この建物は、波佐見尋常高等小学校の講堂兼公会堂として昭和12(1937)年に建築された大型の木造洋館である。設計者は、波佐見周辺で活躍した清水玄治である。
昭和31(1956)年の町村合併による現在の波佐見町の誕生により、当校は波佐見中央小学校となり、本建物も講堂兼公会堂として引き継がれた。平成7(1995)年、波佐見中央小学校が移転新築後、旧小学校敷地には本建物だけが残ることとなった。
外観は風格のある玄関部が特徴である。2段の屋根の下に装飾的な柱をもつ玄関ポーチは、洋風でありながら威圧的ではなく、親しみのある優れた設計となっている。また、内部は、吹き抜けの中央部と両側の低い天井部及び列柱が、教会堂を思わせる落ち着いた雰囲気を醸し出している。
本建物は、音響効果に優れていることも特徴で、場所によって天井の材質を変えるなど講堂兼公会堂という建物の性格に配慮した設計がなされている。近年の科学的な音響調査でも、優れた音響特性が実証されており、ホールとしての優秀性が証明されている。
昭和前期の大型木造洋館が残されている例は少なく、これほど大型の建物は、長崎県内のみならず九州においても他に例がない。昭和前期の大型木造洋館として貴重である。
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