに及んでいる。漣痕の波頭は1mにつき12~13本で、波高は2~3㎝である。波頭はおおよそ東西性であるが、必ずしも直線的でなく、部分的に湾曲するため、遠望すると全体的に「ちりめん模様」を見せる。断面では対称的な波形をもつため、浅い水底で、前後に動揺する波によってつくられたものであろう。漣痕をもつ砂岩は硬く、保存が非常に良好なため、この種の地質現象の資料として価値は高い。
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