三井楽町の白良ヶ浜(しらがはま)の東端で、道路の改修工事の際に露出した地層上に漣痕が保存されていた。地層は五島層群に属する砂岩層で、走向はほぼ東西で、北に50°の急傾斜をしている。露出面は約5m四方程度であるが、近年表面の磨耗がはげしく、次第に波型の模様が不鮮明になってきた。漣痕の中に、断面が非対称的波形を示すもので、一方向の流れによって形成される流成漣痕と、対称的波形を示すもので、前後に動揺する水や波によってつくられる波成漣痕とに区別される。三井楽町の漣痕は非対称的な断面をもち、流成漣痕に属する。五島列島に分布する五島層群の板状をなす砂岩には、地層面上にしばしば漣痕が保存されている。五島層群を示す資料のひとつであるとともに、学術的にも貴重な資料であるため価値がある。
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